オヒルギの育て方
育てる環境について
上記に述べたように、沖縄や東南アジアのような熱帯地域の川や海水が混ざるような湿った土地に生息する植物を日本の自分の家で育てることは不可能だと誰も考えがちです。自然に近い環境を整えるだけでも一苦労する印象を持つ人がほとんどでしょう。実際に難易度は決して低いとは言えませんが、自宅での栽培もできないことはありません。
しかし、自然に自生している北限が奄美大島というくらいですから、日本本土で育てる人は特に冬場は温度調節などに気を遣わなければなりません。夏場は比較的手入れも楽だと言えます。しかし、冬場は可能ならば家の中で育てるのが良いです。家の中でも危険だという人もいるぐらい寒さに耐性が無い植物なので、温度変化には常に注意を払うようにしましょう。
光を好む植物なので、太陽が当たる場所に置いてやると元気になるはずです。自然環境に近い水槽など常に水がある環境で小魚を同居させて育てる人もいれば、一般の植物と同様に普通の鉢植えやプランターに植えて挑戦している人もいるようです。畑に植えてみる人もいるかもしれませんし、水栽培する人もいるでしょう。
どの環境が一番だということは無いですが、栽培に失敗する人も多い植物なので、多くの人が試行錯誤している状態と言っても過言ではありません。あまり植え替えをされることを好まない植物のようなので、成長に従って頻繁に植え替えをする必要が無いように、予め広い場所や大きめの容器で栽培を始めるのが良いでしょう。
種付けや水やり、肥料について
オヒルギを自宅で育てようとしている人は、自生している地域を旅行した際にマングローブに魅せられて種を持ち帰った人もいれば、インターネットなどで苗を取り寄せた人もいるでしょう。自己流の育て方にこだわる人もいますが、元々栽培方法も容易ではないため何かの信頼できる情報を頼りにするのが良いでしょう。
栽培方法によって管理方法の大変さや育ちの速さに差が出るようです。また、種にも善し悪しがあると言われています。水を多く含むことができるという点で川砂を用意するのが良いかもしれません。オヒルギが好む温かい時期に種付けなどの作業をしましょう。元々湿った場所に自生している植物なので水やりは必須です。
他の植物は水の与え過ぎが害になる場合もありますが、オヒルギの場合は心配ありません。また、海水が流入するような場所で自生しているため、海水を与える必要があると勘違いされがちですが、普通の水で大丈夫です。海水を与えても問題ありませんが、準備も面倒でしょう。むしろ、初めは真水を与えておきながら、急に海水を与えると、
それが原因で枯れてしまうこともあるようです。どうしても海水を与えたい人は、初めから海水を与えるようにしなければなりません。また、肥料に関しては必要ありません。肥料を与えるとむしろ元気が無くなるという珍しい植物です。成長は年単位で見守らなければなりません。すぐに結果を求めて一喜一憂するのではなく、長い目で待ちましょう。
増やし方や害虫について
自然に生息しているオヒルギは面積も広く繁殖しているため、環境さえ整えば簡単に繁殖できるものだと考えられがちです。さらに、海水にも適応しているため、植物自体の生命力も強いと考える人が多いでしょう。しかし、自然の中で自生しているオヒルギでさえも、繁殖は意外にも難しいようです。種が落ちても、その種から発芽する確率は高くありません。
なぜならば、害虫に食べられている種子が多いからです。もし、生息地から持ち帰った種子が発芽しないのならば、虫に食べられているという可能性も否定できません。もしくは、発芽までに時間がまだまだ必要な場合もあります。一般的に販売用などで採取される種子は、自生しているオヒルギの枝の高い部分にある物から取られるようです。
つまり、人間の手が届くような低い位置にある種子はほとんどが虫の餌食になっているということです。発芽して苗の状態で販売されている物も殺虫処理など様々な手が加えられていると考えられます。家庭で栽培していて成長の速度や見た目の元気さに疑問を感じた場合は、
ホームセンターや園芸センターなどの職員に相談し、アドバイスを仰いでも良いでしょう。成長の時間の問題か害虫による被害か成長障害かなど素人には様々な症状の原因の見極めは難しいですが、問題を見つけたら解決方法を模索するしかありません。原因がわからなければ、何回育てても失敗してしまいます。解決方法の模索が一番効果的な増やし方だとも言えます。
オヒルギの歴史
マングローブと聞けば、自然豊かで温暖な地域の水中や水上に蔓延る植物のことを想像する人が多いかもしれません。日本本土では滅多に見ることができない光景なので憧れる人もいるでしょう。見るだけで日本の慌ただしい現実から逃れられる感覚に捉われます。多くの人が想像する通り、東南アジアやオーストラリアなどの温かい地域にのみ生息していますし、これらの地が原産地でもあるようです。
日本では沖縄本島をはじめその近辺の島々でのみ見ることができます。奄美大島が日本で生息できる限界の地だとされています。マングローブという名称が一般的にあまりにも有名になっていますが、実は複数の植物の総称だと知っている人は多くありません。よく見てみると葉の形や花の種類が異なるはずです。
オヒルギはマングローブを構成する植物の種類のうちの一つです。仲間の種類として、ヤエヤマヒルギやメヒルギなどがあります。自生しているものもありますが、接枝などによって繁殖した場合もあります。成長するのがとても遅い植物のため、多くの人が想像するようなマングローブ林を形成するまでには想像できないような年月を経ているはずです。
環境破壊が進む現在では、異常気象や気候変動も懸念されています。それに従って、生息していたはずの植物が見られなくなることもあります。特に、沖縄は現在でも自然が多く残され、珍しい生き物や植物が生息しています。マングローブが天然記念物として指定されている場所もあります。
オヒルギの特徴
オヒルギが他の植物と大きく異なることは、いつも水に浸っているような場所に生息しているということです。それもただの水ではありません。海水です。人間が飲用するにしても海水の濃度は高すぎますが、満潮時にその海水に浸かってしまっても問題はありません。普段は淡水の川で満潮時に海水が流入して淡水と海水が混ざった状態でも生きられます。
また、いつも水に浸かっているような土地や乾燥することのない土地はぬかるんでいて安定しません。普通の植物なら、倒れて折れてしまうでしょう。しかし、オヒルギはその欠点をカバーしてぬかるんだ土壌でも生きられるようあちこちに根を張って体を支えます。繁殖方法も独特です。枝の上で発芽した種子を落として繁殖します。
専門用語では胎生種子と呼ばれるようです。生き残るための知恵が凝縮された植物だと言えます。日本人は東南アジアや沖縄をリゾート地として捉えがちです。これらの土地にある植物は見慣れない土地に住む人間にとって異国情緒を感じさせると共に癒しのための道具にもなり得ます。しかし、実際に熱帯地域で生きる植物は、
とても厳しい環境に置かれており、生き残るために進化したと見方を変えると面白いでしょう。地域によっては、染料として利用もしているようです。東南アジアでは、エビ養殖が盛んになったためにマングローブが減ったと報告されています。自然の産物を利用するのは良いことですが、破壊するのではなく共生する方法を考えなくてはなりません。
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