コキアの育て方
コキアに向く場所
コキアの原産地は温暖で明るい気候なので、水はけがよく、日当たりと風通しのよい場所に植えてあげます。コンテナの場合も、日当たりと風通しのよい場所に置くようにしましょう。秋につける種が地面に落ちると、翌年もまた楽しめるので、適した場所を見つけてあげるのが育て方の一番のコツと言えるかもしれません。
根が張りにくいときれいに丸くならないことから、丸い形を楽しみたい場合はガーデンでの栽培が向いています。基本的には暑さに強く、乾燥にもよく耐えますが、あまりにも雨が降らない夏場などは、ガーデンに植えてある場合でも、朝や夕方などの涼しい時間帯をねらって水やりをしてあげます。コンテナの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまで、たっぷり水を与えます。
コキアの年間管理
コキアは春先には花苗でも流通しますが、種付けから栽培するのも容易な植物です。使用する用途に応じて、花苗と種との特徴を生かせて選ぶといいでしょう。数がたくさん必要な場合で、定植する場所がすでに準備できている場合は種付けで、使う数が少量で、すぐに見栄えがするコンテナなどにしたい場合は花苗での栽培がおすすめです。
■花苗の育て方
まず、花苗のメリットは、なによりも既に成長した状態で販売されていることにあります。コンテナなどで、植えた直後の状態がまとまった印象にしたい場合や、ガーデンのなかでも目立つ場所に植えたいなどの用途の時には、花苗を選びましょう。ただし、1ポット80円~200円ほどかかる場合がありますので、広範囲で沢山の量を使いたい場合にはコストがかかりすぎてしまうので、種での栽培をおすすめします。
入手先はホームセンターや園芸店などが一般的ですが、一年草で冬には枯れてしまう関係から、多くは春先3月くらいから初夏までしか流通しないことが多いので、注意が必要です。苗を選ぶ際は、ポットの底を見て根がしっかり張っているもの、根元がぐらぐらしていないものを選びます。
販売している段階では、縦に細長く伸びているものが多いですが、定植後に横へ広がり丸くなりますので、形よりも根の状態を優先して選びましょう。根の状態が同じようなものの中で選ぶ場合は、芽の量に注目します。芽の数が多ければ多いほど枝分かれが進み、丸くこんもりとした形に育ちます。
購入後の植え付けでは、根を傷めるとその後の成長に影響を与えてしまうので、注意してそっとポットから取り出すようにします。また、密着して植え付けてしまうと、枝を広げることができずに、形がきれいに整わなくなってしまうので、成長した時を見越して、ガーデンでは最低でも20~30cmくらいは離してあげた方が、コキアの特徴である丸い形が作りやすくなります。
コンテナの場合は完全には丸くならない場合が多いですが、やわらかな葉の表情が生かせますので、他の植物とのバランスを見て配置します。その際に、成長した後の草丈を考え、背の低いものを隠さないようにすることがポイントです。肥料は、植え付け時に元肥を与えておけば、そのあとは追肥をしなくても順調に育ちますので、土に混ぜるタイプの元肥か、表面に置くタイプのものを準備すると良いでしょう。
■種の育て方
種付けからの栽培を行う場合は、15℃くらいの温度が保てるようになった4月中旬から下旬(関東の場合)にかけて行います。根がやや弱く、根を傷めると成長に影響することがあるので、定植場所がすでに用意できているようであれば、直接その場所に直まき(種付け)がおすすめです。ポットで育てる場合も、定植の時に根を傷めないように十分注意します。
元肥や腐葉土などであらかじめ土づくりを行った場所に、すじまきかばらまきで種をまき、発芽したら固まって育った場所を間引きして、いい状態のものを1~2本残します。あまり過密にさせると特徴的な丸い形に育たなくなってしまったり、病気が発生してしまったりするので、夏前ごろには20~30cm間隔くらいになるまで間引きます。
成長してくると、根の張りの割に地上部が大きくなり、風の影響を受けやすくなりますので、株元に土を寄せてぐらつかないようにしたり、支柱を立ててあげたりと、倒れないように工夫します。追肥は7月ごろまで適宜行いますが、窒素分の多い肥料を与えすぎると、地上部の形が崩れてしまうことがあるので、気を付けましょう。
コキアの品種
ハナホウキギ、ハナホウキグサ(var. trichophylla) 株が小さめで、形よくまとまります。ガーデンの縁取りにおすすめの品種です。アカプルコ 紅葉がきれいな品種で、枝先が白くなるものもあります。
コキアほうきの作り方
紅葉が終わって、茶色っぽくなったコキアは、根元から刈取り、2~3日陰干しをします。その後、目の粗いくしやガーデンフォークなどを使って、細くてもろい葉っぱや種などをすき取って形を整えましょう。枝ぶりによって、3~4本重ねてタコ糸や麻ひもを使って束ねます。この状態でもミニほうきとして使えますが、さらに数本集めて柄になる棒の周りに固定すれば、手ぼうきとしても重宝しますよ。
コキアの歴史
南ヨーロッパや温帯アジアが原産とされ、日本へは中国から伝わってきた植物で、詳しいことははっきりと分かっていませんが、「本草和名(918年)」に記載があることから、日本では1000年ほど前から栽培されていると言われています。
江戸時代に入ると、実を食用に、枯れた後の枝をほうきの材料に使えることから、各地で盛んに栽培が行われていました。江戸時代に書かれた実際の書物にも、葉や若芽の料理や実を炒って食べる等の記載がありますが(1696年刊行「農業全書」、1705年刊行「本朝食鑑」)、ほうきの材料としての用途が主流だったようです。
現在では、主に観賞用として、一般家庭のガーデニングから、公園などの大規模な敷地で一面を覆い、紅葉を楽しむ緑化手法として使われるなど、幅広い用途で使われています。特に公園では、茨城県にある国営ひたち海浜公園が全国的にも有名で、ひとつの丘(みはらしの丘)をすべてコキアで覆い尽くして、春先の緑でもこもこしたじゅうたんから、秋の真っ赤に色づいた風景まで、シーズンを通じて多くの観光客を集客する目玉の植物になっています。
コキアの特徴
コキアは別名ホウキグサやホウキギとも呼ばれる、春に発芽して冬には枯れる、非耐寒性の春まき1年草です。現在は、アカザ科バッシア属の植物ですが、以前にアカザ科コキア属に分類されていたため、今でも広くコキアと呼ばれています。
成長すると50~100cmほどの高さになり、たくさん枝分かれして、最初は細長く伸びますが、だんだんとこんもりとした丸い形に整っていき、あざやかな黄緑色の葉をつけます。花も咲き、夏になると株全体につきますが、いわゆる花びらがなく、淡い緑色のガクだけの状態なので、目立たず、もっぱら葉を楽しむカラーリーフとして扱われています。
その後、秋になると株全体が真っ赤に色づき、茶褐色の実をつけて、枝を残して枯れます。秋に熟す実は「とんぶり」と呼ばれ、ぷちぷちとした食感があり、畑のキャビアとして秋田県の名産品になっています。また、枯れた枝は細かく枝分かれしてコシがある状態で残ることから、収穫後に干して草ぼうきを作る材料として利用され、別名の由来になっています。
コキアは生息地(植物学上、正しくは生育地といいます)が南ヨーロッパや温帯アジアなど暖かいところが原産の植物なので、日本の夏の暑さにも強く、乾燥によく耐えます。肥料の要求量も少ないので、適した環境にあると、こぼれ種で毎年楽しめる場合もあります。
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