サンシュユの育て方
サンシュユの育てる環境について
サンシュユの育て方は、栽培環境は日当りがよく、水もちが良い肥沃な場所を好みます。日当りのよい場所ほど花つきもよく花色も鮮やかになりますが、半日ほど日が当たれば充分に育てることが可能です。耐寒性は強い方なため、東北より南の地域であれば屋外での栽培も可能です。
鉢植えに使用する用土は赤玉土(中粒)と完熟腐葉土を等量で混ぜたものなど、有機物が多く水もちの良い土が適しています。サンシュユの花芽は短い枝の先端に付き、長く伸びすぎた徒長枝にはつきません。長く伸びすぎた枝を短く切り戻して整えることが基本の剪定です。
長い枝を切って、太い枝を増すことで花付きもよくなります。枝分かれしている付け根から短い枝ごと切り詰めると花芽ごと枝を切り落とすことになり、花付きが悪くなるため気をつけます。株元から勢い良く伸びる枝は、そのままにしておくと横に張って場所をとるため、早めに切り落とすことが必要です。
花後に新芽が伸び始めたら日光を遮るように混み合っている部分の枝や細くて弱い枝、枯れ枝などを、もとから切り戻します。これをすることで株の内側の枝まで充分に日光が当たるようになり、育成や花付きが良くなります。この作業をすかし剪定と言います。
また、古くなった株は全体の木の形を一回り小さくするように数年に1回、花付きの悪くなった古株のもとから切り、新しい枝を出させて株の若返りをすることも大切なことです。枝を切る際は、外芽の植えで切るようにすると枝が外側に広がって樹形が整います。
種付けや水やり、肥料について
植えつけは、落葉した11月から翌年の3月の休眠期に行ない、厳冬期の1月から2月は避けます。鉢植えの植え替えもこの時期に行ないます。粘土質など水はけの悪い土地の場合、水はけの良い新しい土と入れ替えて、木を植えつける場所を山高にして、できるだけ排水性を良くします。
植えつけた後は支柱を立ててぐらつかないように固定することも忘れないようにします。サンシュユはどちらかというと鉢植えより地植えのほうが良く育つ傾向があり、鉢植えには一歳サンシュユが向いています。鉢植え、庭植えともに植えつけや植え替えるときに、
植え穴または鉢土の底に有機質肥料が緩効性化成肥料を元肥料として与えます。水やりは、水を好むため土の表面が乾くたびに充分に与え、水切れは良くありません。夏は1日2回程度、冬は2〜3日程度で、鉢植えの場合は鉢底から水が流れるくらいたっぷり与えます。
水を好みますが、地植えは一度根づいてしまえば特に水を与える必要はありません。鉢植えは生育期と土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、花芽が枝の内部で形成される7月頃と落葉期はやや乾燥気味に管理します。肥料は年3回が基本です。
1月頃に寒肥(春に根が活動を始めたときに、すぐに吸収できるように冬の間に与えておく肥料のことで強すぎずにゆっくりと効く有機質肥料が一般的です)として骨粉と油かすを混ぜた有機肥料を、花後あと9月頃にゆっくりと効く化成肥料を与えます。また窒素分の多い肥料を与えると花つきが悪くなるため、注意が必要です。
増やし方や害虫について
増やし方は、さし木と種まきで増やすことができます。さし木の場合、作業適期は7月です。さし木後は直射日光を避ける明るい場所に置いて、空気穴をあけた透明ビニールで覆って湿度を保ちます。種まきは、11月から12月頃に完熟した果実を採取して、
指先で果肉をつぶしながら流水でよく洗い種を取り出します。この時期は気温が低く発芽に適さないため、処理した種を乾燥させないように湿らせた砂に混ぜ、ビニール袋に入れて密封して冷蔵庫で保存します。翌年の3月〜4月に取り出して、もう一度流水で種を良く洗い清潔な土にまきます。
発芽までは時間がかかり、その後苗が生長して花が咲くまでに年数が必要です。剪定も大切な作業で、早春を除き、随時混み合った枝や徒長枝を間引きます。徒長枝は軽く切り戻して新たな枝に仕立てることができます。切り戻しは芽のある節のすぐ上で行ないます。
秋に枝先に翌年の花芽がふくらんだ状態で確認できるためこの時期に行なても問題はありません。かかりやすい病害虫は、適地で育てていれば病害虫は殆どみられません。害虫がみられる場合は、5月頃に葉の裏側をアオイラガの幼虫が食害し始める可能性があります。
体にある毒針に皮膚が触れると激痛を感じて刺された部分が腫れるため注意が必要です。またカミキリムシもつく可能性があり、対策としてカルホス乳剤とベンレート水和剤などを月1回散布すると効果的です。日当りや風通しの悪い場所では、
ウドンコ病が発生することがあります。ウドンコ病は華美の一種で茎から白い粉をふいたようになり、植物から栄養を吸収したり光合成を邪魔します。サンシュユにウドンコ病を発見した場合には薬剤を散布して防除します。
サンシュユの歴史
サンシュユはミズキ目ミズキ科の落葉小高木です。アキサンゴ、ヤマグミとも呼ばれています。学名はCornus officinalisです。コーナス(Cornus)はラテン語のcornu(角)という意味で、この木の材質が堅い事に因みます。中国や朝鮮半島が原産で、
日本には江戸時代の享保年間に朝鮮経由で種子が持ち込まれました。薬用植物として栽培されるようになり、現在では観賞用として庭木などにも利用され、春を告げる花木のひとつとして切り花や庭木、公園樹として親しまれています。日当りのよい肥沃な土地を生息地とします。
学名にオフィシナリス(officinalis)とありますが、これは薬用になるという意味で、サンシュユは種を取り除いて乾燥させた果実は漢方薬として用いられます。主な効用は滋養や強壮などの効果が期待できます。サンシュユの名前は中国名の山茱萸の音読みが和名の由来です。
早春に葉がつく前に木一面に黄色の花をつけることからハルコガネバナと呼ばれ、この命名は牧野富太郎博士と言われています。山茱はグミのことを指し、秋に形、色、大きさなどグミのような楕円の赤い実をつけますが、それを珊瑚に例えてアキサンゴとも呼ばれています。
英名はJapanese cornelジャパニーズコーネルです。グミのような赤い実は食用になり、家庭果樹用に改良されたショコラ、実なりのよいものを選抜した金時などがあります。この他に葉に白い斑の入るフイリサンシュユがあります。
サンシュユの特徴
サンシュユは、高さが3〜15mになる落葉小高木で、樹皮は薄紫で葉は長さ4〜10cm程度の楕円形で両面には毛があります。3月〜5月に若葉に先立って花弁が4枚ある鮮やかな黄色の小花を一面に集めてつけます。花弁は4枚で反り返り、雄しべは4本、雌しべは1本です。
葉の特徴は、楕円形で向かい合って生える対生です。葉には短い柄があり、葉先は尖っています。葉の縁にギザギザした鋸歯はありません。葉の裏面のつけ根には褐色の毛が生えます。実の特徴は、秋にはグミに似た楕円形の果皮が肉質で液汁が多い実が赤く熟し、
その姿から秋珊瑚の別名もあります。実は果実酒としても活用されます。サンシュユは生薬としての効能もあります。内部にある種子を取り除いて乾燥させた長さ約1.4cmの楕円形の果肉のようなものは生薬として利用されます。生薬名は山茱萸で、種子は薬効が期待できないため、
抜き取ってから使用します。また、市場で和山茱萸というものがありますが、これはアキグミなどの果実を乾燥したもので、山茱萸ではないため注意が必要です。山茱萸の有効成分は、リンゴ酸、酒石酸などのほかに糖類、イリドイド配糖体などがあります。
副腎、強壮薬、めまい、耳なり、頻尿、老人の夜尿症などに使用します。漢方の八味地黄丸は漢方の古い医書にも記載されている重要な処方で、サンシュユはこの八味地黄丸に処方されており、糖尿病、腰痛、動脈硬化、前立腺肥大などに効果が期待できます。
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