フォザギラ・マヨールの育て方
育てる環境について
フォザギラ・マヨールの育て方は、庭や花壇への直植えか鉢植えでの屋外栽培です。耐暑性、耐寒性、耐乾燥性と総合的に優れた耐性を持っているので、全国各地で栽培することができます。極端な寒さや暑さのない本州、中国地方、四国地方、九州地方には特に適しています。
日照条件に関しても、よく日の当たるところから直接日が当たらない半日陰のところまで問題なく対応できます。強いて挙げるとすれば、どちらかと言えば湿り気のある土を好むので、極端に乾燥する場所や季節には注意が必要です。日光自体は好みますが、強い日光が当たって
乾燥しすぎると葉が焼けることがあるので、最も暑い真夏の直射日光にだけは気を付けましょう。特に、夕方の西日には当たらないような場所を定位置にして、朝と夕方にはたっぷりと水遣りをして潤す必要があります。西日が当たらない場所がなければ、他の植物で根元を中心に陰を作るか、
遮光ネットなどで軽く遮ってください。ただし、よく日に当てておいた方が秋により美しい紅葉を楽しむことができるので、最低でも明るい半日陰程度の明るさは確保しておきましょう。また、フォザギラ・マヨールの特性として、樹高そのものは高くないものの、
地面に対して水平に枝を広げるので横方向に場所を取ります。あらかじめそれを意識してスペースを取っておくと良いでしょう。色々な植物と合わせやすいので、花壇の背景として使ったり、他の植物と合わせたりすると、四季を通して庭のアクセントとして活躍します。
種付けや水やり、肥料について
花木の一種ですので、庭木用の株を購入して植え付けるのが一般的です。植え付ける時期は生長が落ち着く10月から11月中旬、または生長を再開する間際の2月下旬から3月下旬までが適しています。極寒期は避ける必要があるので、雪深い寒冷地では寒さが和らいでからの方が良いでしょう。
植え付ける時にはフォザギラ・マヨールがのびのび枝を広げられるような広い場所か、大きめの鉢を用意しておきましょう。いずれにせよ、株の根の大きさの2倍以上の深さと幅が必要です。土質は特に選びませんが、極端に水はけの悪い粘土質の土などは避ける必要があります。
庭植えの場合、まず土を掘り下げ、株の2倍の深さと幅を確保します。次に、掘り上げた土に腐葉土か完熟堆肥を混ぜ込んで植え付け用の土を作ります。あとはその土で植え付け、たっぷりと水を与えてから棒などで慎重に根の周りの土を馴染ませます。
また、翌年以降の花付きを良くしたい場合は、合わせて緩効性の肥料を混ぜ込んでおくと良いでしょう。鉢植えの場合は赤玉土に腐葉土か完熟堆肥を混ぜて同じように行います。水やりに関しては、基本的には必要ありません。自然の降雨で十分に育ちます。
日差しの厳しい真夏だけは、乾燥を避けるために朝夕たっぷりと行いましょう。日差しのある時間は避けてください。肥料に関しては、フォザギラ・マヨールは6月頃に翌春に芽を出す準備を始めるので、その頃にリン酸を豊富に含んだ肥料を追肥として与えると、
翌春の花付きが良くなります。この時、ゆっくりと長く効く緩効性のものを与えるのがポイントです。また、寒肥として2月頃に緩効性の肥料や固形の油かすを株の周りに施すのも効果的です。
増やし方や害虫について
フォザギラ・マヨールを増やすには、挿し木をすると良いでしょう。挿し木には若い枝を使う必要があるので、その年なってから伸びた新しい枝が堅くなりきる前に行います。時期的には、6月上旬から下旬の1ヶ月ほどが適しています。まず、新しい枝を先端から長さ5cmから8cm程度切り取ります。
この時、枝の切り口を潰してしまわないように綺麗に切るようにしておきましょう。同時に、先端の方の2、3枚の葉だけを残して、その他の葉はすべてちぎって取り除いておきます。次に、一時間ほど水あげを行います。水あげとは、バケツやペットボトルなどの容器に水を溜め、そこに枝を挿しておくことです。
この水あげを行うことで、枝の吸水をスムーズにすることができます。もしも枝の切り口が潰れていたら、同時に水切りを行っておいてください。水切りとは、水中で茎や枝を切ることで、水あげと同様の効果があります。行う場合は、短くなり過ぎないように注意してください。
終わったら、枝の葉同士が触れる程度の間隔で土に挿します。土は小粒の赤玉土やバーミキュライト、または挿し木用に配合された用土を用いるようにしてください。挿し木の育て方は、たっぷりと水をやりながら日陰で管理します。
その後は生長を見ながら時機を見て植え替えるようにしましょう。すぐに横に広がるので、広めの鉢か庭などの広い場所に植え付けます。病害虫については、フォザギラ・マヨールには特に気を付けるべき病気や害虫はいません。
フォザギラ・マヨールの歴史
フォザギラ・マヨールは北アメリカ東部原産の落葉低木です。北アメリカに自生し、山地や森林などを生息地としています。学名はFothergilla majorで、Fothergillaは医師で植物収集家だったジョン・フォザギル氏の名前にちなんでおり、majorは「大きな」という意味ですが、樹高は高くても2m程度と小振りです。
和名ではシロバナマンサクと呼ばれており、漢字では白花満作(または万作)と書きます。和名の由来は読んで字の如く、白いブラシのような穂状の花を咲かせることからです。また、この花の形状からホザキマンサク(穂咲満作、穂咲万作)とも呼ばれます。
名前のとおりマンサク科に属していますが、マンサクそのものとは少々見かけや性質が異なり、シロバナマンサク属という独立した属に分類されています。日本でも、春に甘く香る花として他のマンサク科同様に庭木にして親しまれてきました。また、秋になると紅葉する性質を持っているので、
秋の紅葉や冬の落葉なども含めて、日本の四季折々に合わせた楽しみ方をされています。植物公園などでも目にすることができるほか、一般家庭の庭先でも栽培されてきました。フォザギラ・マヨールは、四季折々の見た目が美しいのはもちろんですが、
育ち方の性質上特に剪定の知識がなくても趣のある姿を保つことができるので、非常に鑑賞向きの品種とされています。そのため、品種改良や交配合によって花付きを良くするなどして、より一層鑑賞価値を高めた園芸品種も複数生み出され流通しています。
フォザギラ・マヨールの特徴
日本では4月から5月頃にかけて、甘い香りがする白いブラシのような花を咲かせます。しかし、フォザキラ・マヨールには花弁と呼べるものはありません。このブラシのように見える部分は実際は雄しべで、多数の雄しべが放射状に広がって穂状の花のような形を成しています。
花の後にはさく果というタイプの果実ができ、熟すると下部が裂けて種子を散布します。葉は幅の広い楕円状のものが互い違いに生えます。大きさは他のマンサクより少々小ぶりで、葉の先は丸みを帯びており、葉の縁はギザギザとしていて鋸の歯のようです。
この葉はよく日光に当てておくと紅葉する性質を持っています。そのため、日当たりの良い場所に植えておくと、秋には美しい紅葉を見ることができます。また、落葉性なので紅く染まった落ち葉が舞い散る様子も眺めることができます。冬にはほとんど幹だけの状態になってしましますが、
耐寒性に優れているので、暖かくなれば再び若芽を出します。また、特に手を加えなくても自然と根元から3本以上の幹が立ち上がる「株立ち」と言われる状態になりやすい性質を持っています。もともとあまり大きくならず、地面に対して水平に枝を広げることから
全体の形が崩れにくいので、あまり手を加えなくても自然と観賞価値のある美しい樹形を保ちます。耐暑性があり乾燥にも強いので、極端に乾燥する真夏の高温期以外は、管理にほとんど手の掛からない花木です。成長はゆっくりとしているので、長い時間をかけて少しずつ変化していきます。
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