ウグイスカグラの育て方
育てる環境について
ウグイスカグラは、山野草の樹木ですから、育て方は容易です。庭に地植えにしておけば、根づいて生育していきます。耐寒性も耐暑性も強いほうです。冬の霜にも強く、積雪地帯でも育ちます。北海道の生息地と、本州南西部の生息地では、自然環境が大きく異なりますが、ほとんど差がなく生育します。温暖な地域では、花が3月頃に咲き始めます。
寒冷な地域では、花が5月頃に咲きます。多少の時期がずれてしまいますが、同じような花を咲かせられます。どちらかという乾燥気味の土壌のほうが、生育しやすい傾向にあります。湿地帯では生育しにくいため、庭木として栽培する場合には、排水性を良くしておくと良いでしょう。花壇で小さく育てることも可能です。
落葉性の低木ですから、秋に葉が黄色くなって落葉してから、短く剪定することで樹高を抑えられます。自分が育てたいと思う高さよりも少し短めに樹高を抑えて剪定すると良いでしょう。庭で放置気味に育てた場合は、高さが3メートルくらいにまで達します。落葉しますので、住宅地によっては枯葉が飛散し、近隣に迷惑がかかってしまうこともありますので、
管理しやすい高さに剪定するように心がけましょう。庭木として栽培すれば、花の咲く春には、切り枝としても楽しめます。切り枝は、生け花で利用されるスタイルです。観賞用の花として花瓶に挿しても良いでしょう。剪定するタイミングは落葉している冬の間が良いのですが、切り枝として楽しむ分であれば春に切っても大丈夫です。
種付けや水やり、肥料について
ウグイスカグラは、乾燥気味に育てたほうが、生育が良くなります。水やりは、あまり頻度を多くしないようにしたほうが良いでしょう。鉢植えやプランターであれば、土の表面が乾燥してから水やりします。庭に地植えしている場合は、自然の雨水だけで大丈夫です。花壇に植えている場合は、夏の高温多湿に気をつけましょう。
とくに寄せ植えにしている場合は、風通しが悪くなってしまうと、木が弱ってしまいます。花壇で栽培する場合は、同じように乾燥気味で育てるハーブや花と組み合わせるのが良いでしょう。落葉性の低木ですから、そのまま育てていると、大きくなろうとします。しかし低木は地中の根の深さや広さが、樹高に影響します。
ある程度、樹高を抑えて育てたいのであれば、花壇の幅と深さを調整し、あまり深くまで根が張りにくいようにしておくのも、賢い栽培方法です。地植えにしている場合は、肥料を与えなくても大丈夫です。ただし土壌が痩せてきてしまうと、花が少なくなってきたり、果実の実りが少なくなってきます。
とくに梅雨の時期に、しっかりと赤い果実を楽しみたいのなら、冬の間に油粕を与えておくと良いでしょう。庭木として栽培しているのであれば、油粕と鶏糞を株元の地中に埋めておくと、緩やかに効き目が浸透していきます。鉢植えやプランターの場合でも、油粕は有効です。手軽に追肥を行うのであれば、液体肥料が便利です。花が咲き終わる頃に液体肥料を与えておけば、梅雨の時期の赤い果実も、実りが良くなります。
増やし方や害虫について
ウグイスカグラの増やし方は、挿し木でも、株分けでも、種子から発芽させても、いずれも可能です。どの増やし方も容易です。注意したいのは、挿し木をするときは、雑菌の少ない土壌で行うことです。理想的な挿し木の方法は、鹿沼土や赤玉土などの、衛生的な土だけを使用することです。
挿し木に関しては、腐葉土や培養土は用いないほうが良いでしょう。株分け方法は、一般的な庭木と同じ方法で大丈夫です。しっかりと根が生育している株を使用して行うようにしましょう。種子からの発芽は、夏に実った果実から種子を採取しておいて、冬の間は保存をしておき、春になったから蒔く方法です。発芽率は高いほうですが、最初の一年間は成長が緩やかです。
ウグイスカグラは病気に強く、それほど神経質にならなくても安心して育てられます。害虫も発生しにくいです。ただし、環境によってはカイガラムシとアブラムシが繁殖してしまうことがあります。どちらかというと、近くに植えてある別の庭木で発生した害虫が風に飛ばされてきて、付着してしまうことが多いです。
花壇の寄せ植えの場合は、他の植物が繁って、風通しが悪くなってしまうと、カイガラムシが付きやすくなります。ウグイスカグラの木を目阿多に害虫が発生することは少なく、周辺の環境に影響されやすいです。有機栽培用に活用されている、ニームやヒバの精油を水で希釈して、散布しておけば、害虫忌避効果が得られます。害虫忌避効果を狙うときは、周辺の植物にも全体的に散布しておくのがコツです。
ウグイスカグラの歴史
ウグイスカグラは、スイカズラ科スイカズラ属の植物です。落葉性であり、低木です。高さは1メートルから3メートルほどに成長します。漢字で表記すると、鶯神楽になります。和名である鶯神楽の由来は、鶯が茂みの中で、岩戸神楽を舞っていることを見立てています。日本が原産です。北海道と本州と四国に生息地が分布しています。
本州では北から南まで、さらには東から西まで広範囲にわたり山野に自生しているのが特徴です。日本の平安時代に編集された辞書である和名類聚抄に、アウ実という名称で登場しています。アウとはウグイスのことです。江戸時代には、貝原益軒によって編纂された大和本草にも登場します。大和本草は生物学書であり、農学書です。
大和本草は生物学書や農学書としては日本で最古の資料です。大和本草の中で、春になってウグイスが鳴く頃に花を咲かせる木として記載されています。ウグイスカグラは、春に花を咲かせます。生け花の世界では、花材の種類が限られてしまいやすい春先に重宝してきた木です。そのため生け花や茶道の師匠の家に植えられることが多かったのも特徴です。
江戸時代から現代に至るまで、庭に植えてあると、生け花や茶道に宴のある家柄ではないかと推測されるほど、分かりやすい目印となってきました。最近では、観賞用の山野草の樹木としても人気があります。ハイキングで観察されたり、赤くて美しい果実を実らせることから、庭木として栽培されることも増えてきました。
ウグイスカグラの特徴
ウグイスカグラは、落葉性の低木です。スイカズラ科スイカズラ属の植物ですが、カズラではありません。名前の語感がカズラと似ていることから、つる性の植物ではないかと誤解されることがありますが、落葉性の低木です。カズラとは蔓と漢字で表記される、つる性の植物です。ウグイスカグラは鶯神楽であり、秋には葉が黄色くなり、落葉します。
春に花を咲かせます。花は、薄いピンク色です。園芸用に品種改良されたものの中には、白く咲く品種もあります。白い花を咲かせる品種は、シロバナウグイスカグラと呼ばれています。花の特徴として、花冠がラッパ型であることが挙げられます。花冠は、5つに裂けます。
薄いピンク色の花冠は、平らに開くのですが、園芸用の品種である白い花の場合は、花冠の先端は平らに開かずに、とがったような形に開きます。ウグイスカグラの花の形状を、漏斗形と呼ぶこともあります。調理器具の漏斗に似ている形状だからです。葉は、楕円形です。葉は向かい合って生えます。葉が向かい合って生えることを、対生といいます。
葉の縁には、のこぎり葉がありませんので、触ってもギザギザしていません。葉の裏には毛が生えています。葉の縁から毛が生えることもあります。楕円形の葉の縁だけが、ぐるりと赤い色を帯びてくることもあります。梅雨の時期になると、赤い果実が実ります。果実は液果と呼ばれるタイプで、果汁が甘いのも特徴です。果実を食用にすることも可能です。
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