シモバシラの育て方
育てる環境について
シモバシラは日本の本州また九州を原産としており、生息地の環境としては高温多湿の日本特有の気候にも柔軟に対応できる品種でもあります。山草系の中には日陰の宿根草と好日性の宿根草があり、東に近い地帯では山の樹の下に分布しているために夏の時期は日陰を好み、また涼しい気候を好むのが特徴です。
好日性宿根草として自生が見られる場合には、九州などの亜熱帯地域の日光がふり注ぐ環境下でも丈夫に育つ品種でもあります。生息地と同様の環境で栽培を行うと容易に育てることが可能であり、通年通して日当たりの良い場所、また葉焼けを防ぐために夏の直射日光は避けて管理します。野山で自生していたために鉢植えではなく地植えが適していますが、適度な水ハケの良い傾斜のある地が適しています。
シモバシラは日光を好むため、朝から夕方まで平均して遮光した環境下で育てますが、葉っぱが枯れる場合には遮光が足りていない場合が考えられるため、夏の時期に関してはネットをかける遮光対策もしくは鉢植えでの日陰管理が適しています。多年草の根草は季節を通じて変化しており、
開花期を経て休眠や養生を繰り返しているため、季節による環境の変化に注意が必要です。元々、山に自生していた品種でもあるため、日光と共に空中湿度も必要であり、地面に遠い高層ビルなどの環境下では育ちが悪く、地面に近い場所で育てます。冬は霜柱を観察したい場合、寒波の押し寄せる環境下で栽培するのが適しています。
種付けや水やり、肥料について
シモバシラは採り蒔きを基本としており、タネは土をかけずに熟成させた後に土をかけ、発芽を促します。育て方としては覆土を行う場合に微細なタネは覆土せず、タネが隠れる程度の浅い土で覆います。用土として使用する土は、山野草用となる園芸用の土でも十分に育てることが可能ですが、水はけが良く、
さらに保水力のある用土が栽培には好条件であり、山或の森林では腐葉土の層の間で育ってきた環境が挙げられるため、鹿沼土に赤玉土やさらに軽石をはじめ、環境によっては腐葉土を混ぜることが適しており、鉢植えで楽しむ場合には水持ちの良い土が適しています。植え付けの適期は春または秋に植え付けますが、鉢植えにする際にはタネ付けポットよりも2回りほど大きな鉢へ植え付けを行います。
水やりでは露地植えの場合、根っこが定着してからは地下からの雨水によって給水するため、雨が降らない日が続く夏時期以外では特に水やりを必要とせず、土が乾燥し、ひび割れしている場合に適度な水やりを行います。花の観賞を楽しむ場合の鉢植えでは、表面の土が乾いた状態でたっぷりの水やりを行うことが大切で、
水枯れしやすい夏時期はこまめに水やりを行い葉枯れを防ぎます。肥料については露地植え付けに適した春に一度、緩効性の化成肥料を置き肥しますが、鉢植えの場合には生育期間中、2週間に1回程度液体肥料を与えます。生育に合わせて肥料を与え、夏場は高温期であることから化成肥料の成分が早く溶け出すこともあり、施肥量は控え目にすることで枯らすことなく、開花を楽しむことが可能です。
増やし方や害虫について
シモバシラは多年草であり、その花を楽しむために苗を増やすことが可能です。もちろん、タネからも増やすことができるために露地栽培において数多く増やす場合には適しています。その他、挿し木で増やす方法もこの品種の場合には適しており、5月から6月頃が挿し木に適した時期であり、用土には鹿沼土や赤玉土、桐生砂やイワシャジンなどの用土を準備します。
挿し木で増やす場合には、他の植物同様にたっぷりの給水を必要とし、ナイフなどで枝を切り、切った断面を半日以上水に浸し、その後は浅いポットなどに挿して日陰で管理します。発根や発芽を見極めた後、仮植えを行います。さらにシモバシラの増やし方として根っこから増やす方法もあり、冬枯れした後の根っこを掘り出し、
ナイフなどで半分に割き、水を入れたコップに浸して発根を促します。根っこから増やす方法は発根の成功率が低いために基本的には挿し木で増やしますが、多年草であり生命力に優れているシモバシラであるため、増やすことを可能にしています。根が回ってきたら、仮植えを行い、ポット内が窮屈になる状態で露地植えや鉢植えで楽しみますが、春または秋に植え付けを行います。
さらに害虫としては、シソ科であるためにアオバハゴロモなどのシソやハーブなどの植物に発生しやすい害虫がつく場合があり、卵から幼虫、成虫までが発生するために葉っぱがかじられたり、吸汁性であるために枯れる原因にも繋がるため、土また葉っぱに薬剤を散布する対策が必要です。アオバハゴロモの場合には大量発生していない場合であれば放置しても問題はなく、山野草であるために病気に強いのも魅力の植物です。
シモバシラの歴史
学名はKeiskeaJaponicaであり、シソ科シモバシラ属に分類される宿根草がシモバシラと呼ばれる山野草であり、別名には雪寄草という名が付けられています。生息地また原産は本州を含め、四国や九州であり、日本固有種の1つとして現在も栽培が進められています。この品種が一般的に普及しはじめたのが明治の時代であり、学名のKeiskeaは植物学者であった圭介と呼ばれる名を取り、
さらに種小名のJaponicは日本を意味しており、日本固有種として現在では世界でも話題を集めている品種として知名度を挙げています。シモバシラという名前の由来となるのが、初冬に根っこが土から水を吸い上げ、冬枯れした茎の根元に霜柱に似た氷の結晶を付けることから、その見た目になぞらえてシモバシラと名が付けられ、
別名にも雪を寄せた草に見えることから雪寄草と呼ばれています。日本が原産地であり、生息地は西日本にかけての太平洋側が多く、山地の斜面のある場所や林の中に生息しており、明治の時代前から野草として様々な活用法で栽培が盛んに行われている歴史も存在しています。稲穂に似た花をつけることから、
切り花や茶花として古来より利用されていただけではなく、葉の部分の色素は染め色として煮出して抽出され、手ぬぐいなどの染め加工に利用されていた歴史も残されていますし、薬草としてや独特の香りを放つことから防虫効果の高い活用法が古来より提案されています。
シモバシラの特徴
シモバシラは高さ40cmから70cmに育つ多年草であり、花穂を伸ばして真っ白い花を咲かせます。柄のある花が花茎の片側だけに平行につけるのが特徴で、花はシソ科特有の唇形で真横を向いて咲き、花冠は白くて釣り鐘状であるのも特徴的な形です。花弁の内側には雄しべが4本と雌しべが1本で花糸は白色であり、葉っぱ部分は花と異なり大きく、
ノコギリ歯の長楕円形で濃緑色をしており、花序軸は緑色で花柄は紫色、さらに花は白色と山野草の中でも色あいの良さからガーデニングや園芸用として普及している品種です。さらに名前の由来通りの特徴となるのが、冬に地上に出ている茎部分は枯れてしまうものの、土の下の根っこは機能しており、
根っこの道管から吸い上げた水が冬の氷点下となる寒気によって凍り、膨張することによって枯れた茎が裂け、裂けた部分から水が染み出して一気に凍り、霜柱のような氷の結晶また塊を作り出すのが最大の特徴と言えます。霜柱ができるためには、土の下の地下の温度が適度に保たれていることが好環境の条件となり、
鉢植えを屋外に放置した状態では霜柱の現象を見ることは困難であるのもこの植物の特徴の1つです。露地植えでも霜柱の形や付き方は異なり、高さも3cm程度から30cmになるものもあり、維管束が機能する12月頃から1月の冬の期間にのみ見られる現象です。さらに、シソ科またキク科の山野草にもこうした霜柱が見られる現象を持つ品種が存在しています。
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