ミツバシモツケソウの育て方
育てる環境について
優れた耐寒性・耐暑性を備えていますので、栽培も易しく神経質になる必要はありません。夏季に最盛期を迎える花なだけあって、暑さには比較的強いミツバシモツケソウですが、直射日光に弱いので夏場の強烈な日差しには注意しましょう。年間を通して半日陰を好み、適度に湿り気のある場所でよく育ちます。幼苗の頃はやや貧弱なところがあっても、
肥沃な土地に植え付けると根のはりが活発になり、1年でかなりの大株になります。十分に成長した茎は案外丈夫で、生半可な風雨では折れたり倒れたりすることがありません。育て方に気を使わなくてもすくすく伸びて管理のしやすいところもミツバシモツケソウの強みです。宿根草・多年草は花期が短めなので、
庭植えする場合には開花時期のずれる一年草や球根などと組み合わせて寄せ植えにすると、花のつかない時期にもなんらかの花が咲き一年中豊かな庭を楽しむことができます。逆に、宿根草・多年草のみを一所に集めて専用の花壇を作ってしまうというのもひとつの方法です。一年草のように花の終わりに根を抜かなくてもかまいませんので手入れのメリハリがつけやすく、
肥料も揃えて与えることができて手間が少なくてすみます。過度にさえならなければ密植栽培にも対応しますから、広範囲に複数の株を群生させてもいいでしょう。独立させて繊細な咲き姿を楽しむもよし、花壇一帯に小花の咲き乱れる見事な群生美を堪能するもよしと、用途の幅があるところもミツバシモツケソウの魅力です。
種付けや水やり、肥料について
種まきは残暑が去り、秋の気配を感じる9月~11月頃に床まき、または箱まきにします。種同士が重ならないよう、丁寧にすじまきして薄く覆土しましょう。低温を発芽条件とするため、気温が下がりきらないうちに播種してしまうと、なかなか芽が出ずにやきもきするかもしれません。しかし、ミツバシモツケソウは元来、発芽するまでにかなり日数のかかる植物です。
種をまいた後、直射日光に気を付けて常に湿度を保っていれば、春の訪れとともに元気に双葉を覗かせるでしょう。また、ミツバシモツケソウを含むバラ科の植物は、繁殖力の強い品種が多いことで知られています。自然界では毎年こぼれ種で芽吹くくらいですから、庭に直まきしても安定した発芽率が期待できます。
種から育てるのが面倒なときは、園芸店でポット苗を入手すると丈夫な苗を手軽に植え付けられて便利です。種から育てたものは本葉にすると4,5枚、苗全体がこぶし大程度にまで育ったら定植を行います。未熟なうちは枝が安定せず、折れたり曲がったりすることがありますので、必要を感じたら支柱を利用するなどして補助してあげましょう。
肥料は成長期の春か、開花で消費した栄養を補わせたい秋のはじめに、化成肥料や油かすなどの有機肥料を適量施します。水やりは土の表面がカラカラに乾くより一足先に、早め早めに行ってください。ミツバシモツケソウの生育には、あまり日の当たらない湿った環境が適しているため、とくに夏場は水気を切らしたままで放置しないようにしましょう。
増やし方や害虫について
花の終わった枝が目に付くようになったら、花茎を剪定して根元から15センチ程度に切り詰めます。種ができるのを防ぐことによって、越冬に向けての余力を蓄え、残った芽の成長を促す効果があります。こうして冬の準備を整えておくことで、紅葉を迎える頃には根元に来春用の新芽が膨らみはじめます。花後そのままの状態にしておくと種をとれますが、
親株を疲労させないためにも増やすときは株分けで増やしましょう。ミツバシモツケソウが活動を開始する春もしくは秋の剪定前に行い、ダメージを受けやすい夏の花期と冬越しの時期は避けるようにします。鉢植えのものは根詰まり・根腐れを起しやすいため、2,3年に1度の頻度で株分けを兼ねてひと回り大きな鉢に植え替え、老化した株をリフレッシュさせます。
鉢底から根が飛び出してしまっているときや、水やりのあと水分がいつまでも吸収されずに土の表面に溜まっているときは植え替えのサインです。株を痛めないように優しく掘り起し、絡まった根を少しずつほぐして新しい根を寄り別け、古い根の間を割るように2,3株に切り分けます。健康な根をむやみに切らないように細心の注意を払いながら、
若く細い根を残して悪くなった部分を綺麗に取り除きましょう。株分けが済んだら元肥をすきこんだ新しい土にそれぞれを植え替えし、水をたっぷりと与えて完了です。病害虫の心配はほとんどありませんが、枝葉の密度が高くなり風通しが悪くなると虫がつきやすくなりますので、混み合ったところは適時刈り込むようにします。
ミツバシモツケソウの歴史
ミツバシモツケソウは北アメリカ南東部原産の宿根草です。高地の広い範囲を生息地とし、アメリカ合衆国では野山を中心に自生しています。温暖湿潤な日本の気象条件とも相性がよく、和風庭園にも洋風ガーデンにも自然に馴染む適応性も手伝って、主に鉢物用として人気が高まりました。ミツバシモツケという別名は落葉低木のシモツケを彷彿とさせるものの、
実際にはミツバシモツケソウとは別属で姿形にあまり共通点は見当たりません。「ミツバ」の由来は3出複葉といって、1枚の葉が3つに分かれているところからきています。バラ科の仲間には和名に「シモツケ」と名のつく分類があるため、同科の植物であることを表しているともとれますが、どちらかというとシモツケよりはユキノシタやダイモンジソウなどの野草の花とよく似た楚々とした雰囲気を持っています。
日本国内のガーデニングといえば花期の長い一年草がもてはやされており、宿根草や多年草は一部愛好家の好む地味な草花というイメージを持たれています。しかし、本場ヨーロッパでは花期の短いそれらの草花を上手に取り入れ、各々の特徴を生かした効率的な庭作りを行っています。冬季には土の中で密やかに命を育み、
地上からまるっきり存在感を消していた植物が、春の訪れを告げるようにひょっこり顔を覗かせる様子は見れば見るほど愛おしさが増します。人々に季節の移り変わりを感じさせながら毎年少しずつ成長していく宿根草は、日本の一般家庭にも徐々に溶け込んできているようです。
ミツバシモツケソウの特徴
いかにも儚げな見た目と違って、園芸店では山野草のコーナーで見かけるほど野性的な植物です。ミツバシモツケソウは上記に挙げたとおり、寒い季節にも地中に根を残して耐え忍ぶ宿根草です。冬の間、地上に出ている葉や茎はすべて枯れて落ちてしまいますが、春になり暖かくなってきた頃にふたたび芽吹いて成長をはじめます。
枝分かれしながら40~100センチの草丈まで成長し、晩春から初夏にかけては伸びた花茎の先端に白~淡桃の華奢な星型の花をつけます。淡い色合いの無数の花弁が初夏の風に吹かれてひらひらと揺れる風情は、宙に舞う小さな妖精の姿をイメージさせ実に可憐です。また、ミツバシモツケソウには葉と茎の色が異なるという大きな特徴があり、
花期の葉が緑色をしているのに対して弁縁と茎は美しい深紅に染まっています。3つに分かれた葉は細く清楚で涼やかな印象を与え、全体に女性的な優美さを感じさせるところがあります。春~夏の間緑色をしていますが、秋の紅葉シーズンには茎と同様に燃えるような赤に色付き、目に鮮やかな色彩で鑑賞者を楽しませてくれます。
バラ科の植物らしい華やかさと野趣を持ち合わせているので、1株を鉢植えにしても見栄えがしてとても綺麗です。何年も育てて大きくなると、根元から盛んに分枝して厚みを増し、植え付け初年のシャープな草姿にも徐々に風格が出てくることでしょう。適度なボリュームがありながら茎はスッキリと直立でバランス崩れを起しにくく、形が乱れにくいため熱心な愛好者の多い植物です。
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