デンドロキラムの育て方
育てる環境について
暖かい場所を好み、比較的寒さに強いです。年間を通して、基本的に風通しのいい場所を選びましょう。直射日光のあたらない場所で、明るい日陰になる場所で育てます。世話を楽にするため、鉢植えがよいでしょう。気温が高く、直射日光が強い6月~9月は、戸外で40~60%遮光します。
寒冷紗や遮光ネットをかけたり、物陰になる場所に置きます。強い日差しにあたると葉が焼けて色が変化したり、弱ったりします。樹に吊るすと日光不足で不健康になることもあるので、木漏れ日を利用する場合は注意しましょう。4~5月、10月などの春・秋も20~30%の遮光をします。
地域によってはこの時期でも戸外は冷え込むことがあるので注意してください。寒い冬は、室内のガラス越しの日当たりのある場所に移します。日本の冬はそれほど直射日光が強くなく、日に当てた方が花のつきがよいとも考えられています。心配ならレースカーテン越しに光を当てます。
熱帯地方の蘭なので最低でも7℃以上の気温を保っておきましょう。13℃以上を保てられれば、春以降によく育ち、花つきがよくなります。暖かい日は窓を開け、風通しをよくすることも忘れないようにします。
デンドロキラムのほとんどは、熱帯地方の山地の森林で発見されています。森の中でわずかな木漏れ日がさしこみ、霧が立ちこめ、年間の温度差があまりないといった場所です。こうした原産地の環境を頭に入れておくと、栽培しやすいかもしれません。
種付けや水やり、肥料について
植え付け、植え替えは、4~5月です。新芽が伸びてきてから行います。時期を遅らせるとその年の生育に影響が出ることがあります。よく水を吸わせたミズゴケを詰め、素焼き鉢に植えるのが一般的です。ミズゴケでの根腐れが心配なら、バーク(樹皮を発酵させたもの)や軽石をまぜます。
植え替えのタイミングは2~3年に一度くらい、、鉢からバルブがはみ出したり、根が混んできたら行います。土が乾かないようじゅうぶん水をやります。鉢の大きさや植え込み材料によって水の量は変わります。土に水をやるのと同様に、直接株に噴霧してやるのもよいでしょう。
梅雨の間は雨に当てるのもかまいません。春からの秋の育成期は、特にたっぷりやります。この時期に水を切らすと、バルブが小さくなり、花つきが悪くなります。新しい葉が広がってくるときはとくに水を食います。株全体に気をつけて水遣りの回数や量を調節しましょう。
秋から冬は徐々に減らしていきます。休眠期の冬になったら、水やりの回数は控えめにします。しかし乾きすぎるのもよくありません。湿り気味の環境を好みますので、乾燥すると弱ってしまいます。新芽の伸びはじめる5月に固形肥料を置きます。
肥料が近いと傷むので、新芽と逆の位置にします。4~9月は月に一回、液体肥料をやります。薄めたものでもかまいません。8月以降は窒素分を含まない肥料にします。デンドロキラムはそれほど肥料を必要としません。適切にやれば十分です。
増やし方や害虫について
株分けでふやします。一株に一つ、必ず新芽がつくように分けます。3~5バルブで一株が限度です。小さく分けてしまうと、開花後に休眠状態が続き、新芽が出ずに花が咲かなくなってしまうことがあります。また、花が穂状に垂れるため、あちこちに穂が垂れ広がる大株に育てあげたほうが見栄えがします。
株分けする場合は最低限にするとよいでしょう。株分けの時期は、植え替えと同じ4~5月ごろに行います。腐った根を切り、しなびたり茶色くなった葉のない古いバルブを切り取ります。株分けする位置のバルブとバルブの接点を緩め、新芽に負担がかからないようもぎり、根を切ります。
ウイルス病にかかりやすいといわれています。黒い斑点が葉に現れ、生育が衰えます。この病気は治癒方法がなく、株ごと捨てるという対処法しかありません。花や葉を切るはさみや、株分けのときに使うナイフが原因になることが多いようです。
器具を使用する際は、刃先を焼くなど消毒してから使用しましょう。風通しの悪い場所では、カイガラムシやアブラムシがつくことがあります。根元にやる殺虫剤などで予防するか、見つけ次第に殺虫してください。また、湿った環境になるのでナメクジが寄ってくることもあります。
新芽を食い荒らすので、必ず殺虫します。ナメクジの嗅覚を利用した誘殺剤やトラップを使うか、鉢やプランターの下に隠れているのを探し、駆除します。吊るして育てるとナメクジの食害防止が期待できます。葉へ水を噴霧することは、ハダニ予防にも有効です。
デンドロキラムの歴史
デンドロキラムは東南アジアやオーストラリアに近いニューギニアが原産です。この種の蘭の大部分、67種ものデンドロキラムを発見し命名したのは、ヨハネス・ヤコブ・スミスというベルギー・アントワープ生まれの植物学者でした。1891年、彼が23歳のときジャワへ向かい、
やがてインドネシアの植物園の館長補佐の職に就きました。当時ニューギニアや東インドはオランダ領であり、行き来がしやすかったのです。彼はニューギニアの島々で植物採集を続け、オランダに持ち帰って蘭の数百種類を研究し、分類しました。その成果のひとつが、デンドロキラム種の発見でした。
ほかにもカール・ルートヴィヒ・ブルーメが、デンドロキラムのいくつかの種類を命名しています。ドイツ生まれの彼はオランダのライデン大学で学び、広く南アジアを植物学研究のため訪れました。なかでもオランダ領であるジャワを詳細に研究しました。
彼が発見したデンドロキラムも、ジャワとスマトラのものでした。フィリピンをアメリカが統治するようになると、より詳細な研究がされはじめ、20世紀にも多くの種類が追加されています。現在、これらの蘭は珍種として蘭愛好家に好まれています。
一般に流通することはあまりなく、蘭の専門店や海外の販売所、蘭のコレクターからの入手になるかもしれません。原産地の情勢が不安定なところも多く、環境的にも危機に瀕していることがあります。珍種は育てている人も少ないため、育て方の情報も少ないのが現状です。
デンドロキラムの特徴
ラン科の着生植物です。生息地は主に山の中で、樹の上や岩の上に着生し、地上にも着きます。東南アジア、とくにボルネオやフィリピンに多いとされています。基本的に30~50センチメートル程度と小型で、よい香りがする種類が多いです。大型の種類もいくつかあるようです。
品種改良があまりされておらず、約100種の原種をそのまま楽しむことができます。和名では「ホザキヒトツバラン(穂咲一つ葉蘭)」となり、名前のとおりに細長い穂のような花が垂れ下がります。このためフィリピンではライスオーキッド、ほかの地域ではペンダントオーキッドなどと言われます。
とがった星型の小さな花が花茎の上に二列ずつつき、連なります。種類によっては尾のようにみえたり、シャンデリアのように見えたりします。長いものでは50センチメートルも伸びたりするようです。花びらとガクがほぼ同形の細長いもので、真ん中の部分では小さい唇弁がついています。
白い花が多く、黄色や緑など比較的おとなしい色が多いようです。まれに赤色がついていることもあります。一つ葉蘭の和名どおり、根元の偽球茎(バルブ)のひとつにつき葉を一つだけつけます。種類によって葉の形状は変わりますが、とがった細長いものか、長い卵型です。
葉の茎はあまり長くないものが多く、根元からすっと伸びているように見えます。このバルブは多くの場合は離れていて、花の茎もバルブから一つずつ伸びていきます。花茎が葉に二つ折りにされるタイプと、花茎が葉に巻き込まれるようになっているタイプがあります。
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