ウツボグサの育て方
育てる環境について
年間を通して、日当たりと風通しが良い場所で育てます。ある程度開けた場所が適していますが、夏は明るい日陰に置いても良いでしょう。土室は特別選びませんが、水はけの良い土が適しています。庭植えにする場合には、よほど水が溜まるような場所でなければ大丈夫です。
乾燥にも比較的強いので、乾燥しがちな場所でも育てることができます。ウツボグサの同族の種は高山植物として扱うので、夏は遮光の必要があります。庭に植える場合には、ロックガーデン方式で植えます。ただし、プルネラ・グランディフローラとプルネラ・ラシニアータの2つは、
寒冷地で育てる場合にはウツボグサと同じように栽培することが出来ます。土は選り好みはしないものの、生育を良くするには草花用の培養土の中に、小粒赤玉土を4割ほど混ぜてあげると良いです。赤玉土には直接養分はありませんが、土中の水はけや風通しを良くする効果があります。
庭などに直接植えるならば、普通の土、つまり水はけが良くて肥沃な土ならば問題なく育てることが出来ます。盆栽で育てる場合には、山砂メインの用土、もしくは赤玉土メインの用土を用いるようにします。
ウツボグサ以外の同族種は、市販の山野草用の土も栽培に適します。もしくは、軽石:硬質鹿沼土or日向土:桐生土or小粒赤玉土=1:1:1もしくは2:4:4の割合で混ぜて混合度を作ると良いです。いずれも使う前には1度水でよく洗い、細かい塵を抜いておくようにします。
種付けや水やり、肥料について
鉢植えで育てる場合には毎年植え替えるようにします。2〜3月の芽が出始める前か、花が終わった後、9〜10月上旬のいずれかの時期を選んで行います。盆栽で作っている鉢植えでも、ウツボグサをメインしているならば毎年植え替えるようにします。
庭植えの場合には植え替えは特別必要ないです。水やりは土の表面が乾いたら与えるようにします。庭植えの場合には降雨に任せて良いので、特別必要ありません。肥料は、春の芽出し〜開花(5〜7月)前と秋ころに植物3大栄養素の窒素・リン酸・カリ=1:1:1の緩行性化成肥料や配合肥料を少量だけ施します。
3号鉢(直径9cm)では、ひとつまみを基準にします。肥料を与えすぎると、姿が崩れてしまう原因になります。庭植えでは肥料の必要はありません。また、小規模で盆栽として鉢植えにする場合にも肥料はなくても大丈夫です。日が当たる、水はけが良い、風通しが良い、という環境で育てましょう。
やや日陰でも大丈夫ですが、日当たりが良い場所の方が茎葉がしまり、花付きも良くなります。また、鉢植えよりも地植えの方が株がマット状に広がって花が咲いたときに綺麗に見えます。あまり大きく育てたくない場合には、摘芯(てきしん)をしながらの育て方がおすすめです。
摘芯は茎の先端につく芽(頂芽)を摘み取って、芯(一番伸びる部分)の成長を抑える方法です。あまり多湿は好まないので、水のやりすぎには気を付けましょう。花が終わった後の茶枯れた穂が目立つと綺麗に見えないので、こまめに取り去るようにします。
増やし方や害虫について
種まきか株分けで増やすことが出来ます。種で増やす場合には、7〜8月に種を採取して、冷蔵庫など涼しい場所で保管して、翌年2〜3月上旬にまきます。順調に育てられれば、だいたい種まきから2年ほどで開花します。ウツボグサは株の寿命が短いという性質があるので、長く保たせたいときは更新用の苗を確保しておくと良いでしょう。
種の採取方法は、7〜8月に花穂が茶枯れてきたら種が熟したサインなので、花穂ごと切り取って茶封筒などに入れます。数日そのまま乾燥させて、振ると細かい種が採取出来ます。種を採取した後は冷蔵庫などの冷暗所保管にします。この種は乾燥させれば長く保存することが可能です。
株分けで増やすならば、植え替えのときに同時に行います。2〜3月の萌芽前、花後、9〜10月上旬のいずれかに植え替えと同時に行うことになります。あまり小さく分けてしまわずに、1株を2〜3個に分割して株分けするようにします。
病気はほとんどありませんが、害虫がつくことがあります。害虫には、バッタやハダニがあります。バッタは食害を起こす虫なので、見つけたら捕殺するようにします。大きめの虫なので比較的見つけやすいでしょう。
食害が起こると、姿が乱れますし、生育不良の原因につながることもあります。ハダニは生育に大きなダメージを与えるほどの害虫ではありませんが、気持ちの良いものではないので必要に応じて駆除スプレーなどを使って駆除するようにします。
ウツボグサの歴史
中国北部〜朝鮮半島、日本列島が原産のシソ科の植物です。紫色の小さな花がポツポツと咲くのが特徴です。漢方医学では「夏枯草」とも呼ばれ、利尿薬として使われてきた歴史があります。シソ科の植物に共通するように、ハーブとして使われることもあります。
名前の由来は、筒型の穂が昔武士が矢を入れるために腰につけていた靫(ウツボ)に似ていたから、です。靫は長い竹かごを編んで作り、外側は矢が濡れてしまわないように動物の毛皮、鳥の羽などで覆われています。靫が使われていたのは鎌倉、室町時代の弓矢合戦が盛んだった頃です。
漢名表記の夏枯草の由来は、カノコソウと読みます。この由来は真夏に葉がまだ緑色の頃に花穂だけが茶色く枯れてしまうことからつけられました。ウツボグサは特色のある姿をしているため、地方での呼び方も様々あります。京都では「巫女の鈴」と呼ばれます。
これは結婚式などで巫女が鳴ら縦長の鈴に似ていることからきています。熊本では「虚無僧(こむそう)草」と呼ばれています。これは時代劇などによく登場する尺八(しゃくはち)を手に持った虚無僧の編笠に似ていることからきています。
長野では「蛇の枕」など、変わったネーミングもあります。現在では比較的どこでも見られるポピュラーな花ですが、どことなく慎ましやかで品位が感じられることから、愛好家も多いです。主な生息地として、海岸の近く、高原の日当たりの良い草原、道端、などがあります。
ウツボグサの特徴
シソ科ウツボグサ属の植物です。園芸分類では、山野草、草花、ハーブに分類されています。東アジア温帯部に分布している、多年生草本です。主に日当たりの良い山野の草地にかけて群生します。草丈は10〜30cmほどになります。5〜7月に花期を迎えます。
茎の先端に紫色の唇状の小さな花をつけます。穂状に固まり、上向きになって咲きます。上唇は帽子のような形で、下唇は3つに裂けて真ん中が細長く切れ込みます。萼片が5枚あり、先端が鋭くなっています。葉は長い楕円形をしており、対生という向かい合った形で生えます。
葉の縁は鋸歯で、ギザギザした形です。花が終わると、花穂が枯れたように茶色に変化します。これは結実するための過程で、これが夏枯草という別名の由来でもあります。花の後にできる実は文果といって、複数の子房からできた果実です。
茎は根元から群生します。茎の断面が四角形をしています。茎や葉は白い毛が生えています。花の穂の部分は夏枯草(カゴソウ)とと呼ばれ、日本薬局方では生薬に認定されています。生薬には、利尿、消炎作用があり、腫物や浮腫、腎臓炎、膀胱炎などの薬として使われます。
漢方医学でも使われますが、ヨーロッパでも民間薬として利用されてきたと言われています。ウツボグサやタイリンウツボグサといった種を肺病や胃腸病の病気治癒の目的に用いたとされています。和名のウツボグサというのは、円筒形の花穂が弓矢を入れるための靫に似ていたことが由来です。
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