トリカブトの仲間の育て方
育てる環境について
トリカブトは毒に気をつければ自宅での栽培も可能です。育て方はそれほど難しくありません。明るい日陰を好みますので、強い日差しに当たらないように注意し、風通しの良い所で育ててあげましょう。特に夏の暑さには弱いので、出来るだけ涼しい場所がお勧めです。
管理をしやすくするためにも植木鉢で育てる方がよいでしょう。湿地帯を生息地としていますので、乾燥には注意するようにします。植え替える際には山野草用の用土を使用するか、赤玉土、鹿沼土、軽石を等量混ぜあわせたものを使用するようにします。
用土が乾燥しやすいようであれば、山苔などを土に混ぜ込んであげると保水性が高まります。植え替えは毎年、もしくは一年おきくらいで行うようにしましょう。新芽が出る前の2月〜3月頃に行いますが、その際には必ずビニール手袋などを着けて、直接触らないようにすることが大切です。
地植えにする場合は移動させることが出来ませんので、一日中半日陰になるような場所が最適です。また、トリカブトは花粉にも毒がありますので、人が生活する場所から離れた場所で育てるようにしましょう。ペットを飼っていらっしゃる場合、花粉が体に付着する場合もありますし、
誤食の可能性もありますので、特に注意が必要になります。出来れば鉢植えにしておいた方が管理が楽になります。トリカブトは背が高くなりますので、株が大きくなってグラついてくるようであれば、支柱などを立てて支えてあげるようにしましょう。
種付けや水やり、肥料について
トリカブトは秋に種をつけますので、採取した場合は出来るだけ早く蒔いてあげるようにしましょう。すぐに蒔かない場合は、湿らせた砂と混ぜて冷蔵庫の中で管理しておきます。水を好む植物ですので、用土が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。
特に夏場は水切れを起こさないように注意が必要です。夏場に水やりをする場合、日中に水やりをすると強い日差しで水分が沸騰して根を傷めてしまう原因になることがあります。それを防ぐためにも、午前中か夕方以降、涼しい時間帯に水やりをするようにします。
腰水をするのもお勧めです。鉢の底に受け皿を用意し、その受け皿に2〜3センチど浅めに水を入れておき、鉢の底から水分を補給させるという方法です。受け皿の水が減ってきたら、その都度受け皿の方に足し水をします。夏場は水が傷みやすいので、
マメに受け皿の水は新しいものに交換してあげるようにしましょう。植え替えの際には元肥を施しておくとより元気な株になります。リン酸とカリウム分の多い、緩効性のある化成肥料を用土に混ぜ込んでおきましょう。4〜6月頃には有機性の固形肥料などを追肥してあげるとよいでしょう。
もしくは月に2〜3回ほどの割合で薄めた液体肥料などを与えても大丈夫です。気温が高くなる夏頃に肥料分が多いと根が傷みやすくなってしまいますので、この時期には肥料を与える必要はありません。与える場合は水で薄めた、ごく薄い液体肥料を与える程度で大丈夫です。
増やし方や害虫について
トリカブトは種まきと株分けによって増やすことが出来ます。花が終わった後に種をつけますので、それを採取し、保管しておくとよいでしょう。種まきで増やす場合は2月〜3月上旬頃に行うようにします。株分けによって増やす場合、植え替え時に一緒に行うとよいでしょう。
トリカブトの根は太く、塊根(かいこん)というものが自然に増えていきますので、その部分を使用して増やします。手で簡単に分離させられるので、一つ一つ丁寧に取り分けて、園芸用ポットなどに植え付けてあげるとよいでしょう。病気や害虫に強い植物ではありますが、
たまに新芽や蕾の部分にアブラムシが発生することがあります。そのままにしておくとドンドン株を弱らせてしまいますので、見つけ次第すぐに駆除するようにしましょう。アブラムシは光るものが苦手ですので、銀のテープを鉢の近くに置いておくと予防になります。
もし発生した場合、数が少なければセロハンテープやガムテープ等で取り除くことも出来ます。アブラムシがたくさんいた場合は、オルトランなどの薬剤を使用して駆除します。アブラムシ専用の薬剤も販売されていますのでそれらを使用するとよいでしょう。
また、薬剤を使用することに抵抗のある方には牛乳と水を1:1の割合で混ぜたものを霧吹きなどでスプレーしてみることをお勧めします。それによってアブラムシは呼吸ができなくなり、窒息死してしまいます。それ以外にも木酢液やなども効果的ですので、お勧めです。
トリカブトの仲間の歴史
トリカブトとはキンポウゲ科トリカブト属の植物の総称で、その多くは多年草の植物です。強い毒性があることで知られており、危険な印象があるトリカブトですが、売買も栽培も違法ではありません。美しい花を咲かせるので、生け花などにも使用され、観賞目的で育てる方も少なくありません。
原産地は中国とされ、北半球に約300種類ほどあると言われています。日本にも約30種類のトリカブトが自生しており、東北地方から中部地方の低山や森林などの湿気の多い明るい草原を主な生息地としています。背が高く、およそ70センチ〜150センチほどありますが、
花は小柄で、トリカブトの名前の由来になった烏帽子の形によく似ています。花、葉、花粉、根に毒性があるため、取り扱いには注意が必要です。ヨーロッパでは庭に栽培することを禁止している国もあります。古くから根の部分を乾燥させたものは漢方薬として使用されてきました。
根の子根は附子(ぶし)と呼ばれ、主な効能は強心作用や鎮痛作用、利尿効果があると言われています。烏頭(うず)と呼ばれる親根部分は、最近ではあまり使用されていません。もちろん、これらは特別な弱毒処理が施されており、
およそ1000分の1程度くらいまで毒性が薄められています。そのまま生薬とされることはありません。しっかりとした薬の専門知識を持った方のみがトリカブトを処方することを認められていますので、素人が勝手に使用することは出来ません。
トリカブトの仲間の特徴
トリカブトには様々な種類があり、紫、白、黄色など花の色も豊富です。日本に生息するトリカブトの仲間には、北海道に生息するエゾトリカブト、中国地方から九州に生息するタンナトリカブト、筑波で発見されたツクバトリカブトなどがあります。
また、唯一のツル性を持つハナカズラは多種と混同することがないため、現在では絶滅危惧種となっています。オクトリカブトと言われるやや大きめの花をつける品種は中部地方から北海道に生息しています。中国原産のハナトリカブトと同様に強い毒性を持つことで知られている品種です。
生薬として根を使用されるのは、このオクトリカブトとハナトリカブトの二種類になります。本州から中部地方に生息するヤマトリカブトは比較的広範囲の地域でよく見られる種類です。オクトリカブトに次ぐ毒性を持っていますが、オクトリカブトほど大きくはなく、およそ1メートルほどのの背丈です。
いずれの品種においても毒を有しているので、取り扱いには十分注意が必要です。中毒を起こすと、手足のしびれや嘔吐、呼吸困難、運動麻痺などを引き起こし、最終的に機能不全や心臓麻痺によって死に至る場合もあります。根の部分がワサビに似ているため、
誤食を起こされる場合も度々報告されています。毒成分のアコニチンには現段階では解毒剤が存在しませんので、なおさら注意が必要です。山菜採りに出かけられる際には、あらかじめ下準備をし、しっかりとした知識のある方と同行されることをお勧めします。
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