エロディウムの仲間の育て方
仲間の育てる環境について
日本全国で栽培することができます。どちらかと言えば耐暑性は低めで高温多湿を好まないので、寒冷地には特に適しています。育て方は、花壇への地植えか、植木鉢やプランターへの鉢植えです。根は深くありませんが広範囲に茎を伸ばして広がるので、広いスペースをとって植えると良いでしょう。
茎を伸ばす先をうまく誘導すると、花壇の縁取りや寄せ植えにも活用できます。育成環境は風通しが良く日当たりの良いところが最適です。また、どちらかと言えば乾き気味の環境の方が適しています。土の表面が乾いて白くなるくらいの状態まで放置しても問題なく生育し、
梅雨時や秋雨などの長雨の時期には水やりの必要がないほどです。ただし、耐暑性の低さを考慮して、夏場は半日陰で育成した方が良いでしょう。日光を好む品種ですが、半日陰でもよく育ちます。日当たりの良い環境に地植えした場合は、日光そのものよりも
日差しによる気温や地表温度の上昇に気を配る必要があります。遮光ネットなどの対策グッズを用いる場合は、遮光性より断熱性を優先して選んでも良いでしょう。蒸し暑い環境は得意ではないので、梅雨や熱帯夜、猛暑日があるような温暖な地域では夏を越す時には少々注意が必要です。
高い畝を作って植え付けたり、鉢に植えて壁に吊るすなどして地熱を避けたり、ロックガーデンを築いてそこに植え付けるなどすると良いでしょう。また、エロディウム自身が体力を節約するために夏場だけ花を付けるのを休む場合もあります。
種付けや水やり、肥料について
植え付けは春か秋に行います。園芸店では春先に苗が出回ることが多いので、その頃が一番入手しやすいでしょう。庭植えでは他の植物に負けてしまうことがあるので、鉢植えかプランター、または花壇の方が良いでしょう。花壇に植える場合、温暖な気候の地域では高畝栽培という育て方にしましょう。
高畝栽培とはその名のとおり畝の高さを高めにすることで、地表面から少し高い位置に植え付けることで水はけが良くなり地表面より低めの温度で栽培できるので、夏を越しやすくなります。畝は地表から15cm以上の高さになるように作りましょう。
土は、水はけの良い土を使います。高山性の植物に近い性質を持つので、その環境に近くなるようにしましょう。具体的には軽石、硬質鹿沼土または日向土、桐生砂または赤玉土を配合して与えます。いずれも小粒のものを選び、等量で配合するか、1対2対2の割合で配合して与えます。
または、市販の山野草用の土を使っても構いません。この時緩効性の肥料も混ぜておきましょう。あとは苗の品種ごとに表記されている深さに従って植え付け、水を与えます。水やりは土の表面が乾いたら行いますが、乾燥に強いのであまり神経質になる必要はありません。
むしろあげすぎないようにしましょう。土の表面が白くなるほど乾いてから与えても十分間に合います。ただし、株が蒸されないように日の高い時間帯は避けて行いましょう。肥料は植え付けの際に緩効性の肥料を土に混ぜ込んで与えるほか、生育期から開花終わりにかけての3月から9月頃に薄めた草花用の液体肥料を与えます。真夏は特に薄めにして与えましょう。
増やし方や害虫について
増やし方は種蒔きと株分けの2種類です。まず種蒔きですが、エロディウムの種子は6月から7月に採種することができます。蒔く時期は2月から3月上旬ぐらいの晩冬から初春あたりなので、適期になるまでは冷蔵庫に入れて保管しておきましょう。
また、エロディウムは種子の皮が厚くそのままでは発芽率が悪いので、蒔く前に拍日処理を行う必要があります。目の細かいやすりで種の一部を白い部分が見える程度に削ってください。削りすぎないように慎重に行いましょう。適期になったら苗の植え付けの時と同じように配合した土に蒔きます。
種から生長した株はその年には開花しませんが、順調に育っていれば2年目には開花するようになります。その後は生長に合わせて順次広い場所や鉢へ植え替えを行いましょう。株分けは植え替えと同時期に行います。時期は種蒔きの時期と同じです。
エロディウムの株はゴボウに似た太い根を中心に生えているので、傷つけないように掘り出します。古くなった根茎が自然に分かれているので、分かれ目に合わせて切り離します。若い芽に十分な根がついているようなら、芽を基準に切り分けても良いでしょう。
切り口には殺菌剤や癒合剤、園芸用の灰などをまぶして保護しておいてください。株分け後はすぐに植え付けます。エロディウムには、重篤な被害をもたらすような害虫や病気の類はありません。
ただし、アブラムシが出たり、うどんこ病という病気を発症したりする場合があります。エロディウムの生長には問題ありませんが、外観を損ねるだけでなく、他の植物に飛び火する恐れもありますので、発見次第薬剤の散布などの対策をしましょう。
エロディウムの仲間の歴史
エロディウムは、ヨーロッパの地中海沿岸地域原産の四季咲きの多年草です。これは原種と園芸品種を含めた総称で、一口にエロディウムと言っても様々な品種があります。エロディウムの仲間は世界各地に分布しており、草原や野原、森林など高地の山野を中心に様々な場所を生息地としています。
しかし、日本には野生では生息していません。和名ではヒメフウロソウと呼ばれており、良く似た名前のヒメフウロという名前の花としばしば混同されます。双方は外見も良く似ていますが、ヒメフウロは日本に自生する越年草でフウロソウ科フウロソウ属に属するのに対して、
ヒメフウロソウことエロディウムはフウロソウ科エロディウム属に属する品種なので、厳密には異なります。日本には他にもフウロと名のつく自生種がいくつもありますが、いずれもエロディウムとは別物です。古くから園芸品種として親しまれ、
原産地のヨーロッパを中心に品種交配が進み、新しい品種が活発に生み出されてきました。そのため花の色も種類豊富です。また、1年草のものや葉の形が変わっているものなど様々な性質のものがあります。流通名については、園芸市場でも混同されたままヒメフウロの名で流通していることがほとんどです。
小さな花が群生して咲くので、ガーデニングによく利用され、四季を通して庭を彩る花として日本全国に広く流通し栽培されています。国内で最も流通しているのはエロディウム・バリアビレという園芸品種です。
エロディウムの仲間の特徴
エロディウムはとても小さな花を付ける品種で、一株が大きく横に広がり、複数の株が群生する性質を持っています。ほとんどの品種の草丈は5cmほどで、大きくなったとしても10cm程度です。一番草丈の高い品種でも30cm程度ですし、いずれも地表に沿って這うようにしながら広範囲に広がります。
たくさんの花を付けるので、開花中は鮮やかなカーペットを敷いているかのように見えます。花は直径2cm弱で、その多くは花芯にむかって細かい線が入っています。白、ピンク、クリーム色など様々な色があり、斑点の入るものや覆輪咲きなど色の付き方も様々です。
花弁は5枚付いているものがほとんどですが、半八重咲きなど変わった咲き方をするものもあります。葉は卵型で縁が浅く裂けており、緩やかに波打っています。色は艶がなく濃い緑色で、赤っぽく色づいている場合もあります。茎は細く、株から伸びた茎が先端の方で複数に分かれ、
それぞれの花茎の先に花をつけます。茎は薄めの緑色で、赤みがかっている場合があります。四季咲きで、5月頃から10月頃までの長期間花を付けます。また、冬季常緑または半常緑種で、冬季にも葉を茂らせ続けるものと落葉するものがあります。基本的に耐寒性がある品種なので、
落葉するものであっても株だけの状態で冬を越し、春になればまた葉を出し、花を咲かせます。基本的に多年性で宿根性ですが、根を残さない1年限りの品種も出回っているので確認して植える必要があります。とてもコンパクトで全体の姿が崩れにくく、生命力も強いので、栽培にも管理にもほとんど手間の掛からない品種です。
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