キンロバイの育て方
育てる環境について
キンロバイは日を好み水はけの良い土壌を好む植物です。しかし乾燥しずぎると根枯れしてしまうので水やりに注意が必要です。元々原種は高山植物なので冷涼地のほうが栽培しやすく、耐寒性も優れているので雪積下でも大丈夫です。太平洋側では冬の乾燥に注意し、
夏の高温と多湿による根腐れしてしまわないように水はけをよくするようにします。肥料のやりすぎも根を傷つける原因となるので注意しましょう。露地ものの移植は落葉期以外では弱る傾向にありがちなので、生育期間中はポット苗の利用をお勧めします。
庭植えで根がしっかりはってきたものは水やりさえ気をつければ成長しつづけます。土壌は水はけの良い土壌を好みますが、どの土壌にも耐性に優れています。山野草培養土が確実です。個人で配合する場合は、山砂を主流に鹿沼土や腐葉土を各2割程度混ぜます。ある程度の保水性のある土壌を作る事がポイントです。
盆栽の場合は、赤玉土8:桐生砂2の割合を基本とすると良いでしょう。庭植えの場合は樹木なので植え替えは枯れて来ない限り必要はありませんが、鉢植えの場合は、根詰まりが見られるようだったら春か秋に根をほぐして一回り大きい鉢に植え替えます。植え付けも気候が穏やかな春か秋が適期で、
半日ほど日の当たる水はけの良い場所に植え付けます。原種は礫地に生息しているのでロックガーデンにも向いています。剪定にも強い植物ですが、冬期の剪定は控えるようにしましょう。また、盆栽の場合は太木を剪定すると茎と根をつなげている水道が枯れてしまう可能性があるので太木を剪定しないように注意しましょう。
種付けや水やり、肥料について
キンロバイは日本では一般的に苗で春先に市販される事が多く、苗を鉢植えにして育てたり庭植えしたりして栽培します。英国などでは種も常に市販されており、容易に購入出来ます。種付けする場合は、気候が穏やかな4〜5月、9月中旬〜11月中旬にかけて行います。
種で増やしたものは個体差が出るようです。樹木なので樹高は1mほどまで成長します。日常の手入れで最も気をつけたいのは水やりで、乾燥を嫌いますが、水はけの良い土壌を好むので適度の水分が常に必要となります。特に鉢植えや盆栽の場合は土壌も小さく土壌中の水分を適度に保てる様注意をしましょう。
きちんと手入れをすると枝はぐんぐんと伸びるので必要に応じて剪定を行います。また生育の様子を見て適度に剪定することにより形を整える事が出来ます。盆栽のように大きく成長させたくない場合は、春の開花が一段落したら全体の刈り込みを行って、樹高を低く抑えるようにします。
肥料をさほど好む植物ではありません。肥料は根を傷めやすいので、最初は肥料が比較的少なめの土壌で育てて様子を見て、追肥をするのが無難です。春と秋に与えるようにして、夏の高温時に肥料が残らないようにします。
肥料は庭植えの樹木の場合固形肥料を1〜2つまみほど与えるようにします。プランターや鉢植え、盆栽の時はくれぐれも与え過ぎに注意しましょう。盆栽で育てる際、キンロバイは花を良くつける植物ですが花は木を弱らせてしまうので鑑賞しない場合は摘み取るようにしましょう。
増やし方や害虫について
キンロバイは耐性に優れた植物です。剪定にも強く、発根も比較的容易にしやすいです。増やし方は一般的に株分けか挿し木で行います。もちろん種でも増えますが前記で述べたように種より苗の販売のほうが盛んです。株分けは3〜4月、10〜11月頃に植え付けと同様に行います。
根を傷をなるべくつけないように手でほぐし、間隔を開けて植え付けるようにします。挿し木ととり木は一般の花木と同様5〜6月ごろ行います。発根は比較的簡単で株の根元に土を覆いかぶせておくと茎の途中から根が出る程容易でこれを切り分けて増やすことも可能です。
蒸し暑い夏は挿し木はしないようにします。また、6〜7月以降剪定をすると花芽を切り取ってしまう可能性があり、翌年花が咲かなくなってしまうので注意しましょう。キンロバイは強く、病気はあまり見られない植物です。害虫はめったに見られませんが
アブラムシなどの被害が葉の裏や花芽に見られる事があります。見つけたら放っておかずに樹木全体に被害が及ぶ前に薄めた殺虫剤を霧吹きなどで吹き付けるようにし早めに駆除するようにします。またメイガ類の幼虫が地際の土に入り込むことがあるので、
見つけ次第駆除するようにします。その他鉄砲虫が幹に付着する場合があります。鉄砲虫は、水枯れになる原因になるので注意が必要です。特に苗の成長期はまだ弱いので害虫にはくれぐれも注意しましょう。一旦樹木に成長すると多少の害虫ではさほど影響を受ける事なく栽培を続ける事が出来ます。
キンロバイの歴史
キンロバイは漢字で「金露梅」と書き、名前の通り梅に似た黄色い小さい花を株全体に散らばるように咲きます。その景観の良さと標高3000mを生息地とする高山植物でありながら耐性に優れ栽培しやすいことから庭のグランドカバーやロックガーデン、
日本や中国では盆栽として古くから親しまれている植物です。基本種のキンロバイは、北海道から本州北部の標高の高い所を生息地としています。キンロバイはバラ科キジムシロ属(ポテンティラ属)に属しています。このポテンティラ属は世界に約500種類も生息しており、
そのわずかな大木性の一種がキンロバイと呼ばれています。キンロバイは千島、サハリンにも生息しており、その他ロシア極東部、中国、北アメリカを原産国としています。日本では中部以西に変種の白い花を咲かせるハクロバイが自生しています。
属名のポテンティラ(potentilla)はラテン名でpotensとは強力の縮小形でこの属の一種が強い薬力を持っていた事にちなんでいます。高山に自生しているキンロバイは2007年の環境庁のレッドリストでは絶滅危惧II種に登録され保護を必要としています。
ポテンティラ属は交雑しやすく分類が非常に難しいとされていますが、過去の事例からキンロバイと変種のハクロバイは互いに混生することはないと言われています。また個体差や地域による変異が多く見られいくつかの変種に分類されていますが、日本には品種名がなく、個体選別されたものや野生種がキンロバイの名前で流通しているものも多く見られます。
キンロバイの特徴
キンロバイの特徴として、その鑑賞価値の高さと耐性這うように成長し30〜50cm程度、平地だと1m前後にまで成長します。花径2mm前後の小さいながら一目を引く小花を株全体に咲かせます。小さな葉は密生し良く枝分かれします。日本で一般に見かけるキンロバイの葉に毛はありませんが、
品種によっては少し毛があるものや沢山毛が生えているものがあります。一輪の花の寿命は短いですが開花時が長く次々と開花し続け寒冷地では秋口まで開花を楽しむ事が出来ます。日本や中国では盆栽愛好家から良く知られている植物の一つでもあります。
自生している高山の岩場のような盆栽を作る事が出来ます。また園芸が盛んな英国を中心に海外でも100種以上が栽培されています。ほとんどの環境に適正があり、成長が早く剪定も容易なのでグランドカバーや玄関用として使用されることも多くあります。
日本の野生種は黄色と白の花色が基本ですが、園芸種はバラエティーに富んでおり赤系やピンク系などの花色も見られます。赤系やピンク色のものは暑さで花色があせることがあります。キンロバイは蒸し暑い真夏日の期間には暑さのため開花を休むのが一般です。
キンロバイは種や挿し木、株分けからでも育てられますが、日本では春先に苗が園芸店に出回るので購入出来ます。育て方は比較的簡単で初心者向けの植物でもあります。盆栽の場合は根元の健康を保つため一年に一回、3月上旬〜4月中旬を目安として植え替えします。
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キンロバイの科名は、バラ科 / 属名は、キジムシロ属(キンロバイ属 Pentaphylloides)です。キンロバイは漢字で「金露梅」と書き、名前の通り梅に似た黄色い小さい花を株全体に散らばるように咲きます。その景観の良さと標高3000mを生息地とする高山植物でありながら耐性に優れ栽培しやすいことから庭のグランドカバーやロックガーデン、日本や中国では盆栽として古くから親しまれている植物です。