ジャノヒゲの育て方
育てる環境について
ジャノヒゲは日当たりの良い場所から、日陰まで幅広い条件のもとで生育できます。斑模様のある品種に関しては、やや明るい環境で栽培したほうが、美しい斑模様で成長できます。耐寒性と耐暑性にも優れていますので、場所を選ばずに植えることが可能です。害虫避けの効果があることでも知られていますが、梅の木の下に植えられた場合に、
夏は日陰になってしまうことが多いものの、病気や虫害になることが極めて少なく、常に緑色の葉を茂らせています。芝生のように植えれば、グランドカバーとして機能しますし、直射日光に当たる時間が多くても強さを発揮します。ただし、極端に乾燥してしまう場合は注意が必要です。過剰な乾燥が苦手であり、過剰な水分も苦手です。
日当たりの良い場所にグランドカバーとして植えると、丈夫に育ち続けますが増殖しにくくなります。ジャノヒゲは葉を茂らせて生育し、密集して茂ることからグランドカバーとしても人気がありますが、乾燥しがちな環境では増殖しにくく、生育状態が低迷してしまうと土の表面が見えてくる場合があります。
その一方で、半日陰や日陰では順調に生育します。葉を刈り込んで揃えれば、美しく栽培できますし、一度定植しておくと、葉が年々生い茂るようになり、株も増殖して広がっていきます。冬でも枯れませんので、庭や敷地の空きスペースを緑化させたいときに重宝します。踏まれ強い性質なので、人が歩く空間にも植えられます。敷地内の歩道スペースに、地被植物として栽培することも可能です。
種付けや水やり、肥料について
ジャノヒゲは自然の雨水だけで、充分に生育します。半日陰と日陰の場合には、水やりをしなくても順調に成育しますので、年々、葉を茂らせて密集し、群生していきます。夏に小さな薄い紫色の花を咲かせたあと、種子を実らせます。青い色をした種子ですから、注意深く観察していると、すぐに発見できます。
青い種子を採取し、保存しておけば、発芽させることが可能です。採取した種子は冬の間は保存しておき、春になってから土に蒔きましょう。採取をせずに種子を放置しておけば、春になってから適度に発芽して、自然に成育していきます。耐陰性には強いのですが、日当たり条件が良すぎてしまうと、土が乾燥しやすくなります。
乾燥しすぎると、生育が遅くなったり、土の表面が見えてくるようになるなどの症状が現れますので、乾燥しがちな環境だと判断できる場合は、朝や夕に水やりをすると良いでしょう。夏の日中は、散布した水が高温になってしまうため、葉、茎、根、いずれにもダメージを与えてしまう可能性が高くなってしまいますので注意しましょう。
乾燥しているなと感じても、夏の日中は自然の雨水のみにまかせるのが無難です。夏に限っては、比較的涼しい朝のうちと、直射日光の影響を受けにくくなる夕方に水やりするのが理想的です。肥料を与えなくても生育しますが、
液体肥料を与えることで、より早く密生させることが可能になります。水溶性の化成肥料を蒔いても良いのですが、肥料は土に蒔いたほうが良いため、無造作に肥料を蒔いてしまうと葉に乗ってしまいます。液体肥料ならば、葉の上からかけても流れて土に浸透していきます。
増やし方や害虫について
ジャノヒゲは害虫に強い多年草です。病気にもかかりにくく、栽培しやすい植物です。害虫に強いというだけでなく、側に植えてある庭木にも害虫が寄り付きにくくなるという効果も期待できます。害虫忌避効果が高いというわけではないようですが、古くから梅の木の下に植えておくと虫がつきにくくなると言われており、庭の環境整備に欠かせない存在になっています。
仮に側に植えてある庭木で蛾の幼虫などが発生してしまっても、ジャノヒゲには被害が及びにくいのも嬉しいポイントです。地面に定植しておけば、あとは放置しておいても自然に増殖していきます。特別なことをしなくても、密生し、生い茂りながら広がっていきます。ただし別の場所に増やしたいという場合には、種子を利用すると良いでしょう。
株ごと移植しても良いのですが、一度定植した株は、そのままにしておいたほうが順調に生育するからです。植え替えて栽培するよりも、離れた場所でも栽培したいというときには、種子の発芽を利用すると良いでしょう。夏に開花した後に、青い種子を実らせますので、種子を採取して保存しておきます。
冬が過ぎてから、春から初夏にかけての暖かい時期に、栽培したい場所に種子を蒔きます。早く発芽させたいときは、土の中に蒔き、水やりをします。発芽してしまえば、茎と葉が成長していきますし、やがては走出枝を放出して子株を増やし始めます。一年目は、小さく感じられるかもしれませんが、年々大きく広がっていきます。
ジャノヒゲの歴史
ジャノヒゲはユリ科ジャノヒゲ属の多年草植物です。アジアが原産で、日本を含む東アジアに生息地が多く分布しています。亜熱帯気候のフィリピンの森林地帯にも生息地があります。日本では北海道から九州まで南北の広い範囲に生息地が存在し、アジアではヒマラヤ地方での生息も確認されています。亜熱帯気候から寒冷気候まで、
幅広く自生していることからも耐寒性と耐暑性が両方とも強い多年草であることが古くから知られています。古くからジャノヒゲの根は生薬として活用されてきました。咳を鎮める効果が得られることで知られており、バクモンドウという名前で流通してきました。他にも解熱効果や利尿効果があることでも親しまれてきました。
漢方では麦門冬湯や清肺湯という名前で処方されてきました。日本では万葉集に、菅の実という名前で登場している植物がジャノヒゲであるとも言われており、平安時代には、やますげという呼称で記録されています。江戸時代の書物である本草綱目啓蒙には、ヤマスゲやリウノヒゲとして登場します。
明治時代になると、東京の多摩丘陵地域が開発されるようになり、森林地帯や緑地に生息地が多く存在することが発見されるようになりました。生活圏に隣接した緑地に生息地が多いため、薬用だけでなく、子供の遊び道具のひとつとしても活用されるようになりました。青い種子を実らせるのですが、これが明治時代以降とくに、
ままごと遊びに活用されるようになり、幼い女の子たちに親しまれるきっかけとなりました。庭木職人の間では、梅の株元などに植えておくと害虫避けの効果があるといわれてきましたので、庭に植えられることも多い多年草です。育て方が容易なので、手入れをしなくても安心です。
ジャノヒゲの特徴
ジャノヒゲを漢字で表現すると、蛇の髭です。文字通り、ヒゲを連想させる形状が特徴です。細長い葉が、地面から跳ねるように直立して芽生えますが、成長と共に全方向に散らばって広がっている姿を見せます。蛇と形容される場合と、竜と形容される場合がありますので、リュウノヒゲと呼ばれることがあります。
根には薬用効果が高く、咳止めや解熱あるいは利尿に活用されてきましたが。その一方で庭に植えておくことで害虫避けにも効果があると言われるようになったことから、庭に植える多年草として任期が高くなっています。特に梅の木の下に植えておくと、梅に虫がつきにくいとされており、庭作りで活用されています。細長い葉は群生するのが特徴です。
草丈は低いまま維持されます。足で踏まれても枯れにくく、強い生命力を備えているのも特徴です。ある程度の広さのある庭では、芝生を植えるような感覚でジャノヒゲを植える場合もあり、グランドカバーとして機能します。育て方を意識しなくても、増えていきます。耐陰性が強い多年草なので、日の当たりにくいスペースにも植えることができます。ジャノヒゲには、いくつかの品種が存在しています。
斑模様の入った品種は直射日光には弱い性質がありますが、日陰よりも半日陰もしくは建物などの反射を利用した明るい日陰で栽培することで美しい斑模様に生育していきます。細長い葉は、縁がギザギザとしており、鋸葉と呼ばれています。良く似た植物が多いのですが、ギサギザとしている鋸葉があるかどうかで区別できます。夏に小さな薄い紫色の花を咲かせ、青い種子を実らせます。
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