ウェストリンギアの育て方
育てる環境について
ウェストリンギアの原産地同様に、育て方としては環境も重要であり、日当たりや生育温度などでも異なる花付きを行います。花を楽しむ目的であれば、日当たりのよい場所で育てるのが適しており、充分に日に当てることによって生育が良く、花付きも良くなります。
目安として、1日を通して6時間程度の日照がある場所で問題なく育てることが可能ですが、真夏の直射日光は花を咲かせる前の生育には向かないため、露地植えでは西日などが当たらない場所を選び、鉢植えの場合は半日陰へ移動させます。ウェストリンギアを丈夫に生育させるには18度から25度程度の温度をもっとも好むため、
春から秋にかけては露地植えでも鉢植えでも外の気温を考慮しながら育てることが可能です。ウェストリンギアは冬の寒さに対してはマイナス5度程度の環境に耐えることができるため、暖地では外での越冬も可能ですが、霜に当たることで葉は傷んでしまうためにベランダや軒下などの場所に移動させて越冬させます。
葉が密生する特徴を持つウェストリンギアは高温多湿な気候が苦手でもあり、株の中は蒸れやすく、葉や花付きの悪さを招きやすいため、通気性の良い環境下で育てることも必要で、真夏は暑さで根が枯れてしまう場合や根つきにも影響するためにできる限り涼しい場所で管理するのが適しています。挿し木で増やす場合の育てる環境としては気温が20度から25度程度の日が長い梅雨時期に育てるのが好条件で生育する環境と言えます。
種付けや水やり、肥料について
ウェストリンギアは園芸店において種が売られており、種付け時期としては4月から5月の春時期をはじめ、9月の秋にも種付けが可能ですが、市販されている苗から植え付けるのが一般的で、同じく春または秋に行いますが、種からの場合は1ヶ月前倒しで種付けすることで苗と同時期に花を咲かせることが可能です。
種からの場合には園芸用のビニールポットに土を入れて種を蒔き、水をたっぷり与えた後、涼しい日陰管理で発芽を促します。発芽した後、茎や葉が苗植えに適した生育状態になったらプランターに植え付けます。この場合には鉢底ネットと鉢底石を敷き、市販の培養土を入れてプランターの中央に水はけを意識して根本を高めに植え付けます。
水やりは鉢底から水が流れ出る程度にたっぷり与え、日陰で定着するまで管理します。肥料に関しては生育期となる春と秋に粒状の化成肥料を株元に与えますが、控えめに与えることで葉の色までが美しく生育します。基本となる水やりは、原産地同様に比較的乾燥した土壌を好むために土の表面が乾いてからたっぷりと与えますが、
株が腐ってしまうために過湿には気を付けます。目安として土の表面が白く乾いた状態で水を与えることです。1年を通して乾かし気味の環境下で育てるのが適しており、メリハリある水やりが重要ですが、長雨になりやすい梅雨時は軒下などの屋根のある場所へ移動させることで、乾燥気味に管理することが可能で、ハーブ用土や肥料に気を配ることなく生育できる品種も増えています。
増やし方や害虫について
ウェストリンギアは挿し木で増やすのが一般的で、増やす時期としては4月から5月の春をはじめ、9月の秋に植え付けを行いますが、挿し木の適期は1ヶ月先伸ばしとなる6月また10月頃です。新芽の先端3節から4節となる長さ約5cmから10cmほどの挿し穂を使って増やしますが、カットする場合には切れ味の良いナイフで水の吸い上げを良くするために斜めカットの挿し穂を用意します。
下葉がある場合には枚数を減らすこともポイントで、下葉が多過ぎると蒸散作用が盛んに行われてしまいやすく、腐ってしまったり葉が1枚も無い状態では逆に挿し木で根が出なくなりやすいために調整します。給水させた後、挿し穂を用土に埋まるように挿し、発根するまで日陰で管理します。挿し木で増やす場合の用土にはハーブ用も利用できますが、
赤玉土に腐葉土、バーミキュライトや鹿沼土を混ぜた土を使うのが適しており、微塵の土はふるいに掛けることで土の通気性を高めさせます。ウェストリンギアの場合、発根した後、育ち始めるには1ヶ月程度管理する必要があり、根が育った後は1本ずつポットに植え替えて植え付け適期にプランターや露地植えを行います。
病害虫としての被害は意外と少なく、防虫効果の高いハーブでもあるためにシソ科の植物を好む害虫も寄せ付けないために栽培しやすい品種ですが、かかりやすい病気としては根腐れ病があり、発生した株は処理するのが適した対処法です。害虫予防として木酢をスプレーで掛ける予防も効果的です。
ウェストリンギアの歴史
シソ科・ウエストリンギア属に分類され、別名にオーストラリアンローズマリーの名前を持つ低木がウェストリンギアです。別名にある通りに原産地はオーストラリアであり、学名はWestringiafruticosaです。シソ科に分類されているものの、現在では20種類以上もの品種改良により栽培が盛んに行われている歴史が挙げられています。
その全ての品種がオーストラリアが原産の常緑低木で、ウェストリンギアの別名であるローズマリーの名は、その葉っぱや花の形状がローズマリーに似ていることが由来となっています。品種改良された種類にはウェストリンギアロスマリニフォルミスがあり、生息地は原産地である東南海岸部です。
シソ科であるローズマリーと花の付き方が似ているものの、香りには違いがあり、ローズマリーのような芳香は持っておらず、ハーブとして利用されることが無いのも特徴です。日本へ流通されるようになった歴史も浅く、観賞用として利用されるに留まっているものの、その特徴的な葉や花はドライフラワーとして利用されたり、
カラーリーフの利用法で古くから活用されています。さらに葉っぱの特徴として、ビロードの風合いに見える短毛が生えているため光沢があり、ドライフラワーにした際にはカラーリーフとして存在感を出すために観賞用としてだけではなく、こうした利用法が原産地では今も行われており、品種改良となる種間交雑種などの栽培研究も盛んに行われています。
ウェストリンギアの特徴
オーストラリアが原産である常緑低木のウェストリンギアは、上記で挙げた通りに細長い葉や花の形状が同じシソ科であるハーブのローズマリーに似ていることが特徴的な植物で、姿形が似ているだけで芳香は無い香りの違いも1つの特徴です。シソ科となるため、特徴的な唇形の白い花を3個程度輪生して咲かせるのですが、花びらは5弁であり、
その上唇弁には柔らかな密毛がびっしり生えており、逆に下唇弁は薄紫が特徴的な斑点が現れています。開花期間は春から秋にかけての長い期間見頃が続き、白い花色だけではなく薄紫からピンクがかった花色までの園芸種も数多く普及しはじめており、小花の付きも良くて栽培しやすい植物です。細い針状の葉は向かい合って生える対生であり、
その葉っぱは分厚くて密毛でツヤがあり、柔らかな手触りで同じシソ科であるローズマリーと異なり、枝も柔らかなのが特徴です。株全体の特徴としては草丈があるためこんもりしており、高さは100cmから150cm程度に生育します。強靭な植物であり、生息地を海岸部とするだけに海水による塩分濃度の高い環境下にも強く、
さらに霜などの低温にも耐えるなどの気候や土壌を選ぶことなく常緑で花を付けるため、世界各国で普及し、栽培されている特徴が挙げられており、原産地また生息地では草丈や強靭な生育環境から生け垣の代用としても利用されたり、海岸部では潮避けとしても植え付けられている栽培の特徴もあります。
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