レモンバームの育て方

レモンバームの育て方

レモンバームとはメリッサとも呼ばれるハーブの一種です。南ヨーロッパが原産で、地中海近くが生息地とされています。レモンバームの歴史はとても古く、古代ギリシア・ローマ時代から薬草として扱われてきました。レモンバームをワインに漬けこみ、薬として用いていた記録が残っています。栽培が始まったのはおよそ2000年前になります。

レモンバームの育て方

ハーブはとても繁殖力の強い植物として知られています。そのため、園芸初心者にも栽培に適した植物ではないかと思います。日当たりのよい場所だと特に成長が早くなります。直射日光が当たる場所よりもやや日陰に近い場所の方が葉のつやが出て美しいレモンバームに成長します。

日当たりに関して特に気を付けなければならないのが梅雨の時期です。曇りや雨が続き、葉の葉緑素が少なくなって葉自体が柔らかくなってしまったあと、真夏の強い日差しのもとで育てると、環境の変化に耐えきれず、葉っぱが焼けてしまうことがあるのです。ハーブ全般に言えることですが、レモンバームは比較的寒さに強い植物です。

特に防寒などの準備をしなくても、来年にはまた新たなレモンバームが生えてくることもよく見られます。手入れに関して大切なことは、葉っぱの手入れです。葉っぱが込み合って密集した状態はとても風通しが悪くなります。特にレモンバームのようなこまかい葉を持つような植物は、そういった事態になりがちです。

風通しをよくするために、枝を間引いて株全体をすっきりと風の通り道を作るようにしましょう。これをおこたってしまうと、温度の上昇による葉の枯れ、病気の原因などにつながります。枯れた葉は余計に養分を渡らせないように、その都度こまめに取り除いてください。

特に梅雨時は湿気も多く且つ植物もぐんぐんと生長するので、あまり茂らせないように注意しましょう。開花したあとのレモンバームは茎がかたくなり、食用として向かなくなってきます。そうなった茎は株の近くで切り落としてください。湿り気のある土を好むので、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりを行ってください。

水やりをしないと葉っぱが黄色く変色していきます。こうなると、レモンバーム独特の香りも弱くなってしまうので、注意するようにしてください。肥料を与えなくても増えやすく成長しやすい植物ですが、もしも与える場合、まずは土に肥料を混ぜ込んでおくとよいでしょう。

その後で追肥として化成肥料を株から少し離れた場所に与えて下さい。そうすることで、地中に張った根が肥料を養分として吸い取り、効率よく育てることができるからです。収穫した後も追肥をすることで、来年の春には新芽が芽吹いてくれることでしょう。株が古くなればなるほど、香りが弱くなっていきます。若い株の方が香りも強く、葉も柔らかいので、一定の大きさまで育ち切ったら株を新しいものにするのもよいでしょう。

レモンバームの殖やし方

種付けは、あまり直射日光が当たり過ぎない場所を選んでください。陽の当たらない湿った場所がおすすめで、建物の隙間などが最適です。ですが、強い植物ですので特別な手入れをせずともぐんぐん大きくなっていくハーブです。さらに一度植えると、親株の花から種がこぼれ落ちることで新たなレモンバームが生まれ、そのまま植えるとたちまちレモンバームの畑が出来あがるほどです。

冬には葉が枯れてしまいますが、宿根草なので、根自体は生きています。越冬も比較的簡単で、特に平地では対策は必要ありません。春になると新芽が芽吹いていきます。他に挿し芽でも育てることができます。おすすめの時期は冬以外、要するに葉が青々としている時期ならばいつでも刺し芽をすることができます。

ただし、夏の暑い時期は葉が焼けやすく、株自体も弱っていますので、うまく根付かないことがあります。まずは挿し芽にするための挿し穂を作ります。葉の節が3節ほどついている茎を探します。葉の節の少し下でカットし、上の葉を同様にカットすることで挿し穂の完成です。

この挿し穂はすぐに挿すのではなく、1時間ほど水を吸わせておきましょう。土もそこまでこだわる必要はありません。園芸店などで売っている挿し芽用の土が簡単に済ませることができます。まずはポットの中に挿し芽をします。

しばらくは直射日光を避けるため、日陰や室内で育てます。しばらくしたら脇芽の生長が始まりますので、そうなってくると木本体が鉢に定着していきます。しばらく成長したらいよいよ植え替えです。やさしくポットから取り出したら、土を崩さないように別の場所に植えかえて下さい。

レモンバームにつきやすい害虫や病気

高温や多湿の環境には弱い植物です。風通しが悪くなると、すす病という黒いカビが生えてくることがあります。これは葉緑素を隠し、光合成を妨害してしまう病気です。光合成ができなくなると植物は生長することができません。そのため、こまめに葉や枝の手入れをするようにしてください。

また、レモンバームはシソ科の植物なので、虫がつくこともあります。代表的な害虫がベニフキノメイガ、ハンモスヨトウ、ヨトウムシ等の蛾の幼虫です。これらは見付けたら、手で取り除くか、薬を使用して退治してしまいましょう。またバッタ類が葉を食べてしまうこともあります。こちらも薬によって退治することが可能なので、早目の対策をしてください。

レモンバームの歴史

レモンバームとはメリッサとも呼ばれるハーブの一種です。南ヨーロッパが原産で、地中海近くが生息地とされています。レモンバームの歴史はとても古く、古代ギリシア・ローマ時代から薬草として扱われてきました。レモンバームをワインに漬けこみ、薬として用いていた記録が残っています。栽培が始まったのはおよそ2000年前になります。

アメリカ大陸が発見されるまでは、糖分といえば糖蜜が主としたものでした。そのため、ミツバチがよく集まる植物とされているレモンバームが大切に育てられていたのです。もちろん、糖蜜のためだけではなく、薬草としての効果も高いとされ、大航海時代には著名な錬金術師であり医師でもあったパラケルススから生命のエリキシルと呼ばれました。

エリキシルとはエリクサーとも呼ばれ、飲めば不老不死になるとも言われていた霊薬のことです。パラケルススはレモンバームを炭酸カリウムと調合し、プリムム・エンス・メリッサエいう薬を作りだし医療にも用いました。レモンバームの別名であるメリッサとは、ミツバチを意味するギリシャ語が由来になっています。レモンバームの白い花がミツバチを引き寄せることから、こう呼ばれるようになりました。

レモンバームの特徴

レモンバームの特徴はやはり、その爽やかな香りです。その名の通りレモンを思わせる香りは、シトラールを含む葉にあります。そのため、葉をもむと特に香りが強くなります。ハーブティーとして使用されることが有名で、ショック状態やパニックの時に気持ちを冷静にさせる効果があります。

イライラやストレスの緩和にもおすすめです。また、虫よけとしても効果的で、レモンバームを浸し、香りをうつした水をスプレーのように身体にかけると、蚊や虫が寄ってこない効果を持ちます。完全無添加の虫よけスプレーとしても使えるとても便利な植物です。見た目の特徴としては、ミントを思わせるような細かなぎざぎざのついた葉っぱが特徴です。

葉の大きさは比較的小さめで、葉の裏面には細かな毛が生えていることがありますが、食用やハーブティーにするにあたって特に問題はありません。葉の色は黄緑色をしており、根元に近くなると濃い緑になります。

シソ科の植物であり、花もシソのようなまっすぐに伸びた花茎が特徴、節ごとに小さな白い花を咲かせます。花は薄い黄色だったり、紫のような色のものもあります。茎にこまかく密集した花はとても美しく、鑑賞用としてもおすすめです。

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