ノコンギクの育て方

ノコンギクの育て方

ノコンギクの歴史としまして、伝統的にはこの種には長らく「Aster ageratoides Turcz. subsp. ovatus (Franch. et Savat.) Kitam.」の学名が当てられていました。『日本植物誌』・保育社の『原色日本植物図鑑』、『日本の野生植物』などがほぼこれを踏襲しています。

育てる環境について

育て方・栽培する環境に関してですが、日当たりがよく夏の強い日差しの当たらない所や木漏れ日の当たるような所に好んで生息しています。庭などでの地植えでは、木漏れ日の当たる木の下や、夏の西日を避けたような所がよいです。夏場は30%程度の遮光をするのも良いでしょう。

明るい日陰でも育てることはできますが、花つきが悪くなるのであまりおすすめではありません。ヤマシロギク、アキバギク、ヨメナもノコンギクと同様に扱います。鉢植えは春と秋は日当たりのよい所、夏は葉が焼ける事があるので半日蔭に置くとよいでしょう。

冬は地上部の葉を枯らせて宿根して越冬します。シロヨメナ、イナカギクは年間を通して明るい日陰で育てましょう。使用する土に関しては、鉢植えの場合は赤玉土小粒7・腐葉土3の配合土でよく育ちます。市販の草花用培養土でも問題ありません。

渓流沿いに生えるセンボンギク、イワバノギク、高原に生えるシラヤマギクは、鹿沼土、赤玉土、軽石の各小粒を等量配合した土で植えましょう。このような山砂植えは、盆栽仕立てにする場合にもよいでしょう。また枝を多くして花数をふやすために、「切り戻し」を行います。

具体的な時期と方法に関しては、5月から6月ごろに1/3~1/2ほどを残して上部を切り取れば良いでしょう。あらかじめ春の間に、油かすなどのチッ素肥料を施して、枝が出やすいようにしておくことも大切です。また、タネをとるつもりがなければ、花が終わったら花茎を切り取ります(「花がら摘み・花茎切り」の作業)。

種付けや水やり、肥料について

種付けに関しては、春や秋に苗が売られている事があるので、購入したら植え付けます。庭では水はけが悪いようなら腐葉土を、元肥に牛糞などを混ぜ込んで植え付けます。鉢植えの用土は普通の花の培養土でかまいません。自分で作る場合は赤玉土(小粒)6、腐葉土4などです。

2月から3月の芽出し直前に植え替えます。よくふえてすぐに根詰まりを起こすので、鉢植えの場合は毎年植え替えます。盆栽仕立ての場合は数年に1回でもかまいません。庭植えの場合は特に植え替えの必要はありませんが、予定外の場所に生えてきた株は抜くか、早めに移植します。

水やりに関しては、普通の水やりでかまいません。鉢植えでは鉢土の表面が乾けば十分に水を与えます。特に渓流沿いや湿った草地に自生する種類は浅く腰水にするか、二重鉢にして乾燥を防ぎます。庭植えの場合は、よほど晴天が続いて乾燥しないかぎり不要です。

日照り続きで乾き過ぎるようなら与えるぐらいでかまいません。肥料に関しては、鉢植えでは春の3月中から6月頃、秋の9月頃緩効性の化成肥料などを、庭では3月中頃と9月頃に骨粉入りの固形油粕などを蒔いておくぐらいでかまいません。植え替えの際に、元肥としてリン酸とカリウムが多めの緩効性化成肥料を、

3号鉢であれば一つまみ施します。4月から9月にかけて、月に2回、草花用の液体肥料を1500~2000倍に薄めて施します。肥料が多すぎると姿が乱れるので、少なめを心がけましょう。豪華に咲かせたい場合は、春の間だけ親指大の油かすの玉肥を3号鉢であれば1~2個追肥します。庭植えの場合は、特に必要ありません。

増やし方や害虫について

増やし方に関しては3種類あり、まず「株分け」から。2月から3月の芽出し直前に行います。長い地下茎を半分か1/3ほどに切ってしまっても大丈夫です。古い親株には弱い芽しかないので、切り捨てて整理すると、自然に株分けした形になります。

次に「さし木」ですが、5月から6月ごろによく伸びている新芽を切り取り、清潔な用土にさすことで可能です。最後に「タネまき」は、11月から12月ごろに採取したタネを、湿らせた川砂に混ぜて1か月ほど冷蔵庫の野菜室で保管してから、2月にまきましょう。順調に成長すれば、タネをまいた年に開花します。

また、ノコンギクがかかりやすい病気や被害を受けやすい害虫に関してですが、まずはかかりやすい病気・うどんこ病があります。うどんこ病が発生しても多くは軽症ですみます。多発する場合は、一度切り戻して、発生した茎や葉を処分するか、茎を間引いて風通しをよくすることで解決します。

よく被害を受ける害虫は、アワダチソウグンバイ、ヨトウムシ、ハダニ、アブラムシが主な虫です。アワダチソウグンバイは、6月から10月を中心に発生し、セイタカアワダチソウで越冬します。葉の裏に寄生して汁を吸います。

葉の表面が白くかすれたようになり、ひどい場合は葉が黄色く変色して落葉します。ふんにカビが生えて黒く汚れる(すす病)こともあります。対処法としては、殺虫剤や薬剤が効果的なので、被害が見られたらふきかけるようにします。

ノコンギクの歴史

ノコンギクの歴史としまして、伝統的にはこの種には長らく「Aster ageratoides Turcz. subsp. ovatus (Franch. et Savat.) Kitam.」の学名が当てられていました。『日本植物誌』・保育社の『原色日本植物図鑑』、『日本の野生植物』などがほぼこれを踏襲しています。

原名亜種はチョウセンノコンギクで、原産地としては朝鮮から中国北部・東北部にかけて分布する。この種は日華区の特徴種とされています。非常に多くの変異種を抱えており、日本でも複数の亜種があって、さらにその変種が複数あったりとやや複雑です。近縁な種はヒマラヤまで分布しています。

その変異に含まれると判断されたものにはノコンギクに似たものもあれば、ずいぶん印象が異なるものもあり、その広さが窺い知れます。特にヤマシロギクやシロヨメナは似ている様子がありますが、それらも地域によっては中間的なものが出現するため、

判断が難しい場合があるともいわれています。分類体系には、それらを別種とする説もあり、たとえば『朝日百科・植物の世界』はノコンギクの学名を「A. ovatus」としており、その下に変種としてタニガワコンギク var. ripensis を置き、

それ以外のものはすべて独立種としています。ところが、YListでは学名が大きく変更されており、上記の学名が使用されています。また、イナカギクやシロヨメナは従来のままなので、ノコンギクはそれらとは別の系統に属するとの判断されています。

ノコンギクの特徴

ノコンギクは、日本各地の低地から高原までの草原に広く見られる多年草で、道ばたや道路脇、畑の周辺にもよく生えており、生息地としては全国各地にその姿を見ることができる、「野菊」を代表する植物の一つです。茎はまっすぐ、あるいはほかの植物に寄りかかりながら斜めに伸び、

地下に細長い地下茎を多数伸ばしてその数を増やしていきます。地下茎が横に這い、あちこちから枝を出すので、まとまった群落を作る傾向にあります。茎は立ち上がって枝を出し、高さは50〜100cmに達するが、草刈りをされた場合など、はるかに小さい姿でも花をつけることができます。

葉は卵形から狭卵形が多く、葉の基部はくさび形で、ごく短い葉柄があります。いずれも葉の両面ともに短い毛があり、根出葉は花時にはなくなってしまいます。コンギクはノコンギクに似ていますが、葉がやや細長く花は濃い紫色をしています。

しばしばこの本種が「ノコンギク」の名で流通しています。センボンギクは谷川の増水時には水没するような川岸に生える変種で、葉が非常に細く3~5mmのものです。同じような場所に生え、同様に葉が細長く幅が1cm強のものがタニガワコンギクと呼ばれます。

ホソバコンギクはノコンギクに似ていますが、葉の幅が狭いものです。この3つの変種には中間型が多く、区別しない見解もあります。ハマコンギクは海岸近くに生える変種で、葉の幅が広く厚みがあり、光沢があります。草丈もノコンギクより低めです。

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