シペラスの育て方

シペラスの育て方

シペラスは、カヤツリグサ科カヤツリグザ(シぺラス)属に分類される、常緑多年草(非耐寒性多年草)です。別名パピルス、カミヤツリ(紙蚊帳釣り)と呼ばれることもあります。シペラスは水辺を好む湿地性の植物であり、主に使われていない田んぼや畑、川辺、小さな池などを生息地とします。

育てる環境について

シペラスの育て方のポイントは、日光の当たる、暖かい場所で育ててあげることです。もともと熱帯・温帯地域に栽培されていた植物の為、暖かい場所を好みます。湿地帯の植物なので、春から秋にかけては土が常に湿っている状態にしてあげましょう。

室内や日当たりが悪い場所で育てていると、茎がやせ細って伸びきってしまい、鉢とのバランスや見栄えも悪くなってしまうので、注意が必要です。ただし風の強い日は、室内に入れましょう。茎が細いので、強風により折れてしまう可能性もあります。

生育が著しい春から秋にかけては、屋外で直射日光をたっぷりと当てることで株が丈夫に育ちます。晩秋から冬を越すまでは、室内の出来るだけ日光が当たる場所で育てます。シュロガヤツリは比較的寒さに耐久性がありますが、パピルスはカヤツリグサの中でも寒さに弱い品種なので、

パピルスを育てる場合は冬でも出来るだけ暖かい場所に置いてあげましょう。最低気温が5℃以上であれば、越冬することが可能です。冬は水やりを控えめにし、乾燥気味にして管理します。もし地上部分が枯れてしまった場合は、茎を時際から切り落として、冬の間は乾き気味にして管理し、

春になり気温が高くなった頃、室外に置き、水分を与えます。こうすることで、新芽が出てきます。一般的に小~中鉢で育てられることが多いですが、他の多湿性植物と寄せ植えをしたり、鉢ごと水槽や池などにしずめて育てることも出来ます。水槽や池で育てる場合も、冬には室内に移してあげましょう。

種付けや水やり、肥料について

植え付け用土には赤玉土7、腐葉土3を混ぜたものを用います。シペラスは基本的に一年中生育し、非常に水を好み、吸収する植物です。大きく育てたい場合、春から秋にかけての生育期は毎日たっぷりと水分を与え、常に湿っている状態にしてあげます。

鉢底に受け皿を置き、その中に水を溜めておくのもおすすめです。ただしこの場合は、水が腐らないようにするため、こまめに水を取り換えるか、根腐れ防止剤を入れておく必要があります。肥料も、5月~9月の生育期に緩効性の化成肥料を1年に1回置き肥する程度で十分です。

肥料を多く与えすぎてしまうと、どんどんと徒長してしまい、重みで倒れてしまうこともあります。あまり大きく育てたくないという場合は与えないようにした方が無難です。また、株を小さくコンパクトにまとめて育てたい場合や、草丈を低く抑えたい場合は肥料はもちろんですが、

水やりも少し控えめにしてあげると良いです。シペラスは水を好みますが、決して湿ってないと枯れてしまうというわけではありません。水を与えれば与えるほど、吸収してよく生育するということです。ただし茎に元気がなかったり、

葉の色が悪い時は養分不足のサインなのでこの場合は化成肥料を少量、施してあげましょう。冬になったら、鉢土表面が乾いて3~4日ほどたってから水分を与える程度にしましょう。こうすることで、シペラスの耐寒性を高め、0℃の気温まで乗り越えられるようにします。

増やし方や害虫について

シペラスの増やし方には、株分けと挿し木があります。株が増え、根詰まりが起きたり、株と鉢のバランスや見栄えが悪くなってきたら、株分けをしましょう。時期的には植え替えと同じ春から秋にかけての、5月~9月が良いです。鉢から抜いた株のまわりの土をはらい、地下部分の茎を切り落とします。

この時、根や葉が傷んでいる場合は、傷んでいる部分も切りとりましょう。挿し木で増やす場合は、あらかじめ花瓶やコップなどに水を入れておき、その中にさしておくと根が出来てきます。茎の先端を5センチ程度の長さに切り、葉を半分程の長さに切りつめます。

鉢に砂を入れ、その中にしっかりと挿しこみます。気温が高い時期であれば、早くて一カ月ほどで根が出来てきます。シペラスにはカイガラムシによる病害が見られることもあります。葉の表面がテカテカと光ったり、ベトベトしてきたら、カイガラムシが発生している証拠です。

カイガラムシの排泄物が付着し、このような症状が表れてきます。カイガラムシは植物の養分を吸汁してしまうので、新梢や新葉の出方が悪くなるなど生育に悪影響を及ぼし、ひどい場合は枝枯れをおこすこともあります。また、カイガラムシの排泄物の上にすす病が発生し、

黒くなったり、寄生場所にこうやく病を誘発する危険もあります。カイガラムシによる被害を発見したら、すぐに専用の薬剤を散布し、除去しましょう。まだ初期段階であれば歯ブラシなどでこすって落とすことも出来ますが、その際は葉が傷つかないように注意して行うようにします。

シペラスの歴史

シペラスは、カヤツリグサ科カヤツリグザ(シペラス)属に分類される、常緑多年草(非耐寒性多年草)です。別名パピルス、カミヤツリ(紙蚊帳釣り)と呼ばれることもあります。シペラスは水辺を好む湿地性の植物であり、主に使われていない田んぼや畑、川辺、小さな池などを生息地とします。

世界の熱帯・亜熱帯、アフリカ北部からバレスチナ、シチリア半島、マダガスカルが原産地とされ、現在シペラス種の植物は世界でおよそ700種類といわれています。そのうち、日本ではカヤツリグサ、シュロガヤツリ、イソクラドュス、トラキサントス、アルボストリアツスなどといった、

およそ30種類近くが観葉植物として知られています。シュロガヤツリは、原産地であるマダガスカルで敷物をつくる時にも使用されています。日本へ初めてシペラスが伝わったのは、明治25年(1897年)とされています。

シペラスは、主に鑑賞用や繊維植物として生育・利用されていますが、牧草などにも使われることもあります。花言葉は「素直さ」。シペラスの仲間の代表品種としても有名なパピルスは、約2~3メートル程にも育つ大型の品種であり、

古代エジプト(紀元前2400年頃)では紙の原料として用いられ、パピルスの本種・茎などの繊維から紙を製造していました。「紙」の語源も、、このパピルスから名前が付けられるようになったとされ、英語の「ペーパー」(paper)の語源もここからきたとされています。

シペラスの特徴

シペラスは太い根茎にすっと長い茎を伸ばし、先端に細くて長い、繊細な葉を扇状に広げます。決して派手さはありませんが、水辺がよく似合う涼しげな草姿は、まさに夏向きの観葉植物といえます。品種によって異なりますが、熱帯アフリカなどの自生地では

2メートルから3メートル程まで育つものもありますが、日本に自生しているシペラス種のほとんどは雑草として扱われています。観葉植物として多く出回っている品種には、シュロガヤツリ、コシュロガヤツリ、アルボストリアツス、パピルスなどがあります。

特徴として、シュロガヤツリはマダガスカル原産で、草丈は1メートル以上にもなり、茎の先端から細長い葉を扇状に広げます。その姿から、別名アブラレラ・プランツとも呼ばれています。寒さにも比較的強く、関東あたりでは越冬する事もある一方、九州や沖縄では野生化しています。

そして、このシュロガヤツリが園芸品種として改良されたものが、コシュロガヤツリになります。草丈が20~25センチと短くコンパクトなので、小鉢植えにも最適です。南アフリカ原産のアルボストリアツスは、形はシュロガヤツリとよく似ていますが、

草丈が30センチ程と低めで、総苞の幅が広いのが特徴です。紙の語源ともなったパピルスは、北~中部アフリカ原産で、草丈2~3メートル以上にもなる大型品種です。葉や総苞は退化し、茎の先端に付く糸状の花穂が細かく枝分かれし、直径30~40センチ程の球を形づくります。

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