アルテルナンテラ‘千日小坊’の育て方
育てる環境について
すでに述べましたが千日小坊の開花は短日性の特性を持っています。この開花の短日性とは一日のうち一定時間の光が当たらなくなると花を咲かせるという特性です。つまり、開花時期の10月から始まるのは日照時間が短くなってきていることが大きく関わっています。その光は決して太陽光だけではなく、蛍光灯などの人工の光でも同じ傾向を示します。
特に、室内で育て方ではその光を注意しなくてはなりません。日中は窓際で日光を浴びて、夜は蛍光灯の下に晒されて、一日のうち大半を光のなかで育つといくら開花時期の10月を過ぎても開花しにくくなります。他にも24時間営業のお店の近くで育てたことで、24時間光が当たって開花しないというケースもあります。
逆に言えば、光を当てる時間を減らしていけば、開花時期を早めたり長くしたりすることが可能です。生花店で売られているものはそうやって調節されています。また生息地がエクアドルやペルーといった亜熱帯だったため、暑さには強い一方で寒さには注意をする必要があります。5度以下になると枯れる可能性があるため、
寒冷地では鉢植えかプランターで育てるのがオススメです。それ以外の地域では屋外で育ててもほぼ問題はありません。また霜にも弱いため、地植えするときは万が一のときを考えて植物を覆うシートを用意しておいたほうが無難です。天気予報で霜を喚起しているときシートを被せておけば霜へのダメージを大幅に減らすことができます。
種付けや水やり、肥料について
栽培において水やりに関しては生長期にあたる4月から10月までこまめに水を与えます。基本的には乾燥にも強い植物であるため、土に湿り気がある程度で十分と言われています。特に植え替えをしたときは、根付くまでしっかりと水を与える必要があります。ただし、根腐れや感染症にかからないように水溜まりができないように注意をしなくてはいけません。
その一方で、10月から3月にかけてはほとんど水を与える必要はありません。よほど土が干からびているなら、土を湿らす程度に水を与えることとなります。10月頃から花が咲くため、10月以降も生長期のように思われますが、実は休眠期にあたります。肥料も水やりと同じで生長期には与えて、休眠期には与えません。
ただし、生長期に肥料を与えすぎると葉や枝が大きく育ってしまいます。咲く花の数や大きさはほとんど変わらないため、大きく育ちすぎると不恰好になってしまいます。そのため、肥料を与えるとしても緩効性化成肥料を少量施すくらいでちょうど良いです。また大きく育ちすぎないように剪定も行うことが大切です。
剪定する時期は4月から8月までがベストです。伸びてきた葉や茎を枝元から切るようにすれば仕上がりが綺麗になります。9月過ぎになって剪定してしまうとせっかく生えた花芽も一緒に摘んでしまうことになり、花の数が減ってしまいます。千日小坊の最大の見せ場は花なのですから、9月過ぎからはあまり弄らないように心がける必要があります。
増やし方や害虫について
千日小坊は、基本的に生命力の強い植物です。そのため、感染病や害虫にも非常に強いので、安心して育てられる植物の一つとなっています。ただし、春頃になるとアオムシなどの幼虫が発生することがあります。放っておくと葉っぱを食べられてしまうため、取り除く必要があります。殺虫剤を使用するのも効果的です。
ただ室内で殺虫剤を使用するのを躊躇われるのならば、冬のうちから防虫ネットを被せておくといいです。羽虫を近づけさせなければアオムシの発生は極力抑えられます。そして、千日小坊の繁殖は挿し木か株分け、さらには種まきでもできます。種子がほしいのならば、落ちた花を探って見ると小さな粒が見えます。
それが千日小坊の種子なので、それを保存しておいて春に植えれば、その年には花が咲きます。株分けをするときも春が良いとされており、鉢植えはプランターで育てている人は植え替えと同時に株分けをするのもいいかもしれません。根っこは解してから新しい土に植え替えてください。そのときの土は市販されている園芸用の腐葉土で十分です。
そして、株分けをしたときは根付くまでしっかりと水を与えることを忘れないようにしなくてはなりません。ただし、この植物は種子であれ株分けであれ、法律的に営利目的で増殖させることは禁止されています。個人の趣味で増やしたり譲渡したりするのには何ら問題はありませんが、それで商売をしようとすると違法となるので注意が必要となります。
千日小坊の歴史
園芸店や生花店などでは千日小坊という常緑多年草が売られています。これはペルーやエクアドルといった中米原産の植物です。アルテルナンテラという名前でも売られていることがあります。それは園芸品種がアルテルナンテラ・ポリゲンスだからです。学術的にはヒユ科アルテルナンテラ属に当たります。
なぜ千日小坊と呼ばれるようになったかというと、小さく赤紫の花がたくさん咲きますが、その姿が千日紅(センニチコウ)に似ているからです。ただし、千日紅に比べると一回り小さいです。日本では花を子供のように例えることがあり、「千日紅よりも小さな子供(小坊)」からこの名前が名づけられました。
そのため、2つは同じヒユ科ではあるものの、全く別の種となります。昔から日本ではなじみのあるセンニチコウとかなり似ているため、日本でも人気のある植物です。しかし、姿が似ているからこそ、「センニチコウを小さくした品種」だと勘違いして育てている人も少なくありません。
何しろ園芸店や生花店の人ですらセンニチコウと間違って販売していることがあるほどです。ちなみに生花店では開花した状態で年中扱っていますが、基本的には10月から1月の中旬頃まで開花時期となります。日本では秋から冬にかけると花を咲かせる植物が減るため、冬を彩る植物としても人気が高いです。春でも夏でも開花するのは短日性という特性があるため、それを利用して開花時期を調節しているからです。
千日小坊の特徴
千日小坊の最大の特徴はやはり愛くるしい花にあります。茎の先にひょいと小さな円錐形の赤紫の花が咲くため、遠目で見るとまるで野イチゴのようにも見えます。日本の場合、一般的には地植えした場合10月から1月頃まで長い間咲き、多くの人々の目を癒してくれます。
後で詳しく述べますが、環境を整えてあげるともっと開花時期を広げることができますし、上手に育てると一年中花を楽しむことも可能です。また草丈は放っておくと60~80cmほどの高さになりますが、剪定をすることで10~20cmに抑えることもできます。
そのため、地植え以外にも鉢植えやプランターにも植えやすくマンションやアパートでも育てやすい植物となっています。小さな鉢に小さく育てると、野イチゴのような花がより一層可愛らしく見せることができるため、部屋のインテリアとして女性の人気が高いです。また切り花にしても1ヶ月ほど持つため地植えしても室内に飾ることができます。
その一方で、ドライフラワーや押し花などにも加工しやすいため、園芸以外にも手芸でも楽しむことが可能です。さらには11月頃から紅葉していきます。当然、紅葉しても花は咲き続けるため、10月頃とはまた違った彩を楽しむことができます。
この紅葉は花が散った1月過ぎでも続いているため、冬から春にかけて庭先に色を与えることができます。冬になるとガーデニングで彩が寂しくなると悩んでいる人はこの千日小坊はオススメです。
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