ヤマブドウの育て方
育てる環境について
耐寒性と耐暑性が高いので、栽培スペースを確保することができれば、育て方は容易です。ヤマブドウを育てる際に気をつけたいのは、気温よりも湿度です。耐寒性が高くても、湿度の高さには必ずしも強いとは言い切れない要素があります。耐暑性は優れていますが、高温多湿の状態が過剰に続いてしまうと、葉が腐って溶けてしまうことがあり、
葉が溶けたまま放置していると茎にも悪影響を与えてしまいかねません。果実を収穫させることを目的とする場合には、できるだけ湿度が過剰にならないように、風通しの良さを確保できるように心がけると良いでしょう。風通しが良い状態に育ててあれば、雨天が続いたあとであっても、迅速に乾燥しやすく、植物にとって適切な湿度を得られやすくなります。
風通しの良さを確保するために棚仕立てが有効なことも多いです。雌雄異株の特徴を活かせるように広い栽培スペースを確保できれば、適切な風通しを得るのも容易になります。落葉樹ですから、冬季は適切に乾燥させやすいのですが、夏は葉が生い茂った状態ですから、葉の状態を見極めながら、剪定作業を実施すると良いでしょう。
剪定作業を実施しやすいように、人間が近づいて作業しやすいように空間スペースに余裕を持っておくと良いでしょう。高温多湿な夏に、あまりにも葉が生い茂りすぎていると、虫が生息しやすい環境になってしまいます。受粉や受精には、虫の来訪が重要ですが、虫が生息しやすい環境になってしまいすぎるのは問題です。適切に葉の剪定を実施すると良いでしょう。
種付けや水やり、肥料について
ヤマブドウは日本に自生する野生種ですから、基本的には水やり作業を行わなくても大丈夫です。自然の雨による水だけで、充分に育てられます。耐暑性が高いですから、真夏の直射日光を浴びて葉の一部が焼けることがあっても、木が枯れてしまうことがありません。安心して育てられます。肥料は腐葉土のように、堆積した落葉が腐敗したものが適切です。
落葉樹であることを考慮し、ヤマブドウの落葉そのものを木の根元に撒いておくだけでも効果が大きいです。収穫した果実から得た種子は、冬季の間は保存しておくと良いでしょう。乾燥させて湿度の低い場所に保管しておくと種子としての品質が長持ちします。空き瓶に乾燥剤と一緒に保管しておくのも良い方法です。
春になったら地面に蒔きます。肥料は腐葉土と似たような効果の得られる植物発酵の液体肥料が吸収が良いです。植物成分を発酵させて製造されている液体肥料ならば、吸収も良いです。冬季に肥料を与え手億のであれば、固形成分として製造されているタイプも良いでしょう。
雨水や結露の水分で肥料有効成分が溶け出しますので、ゆっくりと地面に浸透していきます。枯葉を直接、根元ら撒いておくのであれば、お米のとぎ汁を有効活用するのも良いでしょう。枯葉の上から直接、とぎ汁を撒いても大丈夫です。冬季の間に根から吸収されていきます。落葉中に、しっかりと腐葉土と肥料を対処しておけば、夏には肥料を与えなくても充分に育ち続けます。
増やし方や害虫について
ヤマブドウは、つる性植物です。つる性植物は、地中の根でも増えていきます。日当たりが良くて、気温の高い夏に、葉の光合成で栄養分が生成されていきます。耐暑性が高いですから、気温の高さは問題ありません。しかし高温多湿の状態で、生い茂った状態が蒸されてしまいますと、病害虫が発生する懸念も出てきます。
病気はカビが原因のものが多く、過剰な湿気がカビの胞子を増殖させてしまうことが要因です。新緑の時期に、育った葉に蛾が飛んできて、卵を産んでいくこともあります。蛾の幼虫が葉を食べてしまいますが、それが原因で枯れてしまう心配はほとんどありません。むしろ、蛾の幼虫が大量発生したときの、虫の糞が根元に溜まってしまうことで、
独特の匂いが発生してしまったり、カビの栄養源になってしまうことのほうが心配といえます。ですから、すでに生育している木は心配ありませんが、種子を蒔いて発芽させた若木の場合には、病原菌が繁殖しにくいように、土にも配慮をすると良いでしょう。りんご酢を1000倍に希釈した水を散布することで、カビの胞子や病原菌の蔓延を予防できます。
土も健全な状態になります。つる性の植物なので、まれにセスジスズメガの幼虫が発生することがあります。葉の新芽を食べつくされてしまうことがありますので、見かけたら割り箸を利用して摘み取ると良いでしょう。セスジスズメガの幼虫は毛虫なので、有機栽培用のニームオイルを適切に散布しておくことで忌避効果を得られるようにすることも可能です。害虫は、発生させる前に忌避効果で予防するのがベストです。
ヤマブドウの歴史
ヤマブドウは低木落葉樹です。日本では、古くからエビカズラと呼ばれてきました。古くから存在している日本原産のブドウです。日本では、赤紫色の色彩のことを葡萄色と表記しますが、葡萄色の読み方はエビイロであり、エビカズラの呼称が由来です。果実としてのヤマブドウは、とても酸味が強いために、
一般的に好まれて食べられるという歴史がなかったのですが、近年はジュースやワインの原料として活用されるようになってきました。ヤマブドウの自生している生息地のなかには、アイヌ民族の土地もありました。アイヌ民族はヤマブドウの樹皮を有効活用して、わらじを作成していました。日本でも籠を編む材料として活用されてきました。
樹皮はゴムのような粘性のある繊維が特徴です。粘性がありますので、籠を編むのは容易ではないのですが、なめし加工をすることで編みやすく、しかも丈夫な製品が完成します。果実をジュースやワインの原料とするようになってからも、強い酸味というクセがあるため、品種改良が試みられていることが多いのも特徴です。
果実を乾燥させてドライフルーツにすることも好まれています。ドライフルーツならではの食感は、生食の果実の時には味わえないものがあります。果実の生食と言う点では、ブドウにかなわないといわれることが多いのですが、ドライフルーツにしたり、シロップ漬けにすることで、甘さと酸味のバランスを調整しやすくなり、広く親しまれるようになってきています。
ヤマブドウの特徴
ヤマブドウの特徴は、なんと言っても野性味あふれる外見と、垣根仕立てに最適な、つる性です。つるは丈夫なので、垣根仕立てだけでなく、棚仕立ても可能です。葉には、くも毛が見られます。花は初夏に咲きます。ヤマブドウは雌雄異株だということも特徴です。雌雄異株ですから、おしべと、めしべの、受粉と受精が重要です。
基本的に、めしばは健全な状態で生育します。おしべは、発芽能力のない花粉しか生み出せない状態に生育してしまうものも多いです。しかし自家受粉が可能です。自家受粉が可能なので、種子は収穫できます。受粉と受精が容易ではないこともあり、品質としての安定さを獲得するのが困難なのですが、
日本古来からの在来種であることもあり、こだわりを持って栽培されることが多いのも特徴です。雌雄異株なので、どうしても広いスペースを確保しなければならないという要素もあります。これはヤマブドウの果実を実らせるには、ひとつの樹木だけでは無理だということが影響しています。現実問題として、ヤマブドウの果実高い植物であるのにもかわらず、耐暑性も極めて高いです。
冬の寒さと夏の暑さでを収穫できるようにするには、雌木と雄木の両方が必要不可欠になっています。雌木と雄木を混植させることで、果実を実らせることが可能になります。そのため広いスペースを確保する必要があります。北海道やサハリンや千島列島などにも自生していることからも分かるように、耐寒性は極めて高いです。耐寒性が極めて気温差が大きくなっている日本列島エリアでも、栽培しやすいのがメリットです。
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