シュスランの育て方
育てる環境について
シュスランは強い日差しや乾燥を嫌う植物です。暑さや寒さにもやや弱い性質があります。そのため、山地では樹林の下に生えているのです。樹林により直射日光を避け、土に近い所に生えることにより、湿気を確保しているのです。栽培するのであれば、最適な採光環境と整える必要があります。
50%前後の遮光下で1年中栽培するか、フレームやハウスなどの棚下、一般家庭であれば日陰だけど明るい場所で管理するのがおすすめです。直射日光は嫌いますが、あまり暗すぎるのもよくありません。株が軟弱になってしまいます。光を遮り過ぎないように注意する必要があります。
また、シュスランは寒さにもやや弱い品種です。冬の期間に凍結しないように、屋内や無加温フレームなどで保護するとよいでしょう。温度などに気をつければ、比較的簡単に栽培することができます。また、栽培中の作業としては花茎切りがあります。
花は夏の終わりから初秋に咲きますが、咲いた後は茎と一緒に枯れます。この枯れた花と茎を取り除きましょう。枯れた花をそのままにしておくと、根茎まで傷んでしまうので、花が終わったらすぐに切り取ることをおすすめします。根茎が傷むと枯れてしまうこともありますので、注意しましょう。
多年草であるシュスランは花茎切りをして温度や湿気に気をつけるなど育て方を間違わなければ、複数年その花や葉を楽しむことができます。花茎切りをしっかり行い、温度も気をつけて何年も栽培することをおすすめします。
種付けや水やり、肥料について
シュスランを栽培したい場合には、ホームセンターなどで苗を購入することになります。苗を買ってきて栽培をする場合、植え付けの時期は3月下旬から6月いっぱいになります。この頃に植え付けをすると8月の中旬から10月中旬の間に花を楽しむことができます。
植え付けをする際に必要な鉢は半深鉢がおすすめです。用土は水もちがよく水はけもよい培養土を利用しましょう。シュスランの場合、その葉もビロードのような照りがあり特徴的なので、花の時期以外も充分観賞用として楽しむことが可能です。花を楽しんだ後も、
水やりや温度管理などをしっかりして栽培し、その葉も楽しむことをおすすめします。また、多年草なので、何年にも渡って栽培はできますが、用土が傷んでくると、株も傷みやすくなってしまいます。そのため、通常は1年に1回、植え替えをする必要があります。
植え付けは3月から6月となっていますが、植え替えについては推奨する時期はありません。株が弱ってきたらすぐに植え替えをしましょう。日々の水やりなどの際に、弱っているか元気なのかを確認しましょう。用土については乾燥しないように注意する必要があります。
ただし、多湿もよくありません。常に少し濡れているような状態がよいとされています。芽の中心に水があると痛みやすいので、水をやる場合には、植物自体にかけるのではなく、植物の横からあげましょう。肥料については、液体肥料を施します。生育の活発な時期である4月から6月、9月から11月に2週間に1回の間隔で肥料をあげましょう。
増やし方や害虫について
シュスランは株分けにより増やすことが可能です。1年に1回の植え替えの時期に、茎にある芽を確認しましょう。芽の数が増えているものが株分けできます。この芽を数える作業ですが、花の咲く時期には注意が必要です。花が咲いた茎については花と一緒に枯れるので1芽に数えないようにする必要があるのです。
その芽に花が咲いたのかを必ず確認しましょう。では実際にどのように株を分けるのでしょうか。株を分ける場合、株に根が3本以上、根茎の節が複数ついている状態にしましょう。このように株分けをすることにより、どんどん株数を増やすことが可能です。
では、シュスランの病気や害虫にはどのようなものがあるのでしょうか。まず病気ですが、軟腐病やウイルス病にかかる心配があります。軟腐病はその名の通り株が腐ってしまう病気です。多湿になったりすると発生しやすくなります。そのため、多湿にならないように常に気をつけましょう。
次にウィルス病ですが、この病にかかると葉が萎縮したりしてきます。ウィルスなので避けるのが難しいですが、発見したら他の植物に写らないように刈り取って処分しましょう。また、ウィルスの感染源の一つはアブラムシによる媒介があげられます。害虫であるアブラムシの駆除を積極的に行うことにより、
感染の可能性を低くすることが可能です。最後に害虫ですが、ナメクジ、イモムシ、アブラムシなどがあげられます。特にナメクジやイモムシに注意しましょう。ナメクジなどをそのままにしておくと植物が食べられてしまいます。アブラムシについては駆除剤を利用することをおすすめします。
シュスランの歴史
シュスランはラン科の植物です。ランという名前がついていますが、洋ランのように大きな花を咲かす植物ではなく、比較的小ぶりの花となっています。江戸時代の植物図鑑にも登場していますので、江戸時代にはすでにその存在が知られていたことが分かります。
また、図鑑には観賞用の植物であると紹介されています。江戸時代から観賞用の植物として栽培されていたことが分かります。シュスランが属するラン科の植物は古くから観賞用として人気の高い花でした。18世紀の欧米では観賞用として熱帯性のランが持ち込まれ栽培されていました。
交配も盛んにに行われ、多くの交配種が作られました。それらの花は日本では洋ランと呼ばれ、現在も観賞用に人気があります。一方、日本では東洋ランと呼ばれるランを珍重する傾向が古くからありました。自然から採取してきたものを栽培するのが主流で、交配を行うことが少ないのが特徴です。
栽培中や、自然に自生していて個体変異したものを新種としています。もちろん、現代では、東洋らんの交配も行われていますが、やはり自然から採取したものの方が珍重されているのが現状です。そんな東洋らんの一種であるシュスランは戦後、ラン科の山野草として人気となります。
シュスランについても園芸のために必要な苗は天然採取したものが主流でした。そのため、乱獲が繰り返されてきた歴史があります。実は、乱獲の結果、絶滅危惧種となっているものが多くあります。シュスランでは、ミヤマウズラなどが絶滅危惧種に指定されています。
シュスランの特徴
シュスランは関東地方より西側の本州、四国、九州に広く分布しているラン科の多年草です。日本から近い朝鮮半島や中国でも分布しています。生息地は山地で、樹林の下の湿気の多い場所となっています。里山などの照葉樹や落葉樹の下を探すと、
落ち葉の中に葉を広げたシュスランを見つけることができるはずです。シュスランの一番の特徴はその葉で、ビロード質の光沢があることがあげられます。そのような葉の特徴からビロードランという名前でも呼ばれています。
また、シュスランという名前の由来は葉の様子が織物である繻子に似ているからつけられたと言われています。葉には中心に白い筋が入っていて、茎は地面を這うように伸びています。シュスランは常緑の多年草なので、一年だけでなく、何年もの間いつでも緑の葉を見ることができます。
もちろん、花についても複数年楽しむことができます。その草丈は10cmから30cmなのでそんなに大きくない花となっています。花は夏頃から花芽が伸びてきて、8月から9月に咲きます。花は完全に開かないのが特徴となっています。小さな壺形をしていて、茎の片側に数輪咲きます。
開花した後は、花だけでなく茎も枯れます。シュスランは地下茎から新芽を伸ばすことで増えていきです。原産地は日本の西側が多いですが、アケボノシュスランなど北海道でも生息している品種もあります。実は、日本の山地であればどこでもシュスランを観察することができるのです。
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