ヒオウギの育て方
ヒオウギの育てる環境について
比較的高温や寒い環境に強く、山野に多く自生しています。環境さえ合えば育てやすい花です。育て方は土壌の傾向としては酸性土壌には合わず、アルカリ質に向いていて、石灰岩がある地域などが育ちやすい環境です。日当たりがよい場所が良く、日陰で湿気が多い所では枯れる事がありあまり向いていません。
湿度は適度に必要で、水はけの良い所が最良です。また、日のあたり方の注意点として、西日が強く当たる環境では枯れる事もあるので気をつけておきます。鉢植えの場合、土には適度に栄養が入っているようにすると、良く育ちます。腐葉土や赤玉土で土を作り、
庭植えなどでは植え付け2週間前には石灰を混ぜ込んでおくと良いです。粘土質などで土が密集していると硬く締まって排水が悪く、生育には不向きです。このような点に注意すれば鉢植えも露地植えも可能で、一度植えれば何年も繰り返し開花します。
しかし、そのまま放置して数年すると株が疲労して花付が悪くなりますので、株分けで増やすと容易に勢いを保ったまま育てる事ができます。真夏の開花後、9から10月頃が最適で、大きな株を2つに分けて、3から5芽を一株としてナイフで切り分けて植えるようにします。
あまり小さく株分けすると勢いが無くなるので、葉が大きめの株を選ぶ事が大切です。鉢植えの場合の株分けの目安は鉢底から根が出てきたら植え替えします。そのまま大きな鉢に植え替えるか、株分けをする事ができます。そして、寒冷地では4から5月に植え替えをします。
ヒオウギの種付けや水やり、肥料について
種から育てられるのがヒオウギを植える楽しみですが、種の植え方については少し注意する事があります。ヒオウギを栽培していると、次々に花が咲き、夏から秋にかけて開花を長く楽しめるのが良いところです。しかし、種をどのように採取して種付けはいつどのようにするのか、
長い期間楽しめる植物なだけに、種の保存について知っておくべき事がいくつかあります。まず理由として開花後の花の後には種子が入ったものが出来ますが、夏から秋にかけて次々種が採れるので、保管方法を正しく理解して、良質な翌年の開花に備える必要がある為です。
次に、早く採取する種、つまり夏の開花で採れる熟した種は、一定の保湿を必要とする事を覚えておきます。早めに採取したら、乾燥させすぎない事が大切で、バーミキュライトや砂の中に入れて冷蔵庫などに保管しておく必要があります。
そして、ヒオウギ開花の季節も最終の秋の頃の種は、そのまま種まきをする事が出来ます。この違いを良く理解しておく事が、良い状態で翌年の開花を期待できる条件となります。成長の過程での注意点は、強い西日に当たりすぎないこと、土を乾燥させすぎない事、
酸性土壌には生育しにくい事などです。肥料については、効果を長い期間発揮する粒状で土にあらかじめ混ぜ込んでおくタイプのものが向いています。有機質が多い場合は心配なく育てる事ができますが、生育が弱いようなら春から夏に液体肥料を与えます。極端に弱っているなら与えずに様子をみる必要があります。
ヒオウギの増やし方や害虫について
増やし方は宿根草なのでそのまま株で増やす事もできますが、種を保存して蒔く事も可能です。その場合に、種の乾燥には注意が必要です。あまり乾燥させすぎると発芽しません。開花の時期が夏から秋の長期間になるので、早めに開花して種を採取する場合は適度に湿度を保って種まきまで、
砂やバーミキュライトの中に入れ冷蔵庫などで保管する必要があります。それに対し、秋の種はそのまま種まきに使えます。季節によって種の取り扱い方が違う事を覚えておきます。害虫については心配がほとんどありませんが、軟腐病にかかる事があります。
これは、大きく分けてウィルスによる軟腐病と、軟腐病とは異なり、カビが原因で症状が似ているものとの2つが該当します。カビが原因ならそれに対処した適切な処置で改善する事がありますが、ウィルスが原因の軟腐病の場合、初期症状である独特の斑点に気づいて対処すれば改善しますが、
放置して進行すればヒオウギの群生地域を全滅させる程深刻な問題となります。症状が進行しているとその株が原因となって、全体に広がる事がわかっています。症状が進行している株を発見した場合には、早めに焼却するなどの適切な処置を必要とします。
このように、害虫には心配ない比較的育てやすいヒオウギにも、軟腐病と一般的に言われている状態には注意するべきです。原因を見極めてそれぞれに応じた適切な処置が必要で、初期症状の斑点の有無を見逃さない、日ごろの観察が重要です。
ヒオウギの歴史
ヒオウギの名前を聞いて和歌を連想する人、京都の祇園祭を思い浮かべる人、様々ですが、原産国は東アジアとなっています。日本もその中の1国であり、他には中国、インド、朝鮮半島があります。日本での歴史の古さを考える時、和歌の中に詠み込まれている事は見逃せません。
万葉集などの日本の代表的な和歌の言葉の中で季節を表す役割や、その種の黒さから、黒色の代名詞としても歌人が使っていました。黒色の表現をぬばたま、と言いますが、黒、夜、闇、髪などにかかる枕詞として、このヒオウギの種の色で表現し、連想させています。
そして、万葉の言葉としての歴史以外に、京都の祇園祭の重要な花としても長い歴史を持っています。もともと祇園祭は疫病などが流行した当時の都の厄払いの意味から始まった祭りですが、ちょうどヒオウギの花が開花する時期と同じくして祭りが行われる事で、
この花を飾って魔除けのお守りとして、家の玄関に飾って無病息災を祈願しています。一説によれば、ヒオウギの生息環境は乾燥した山野が多く、かつて都が湿地帯に建設され、多くの住民が排水の汚染物質から病気にかかったり、流行病が湿度の高さと夏の高温、
そして水分の補給などの知識の不足など、多くの要素から病気の大流行がしばしば発生していた事、乾燥している土地で育つヒオウギに特別な力が宿っているように感じた人たちが飾った事で、いつしかこの花に魔除けの力があると信じられた事が起源であるとされています。
薬用の効果は1713年の書物、和漢三才図会に、去痰、扁桃腺の治癒を目的として用いるヒオウギの根茎を干した射干という生薬として取り上げられています。この歴史はヒオウギの大きな魅力の一つです。
ヒオウギの特徴
生息地は日当たりのよい山野地区に多く、自生で増えたものも多いと考えられていますが、人の手で運ばれて栽培されたものと、栽培したものが野生化したものがあります。また、ヒオウギの特徴として、個性的な葉の形状を取り上げる事がありますが、
お雛様が持っている扇をイメージさせるその形は、発芽してから葉が成長してその形になると、どの植物とも異なるその特徴を強くアピールします。そして、葉が平面的な印象なのに、花は葉よりも高い位置に伸びて開花し、オレンジ色の花は次々に開いていき、
生命力を感じさせます。開花は一日だけで、朝開き、夜閉じ、種を作る形状もユニークなので、生け花では開花後の種子を活ける事も定番の手法となっています。種の黒い色も独特であり、万葉集に詠われているのは花ではなく、この種子を和歌で詠み込んでいます。
花の咲いた後の形も非常に特徴的で、花びらをぎゅっと雑巾を絞るような強いねじり方で閉じるのは、この非オウギだけに見られる珍しい特徴です。アヤメの一種であるヒオウギは、見かけがアヤメと大きく異なりますが、花びらの構造などに共通点が見られます。ヒオウギは根茎を干したものが生薬として用いられる事もあり、
有用な植物として栽培されています。そして、アヤメと花の形状が異なる理由として、受粉する昆虫の種類によって変化している事が挙げられます。アヤメは主に蜂で受粉し、ヒオウギはほとんどが蝶を介して受粉しています。蝶が来やすいようにアヤメと違った花になったとされています。
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