ロウバイの育て方
ロウバイに向く場所
ロウバイは日当たりのよい場所を好みますが、比較的土質は選びません。ただし、成長が早く、高さは自然樹形で2~5mほど、枝張りでは1~3mほど伸びるので、左右や上方に余裕を持たせて配置しましょう。
極端にカラカラでなければ、やや乾燥に耐える傾向にありますが、大気汚染にやや弱い性質がありますので、排気ガスがたくさん当たる場所は避けるようにします。ある程度の寒さは耐えますが、東北北部の屋外では冬を越せない場合がありますので、露地で育てる場合は、東北南部~沖縄までの地域が適しています。
同じ属の中にいくつかの品種がありますので、植える場所の目的に応じて、花を楽しみたい場合は花径の大きなダンコウバイを、香りを楽しみたい場合はソシンロウバイを選ぶなど、品種ごとの特徴を生かして配置計画を行いましょう。一度定植すると、移植するのは難しい性質がありますので、植える場所は慎重に選び、なるべく移動しないようにします。
鉢からの育て方
ホームセンターや園芸店の花木コーナーで5号前後の鉢植えで販売されているものを入手するのが一般的です。品種によって花の大きさや香りの強さが異なりますので、購入後に育て方が調べられるように、品種名の表示がある株を選ぶようにします。
勢いよく伸びた枝が多い株は元気がいいように見えますが、徒長枝ばかりで花つきが悪いものもあるので、節間(葉と葉の間)が詰まった株で、鉢の底から根が出ているような株を選ぶようにしましょう。植え付けの適期は落葉期ですが、寒すぎると根付く前に調子が悪くなる原因となりますので、11月~12月と2月下旬~3月頃に行い、厳冬期は避けます。
植え付ける場所は2週間ほど前に、あらかじめ堆肥や腐葉土をすき込んでおき、水はけのよい土壌を作っておくことが失敗せずに育てるポイントです。購入してきた鉢よりふた回りほど大きな植穴を掘り、植え付け直後に水を与えてしっかり根に土が密着するように棒などを使ってよく突きましょう。
このとき、地面より地際をやや高めにしてあげると、水が溜まって根腐れしてしまうのを防いでくれます。定植後は新芽がたくさん出て、根がしっかり付くまでは、極端に乾燥させないように管理します。用意できるようであれば、敷きワラや不織布などで根元を覆ってあげると、乾燥を防ぎ、保温効果も期待できます。
種付けからの育て方
ロウバイは茶色く完熟した果実から取った大豆くらいの大きさの種を、すぐに種付けして育てる、取りまきという方法を使って栽培します。肥料分の含まれていない、種付け用やさし木用の用土を入れた4号くらいの鉢を用意し、種の大きさの3倍くらいの深さに埋めます。鉢底の穴から水が流れ出るまで水を与えたら、芽が出るまでは明るい日陰に置き、水切れさせないように管理します。
芽が出たら根も出てきている証拠ですので、明るい場所に移します。鉢底から根が出てきているようであれば、ガーデンに定植するタイミングです。鉢で育てる場合は、ふた回りほど大きい鉢に移しましょう。
鉢で育てるにはかなり大きくなる種類ですので、だんだんと大きくしていき、最終的には10号くらいの鉢で育てた方がきれいに育ちます。芽が出てから開花までには5年ほどの時間がかかりますので、ガーデンの低木として利用する場合は、種付けから栽培するよりは苗で購入して栽培する方が一般的です。
ロウバイの剪定管理
ロウバイは成長が比較的早く、手入れをしないで栽培すると樹形が乱れやすくなり、養分が行き渡らなくなることで、花つきにも影響を与えますので、花が終わった2月末~3月に剪定を行います。ヒコバエという地面の際から伸びる勢いのある枝が出やすい性質があり、全体の樹形を損なってしまうだけでなく、養分が集中してしまい株の健康状態を損ねますので、根元から切り取ります。
また、花のつかなかった枝は、徒長枝といい、葉ばかりがたくさんつき、栄養分が集中してしまうので、枝元まで切り詰めます。剪定後に伸びた枝に翌年の花芽をつけますので、適期に剪定した後はヒコバエを切り取る程度に抑え、大きく樹形を整えるのは翌年に回すようにします。
ロウバイの移植
ロウバイは水を吸う細根が根の先の方にしか出ない性質があり、移植して栽培するのは難しい植物です。どうしても移植しなくてはならない場合、あらかじめ根回しの作業を行い、細根を出させておくと活着率を向上できます。移植する1年ほど前に、根元の幹の3~5倍くらいの大きさで根鉢を決め、外周に沿って掘ります。
根に当たったら、よく切れる剪定ばさみを使って切り、再度埋め戻します。移植するときは、根回しで掘った場所のやや外側を掘り進み、細根を残して彫り上げると、水が吸えるので新しい場所でも失敗しにくくなります。
慎重に行う場合は、4方向に伸びた太い根を環状剥皮してあげるとより安全に移植できます。移植先の土壌は、植え付けの時と同じように、あらかじめ堆肥や腐葉土で土づくりをしておくようにしましょう。
ロウバイの歴史
強い香りをあたりに漂わせ、どの樹木よりもいち早く春の訪れを告げる花ですが、江戸時代の終わり頃に、中国から朝鮮半島を経て伝わったと言われ、現在では香りや花を楽しむためにガーデンや公園などで植栽されています。生息地(植物学上は自生地といいます。)は中国の山間部と言われていますが、はっきりとは分かっていません。
名前の由来は、中国名を「蝋梅」といいこれを和音読みにした、花の時期が蝋月(旧暦の12月)にあたる、花色がミツロウに似ている、花びらがロウを塗ったようである、などさまざまな説があります。葉の表面に、ざらざらとした毛が密集して生えることから、ムクノキの葉の代わりとして、木材などの物を磨くために用いられたという記録があります。
ロウバイの特徴
ロウバイ科ロウバイ属の植物で、名前に「梅」がつくことから間違われやすいですが、バラ科のウメとは全く別の系統に属する植物です。学名を、Meratia praecox Rehd. et Wils. といい、別名でカラウメ(唐梅)とも呼ばれます。
落葉低木で、高さは2~5mほどになり、主軸がはっきりとせずに、一見すると株立ちのような姿で成長していきます。葉は縁にギザギザの鋸歯(きょし)がない全縁のタマゴ型で、5~24cm×3~12cmくらいのやや大型になり、表側には固めの毛が生えてざらざらし、裏側には葉脈が浮き出るため、判別しやすく特徴的です。大きさはありますが薄く、日にかざすと透き通って見えます。
サクラと同じように、葉よりも先に香りのよい黄色の花をつけます。1~2月頃、らせん状に集合した花をつけ、花びらの外側が光沢のある黄色、内側が暗褐色になります。その後7~8月頃に、3.5cmくらいのタマゴ型の実をつけますが、これは偽果といって、本来は子房が発達するところが、ガクやそのほかの部分が発達するものです。
一見すると、ミノムシが枝に刺さっているような変わった形をしており、完熟すると褐色になり、中に飴色の大豆くらいの大きさの種子が5~20個できます。完熟してから果実を振ってみると、中で種子の音がします。若い枝は切ってみると断面が四角形なのが特徴で、花や実の茎(葉柄)が短いために、直接枝にくっついているような印象を与えます。
ロウバイの仲間はいくつかあり、花が3cmくらいと大きいですが香りの弱いトウロウバイ・ダンコウバイ(var.grandiflora Rehd.et Wils)や、芳香が強く、花の内側も黄色になるソシンロウバイ(var. lutea Makino)、アメリカ原産のチョコレート色の花をつける、クロバナロウバイなどがあります。
花の育て方など色々な植物の育て方に興味がある方は下記の記事も凄く参考になります♪
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タイトル:芝桜の育て方
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