ナスタチュームの育て方
ナスタチュームに向く場所
ナスタチュームの自生地は南アメリカで、温暖な気候の中でも比較的冷涼な場所で育つことから、日本の寒さや暑さに弱く、気温にはやや神経質ですが、肥料の要求量は少なく、やせた土地でも次々によく花を咲かせます。ガーデンに植える場合は、風通しがよく、真夏は午前中のみ日が当たるような場所を選んであげます。
コンテナで育てる場合も、季節に応じて移動できるような工夫をしてあげた方がきれいな状態を保てます。一般的に種も苗も流通しますが、流通量は少なめなので、初夏の時期に短期間のうちに販売されることが多いです。葉は通年、花も6~10月に収穫でき、エディブルフラワーとして利用できます。花後につく大豆ほどの大きさがある果実も、やわらかい内であれば摘み取ってピクルスに使っても美味しく味わえます。
花苗からの育て方
初夏の短期間のうちに出回るので、シーズンを逃さないように入手します。主に園芸店やホームセンターのハーブコーナーにあることが多いですが、花がついているものはつる植物や花苗のコーナーに置いてあることもあります。葉と葉の間(節間といいます)がよく詰まってがっしりとした株で、根元がぐらつかずに、根がしっかり張っているものを選ぶと、購入後に栽培の失敗が少なくなります。
暑さに弱く、寒さにも弱い、やや神経質な品種ですので、コンテナなどに植えて、適宜場所を移動できる栽培の工夫をすると、きれいに長く楽しめます。植え付け後は、蒸れによる病気の発生を防ぐため、しっかりと土の表面が乾いているのを確認してから水やりを行います。特に真夏は蒸れやすいので、午前中だけ日が当たるような場所へ移動し、他の植物などで日陰を作ってあげると健康な状態を保てます。
花後は、切り戻しを行うと、秋にまた新芽が伸び始め、11月ごろまで花が楽しめます。肥料はあまりたくさん必要ありませんが、窒素分の多いものを与えると、葉ばかりが育ち、花がつきにくくなるので注意して、与える場合は、リン酸が多く含まれる花用の肥料にしましょう。
寒さに弱く、霜が降りる頃には枯れてしまうことも多いですが、ベランダなどの霜よけできる環境では、冬まで楽しめることもあります。しかし、姿が乱れますので、翌年にはさし芽などで増やすか、新しく植え直す方がきれいな状態で楽しめます。
種付けからの育て方
ナスタチュームは種が大きく、大豆ほどの大きさがあり、気温が20℃くらいを保てるようになった4月~5月が種付けの適期です。前年に植えたところからこぼれ種で増えることもある、繁殖力の旺盛な植物ですが、種の吸水性があまりよくないので、種付けをする前に、カミソリやヤスリなどで軽く傷をつけておき、一晩水を含ませておくと、芽が出やすくなります。
種付け用の肥料分が含まれていない用土を用意し、7号鉢(直径21cm)くらいの鉢なら3か所2粒ずつ程度、プランターなら15cmくらいの間隔でまきます。まず、用土に割り箸などで1cmくらいの深さの穴をあけ、種を入れたら上によく土を寄せておきます。その後、しっかり全体に行きわたるように水やりをして、やわらかい日差しの場所に置きましょう。
定期的に水やりを行いますが、あまりやりすぎると発芽しないことがあるので、表面の土が乾いたことを確認してから水やりをするように気を付けます。芽が出たら、複数発芽したところは、よいものを残して間引きますが、間引いた苗も、別のポットに静かに植え直せば捨てずに育てられます。成長して、本葉が5~6枚になった頃に定植します。
ガーデンに定植するときは、夏に蒸れにくい場所を選ぶこと、10日くらい前に天地返しや苦土石灰で中和するなど、土づくりをしておくことが栽培のポイントです。また、ハーブ全般に言えることですが、苗があまり小さいうちにたくさん摘み取ってしまうと、大きくなるための葉が残らず、成長を妨げてしまいますので、種付けから栽培した場合は特に、定植後、株がしっかりと大きくなるまで待ってから収穫を始めましょう。
さし芽の育て方
ナスタチュームは、3~4月頃の暖かい時期に、さし芽にから増やして栽培することも可能です。さし芽に使用する枝(さし穂)は、なるべく株先の若いものを選び、よく切れるはさみを使って葉が5~6枚ついているくらいの長さに切ります。根元近くの下葉を取り除き、あらかじめ水を吸わせておくと、活着の成功率が上がります。
種まき用やさし木用の肥料分が含まれていない用土を用意し、小さめのポットの表面に竹串や割り箸で穴をあけ、そこにさし穂を差し込み、しっかり切り口に土がつくように、さし穂の脇から土を寄せます。やわらかい日が当たるところで育てて、新芽が出てくるようになったら根も出てきている証ですので、定植するタイミングです。ガーデンに定植する場合は、種の時と同じように10日くらい前に土づくりを済ませておくようにします。
ナスタチュームの歴史
黄色やオレンジの大きな花をつぎつぎと咲かせるため、ハーブの利用だけでなく観賞用としても人気のナスタチューム(ナスタチウム)ですが、日本には古く江戸時代に伝えられました。入ってきた当初は、観賞用の花として栽培されていたようですが、葉にビタミンCや鉄分などの栄養が豊富に含まれることから、戦後になると食用のハーブとしても作られるようになり、壊血病の薬としても利用されていました。
昔からアンデス地方では、消毒薬としてや、呼吸の不快感を整えるために使われていましたが、16世紀になると、スペインの探検家によってヨーロッパへも伝わったとされています。南アメリカでは、クレソンのように葉を食べていたことから、フランス語でクレソンという意味の、クレッスという言葉を使い、インディアンクレッスという名前で呼ばれていました。
フランスでは、からしという意味のキャプシーヌという名前で呼ばれ、葉を料理に使っていましたし、近縁の球根キンレンカはボリビアやペルーでマシューアと呼ばれて塊根を食べているなど、各地で食用として栽培されています。
ナスタチュームの特徴
ナスタチュームは別名、金蓮花(キンレンカ)や、凌霄葉蓮(ノウゼンハラン)とも呼ばれ、ハスに似た葉っぱとカラフルな花を咲かせる、ノウゼンハレン科ノウゼンハレン属の植物です。日本では、春に芽を出して、冬には枯れる一年草として扱われていますが、原産地では多年草です。草丈は、小さな矮性の品種では60cmほどで、つる性のものでは3mも伸びるものがあります。さし芽や種で増やし、繁殖力は旺盛ですが、日本の暑さ寒さに弱く、やや気温には神経質な性質がみられます。
花も葉も食べられますが、葉にはビタミンCや鉄分を豊富に含んでいて、ピリッとした辛みで食欲増進効果があることから、サンドイッチやサラダなどの料理に利用されています。黄色やオレンジ、赤色のあざやかな花を咲かせて、つる性でよく伸びることから、ハーブとしての利用だけでなく、ハンギングバスケットなどの材料としてもよく利用されています。
黄色地の花びらの中央部に濃いオレンジ色の模様がある花をつける品種や、切れ込みの入った黄色い花をつけるカナリアヅルという名前の品種など、いくつかの種類が流通しています。生息地(植物学上は生育地といいます)は、南アメリカで、ペルーやコロンビア、ブラジルなどの熱帯の中でも高地の、冷涼でやせた土地で自生しています。
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