ギンバイカ(マートル)の育て方
育てる環境について
ギンバイカは冬は温暖で夏は暑くて乾燥気味になる地中海周辺が生息地になるため、育て方では日当たりの良い場所での栽培が適しています。日陰で育てることもできますが、花や実の数が少なくなってしまうことがあるので、花を増やしたい時は日光によく当てるようにします。
耐寒温度はマイナス5度程度になり、関東以南の地域での栽培に適しているので、寒冷地での庭植えは避けるようにしてください。冬の寒さと冷たい風が苦手なので、霜が降りないように対策をして風当たりが強くない場所に植えるか、風を遮るものがある場所で育てるようにします。
花が終わると8月くらいに次の年に咲く花芽ができるので、樹木の形を整える時には花が終わり次第剪定を行うようにしてください。それ以降に剪定を行ってしまうと花芽を摘んでしまうことになり、翌年の花が少なくなります。ひょろ長く伸びた徒長枝や、木の内側に向かっている枝、
密集している部分などは剪定をしておきます。生垣などに利用していてそれ以上高さを出したくない時には、主幹を切って横枝を伸ばすようにします。ギンバイカは葉の生長に比べて幹の生長が緩やかなので、葉が多く茂ってしまうとその重さで幹に負担がかかり、
折れてしまうこともあります。開花前に葉が気になるようであれば、花芽に注意して剪定を行うようにしてください。実がなる時期には鳥がついばみに来るので、実を料理や果実酒などで利用をする場合には、ネットなどを利用して鳥よけ対策をしておきましょう。
種付けや水やり、肥料について
ギンバイカは水はけの良い肥沃な土壌を好む植物です。植付けをする際には3月から4月に行うようにします。鉢植えで育てる際には、赤玉土と腐葉土を混ぜた物を使い、緩効性の肥料を元肥として与えておきます。生垣で利用する場合はギンバイカ同士の間隔を30cmほどあけて植えこむようにします。
支柱は特に必要ありませんが、木に高さがあり株元が不安定な時には、根が張るまでは支柱で支えるようにしてください。支柱の固定には天然素材の柔らかい紐を使い、8の字に結んで幹と支柱をしっかりと結んでおきます。ギンバイカの木はとても柔らかいのですが、
2年ほどで木質化してきて生長が安定してきます。庭に植付けする場合は、土を良く耕しておき腐葉土やバーク堆肥を混ぜ込んでおきます。そして植付けをする根に対して3倍程度の深さの穴を掘ってから、適度な深さになるまで土を埋め戻してから植え込みます。
根巻きしてある苗を使用する場合は、麻布を取ったり紐をほどいたりせずにそのままの状態で植えます。水やりはたっぷりとおこなって、土の高さが低くなってしまった時には土を追加して周囲と同じ高さまで戻します。水やりは表面の土が乾いたら水を与えるようにします。
庭植えでもしっかり根付いて株が安定した状態になるまでは、土を乾燥させないように水やりを行う必要があります。ギンバイカは肥料もそれほど与えることはなく、植付けの時と2月から3月頃に油かすや化成肥料などを株元に与えるようにします。
増やし方や害虫について
ギンバイカは種と挿し木から増やすことができます。よく熟した実を採取して果肉の中から種を取りだしてよく洗い、乾燥させないように砂などの中に入れて、冷蔵庫や日の当たらない涼しい場所で保管しておいて、種まきは翌年の3月から4月ごろに行います。
挿し木をする時は、7月頃の気温が20度を超える時期に行います。挿し穂は伸びた枝を10cmほどの長さに切って、土に植え込む部分の葉を取り除いてから、しばらく水揚げをして水分を吸わせておきます。その後水はけの良い赤玉土やピートモスなどに茎を挿しておきます。
茎は鉢の中央ではなく隅のほうに挿しておくと発根しやすく腐りにくくなります。直射日光の当たらない明るい場所で管理するようにして、根が出てくるまでは水やりに注意して、水を切らさないようにしてください。乾燥している場合には霧吹きなどで葉に水を与えるようにします。
ギンバイカは病害虫にかかりにくい植物なので、手入れや管理がしやすくなっていますが、まれにさび病にかかることがあります。さび病はカビが原因になり、病気になると葉の表面に褐色の斑点ができ、その部分が盛り上がってこぶのような状態になります。
ギンバイカは放任でもよく育つ植物ですが、さび病は高温多湿の環境で多く発生するため、開花後の剪定をしっかり行って枝葉の風通しをよくしておくことが病気の予防につながります。害虫はカイガラムシが付くことがあるので、見つけた場合は棒やブラシなどで幹からはがしたり、薬剤を散布して対処します。
ギンバイカ(マートル)の歴史
ギンバイカはフトモモ科ギンバイカ属の低木常緑樹です。ギンバイカは和名になり、漢字では「銀梅花」と書きます。これは開ききる前の花の形が梅に似ていて、色が白く銀色に見えることが由来となっています。地中海沿岸原産の植物で西南アジアなども生息地としており、
現在でもトルコなどでは山間に自生しているギンバイカが見られます。日本には明治後期に伝わって栽培されるようになりました。ギンバイカの学名は「Myrtus communis L」といい丈夫で生命力が強く枯れにくいことから、不死の象徴あるいは成功と繁栄の象徴とされています。
ヨーロッパでは「myrtle」(マートルまたはミルテ)と呼ばれ、古代ギリシャや古代ローマでは美の女神(アプロディーテ・ヴィーナス)に捧げる花として用いられていたため、結婚式の飾りつけのリースや花嫁のブーケに利用されてきました。マートルは薬効のある植物としても知られていて、
一般的なハーブとして薬や料理などでも使われています。同じフトモモ科のティーツリーやユーカリもよく利用されているハーブになりますが、この2つと比べるとマートルは香りが抑えられています。葉には収れん作用や消毒作用があるので、スキンケアや入浴剤、
呼吸器系の症状の改善などに使われています。料理で使う時はつぼみをサラダにしたり、肉料理などの匂い消しとして使うことができます。茎がしっかりしていて葉の形が美しいため、庭の生垣などでも多く見ることができます。
ギンバイカ(マートル)の特徴
ギンバイカは高さおよそ2mから3mの低木で、葉の長さは3cmから4cmほどになり先端が尖った卵型をしています。葉は少し厚めで硬さがあり、葉をちぎるとユーカリに似た独特の香りがします。葉の色は濃い緑色をしたものと、葉のまわりに黄味がかった乳白色の斑が入るバリエガタがあります。
ギンバイカには背丈が1mほどで、葉の大きさも通常の物に比べて半分の1.5cmほどという、コンパクトに栽培できるヒメギンバイカ(姫銀梅花)という品種もあり、ドワーフマートルとも呼ばれさまざまな場所で栽培されています。園芸品種としてよく見るものに、
シトラールを多く含むレモンマートルがありますが、こちらは同じフトモモ科でも、バクホウシア属に分類され生息地はオーストラリアとなっています。ギンバイカの開花時期は5月から7月にかけて咲き、花の大きさは2cmほどになり、花弁は5枚で色は白、
その中央には3cmほどの糸のように細く長い雄しべがたくさんついています。花が終わると小さな実がつき、生で食べたり乾燥してスパイスとして利用できます。また、収穫した実をホワイトリカーに付け込んでおくと、琥珀色の爽やかな香りとほのかな甘みのあるマートル酒という果実酒が作れます。
マートルの実の中には長さ3cmほどの8個の種が入っています。アロマオイルとしてギンバイカの成分を利用する場合には、実ではなく葉から精油を抽出します。ギンバイカの花言葉には、「平和」「愛」「高貴な美しさ」などの意味があり、香りも良いので切り花にしてお祝いの際のプレゼントとしても適しています。
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