サクランボの育て方
サクランボの育てる環境について
育て方は、日光を好むため、庭植えの植えつけ場所、鉢植えの置き場ともに煮当たりが良い場所を選びます。水はけや水持ちの良いことが大切です。この条件があれば土はあまり選びません。一般的な用土を使用する場合は、赤玉土小粒7〜8、腐葉土3〜2の配合土を使用します。
美味しいサクランボを育てるには、冬眠が必要です。また花芽時期には昼は温かく、夜は寒いことが必須条件で、開花時期には低温と霜は大敵で、常に温度が高いと枝だけが伸びて実が結びず、開花時期に雨が多いと受粉しにくいのです。耐水性が弱いため、水はけのよい扇状地が適当で、
雨が多いと実割れや病気が発生しやすいです。サクランボを育てる環境は、土地環境、気候条件、熟練の技が揃って作ることが可能になるのです。サクランボは暖地では落果しやすく栽培にしくく、耐寒性があるため、東北地方以南で栽培されます。
果実の成熟期が梅雨時期と重なると実が裂けやすくなるため、成熟期に雨の少ない地域が栽培に適しています。暖地でも栽培することは可能で、暖地桜桃という品集を用いることで栽培は可能になります。日本での果実の成熟期が梅雨時期と重なるため、梅雨時期は樹全体か枝をビニールなどで覆って雨よけをします。
日本のサクランボの生息地で山形県が多いのは、山形県は梅雨に雨が少なく、昼夜の寒暖差があるため果実の育成には最高の環境のためです。さらに山からのキレイな水や空気、熟練の生産者の努力なども加わり山形県での生産が多いのです。
種付けや水やり、肥料について
サクランボは自家不結実性が強いため、殆どの品種が自分の花粉では受粉しません。結実するには他の品種を混植しょて受粉させることが必要です。よく結実させるには、佐藤錦とナポレオン、高砂とナポレオン、紅秀峰と佐藤錦など相性のよい組み合わせがあるため、
その組み合わせを用いることが良い方法です。ただし、受粉には相性があります。佐藤錦と南陽などのように交配しない組み合わせもあるため、注意が必要です。中国桜桃の暖地桜桃は自家結実性があるため、1本でも結実します。水やりは、鉢土の表面が白く乾いたら、
鉢底の穴から水が少し流れでる程度にたっぷり与えます。庭植えの場合は、土質にもよりますが、夏に日照りが続かないかぎり、水やりは必要ありません。肥料は、庭植えは2月と10月、鉢植えは2月、5月、10月に有機質肥料か即効性化成肥料を施します。
植え付けは12月〜3月です。植え替えも行ないます。植え替えの目的は根詰まりを防いで、通気をよくすることです。鉢の大きさや生育具合にもよりますが、通常2〜3年に1回は必要です。受粉は、開花したら5分咲きと満開のときの2回、他の品種の雄しべの花粉を筆先につけ、
受粉させる花の雌しべにつける人工授粉を行ないます。満開後約20日ほどたち、幼果が見えてきた頃に、1箇所2〜3果になるように摘果を行ないます。摘果は小果や奇形実などを摘み取ります。摘果することで果実も大きくなるため、必要な作業です。
サクランボの増やし方や害虫について
病気は、灰星病、褐斑病、胴枯れ性などで、葉や果物に赤褐色、または褐色の斑点を生じる灰星病や褐班病、枝梢を枯らす胴枯れ性の病気には予防を徹底します。害虫にも注意が必要です。ウメシロカイガラムシは樹液を吸うため枝枯れを起こしたり生育が悪くなります。
幼虫は暖地では年3回、寒冷地では5〜6月と8月の2回程度発生します。また、コスカシバは内部を食い荒らして樹勢が衰えて枯れることがあり、5月中〜下旬、8月下旬〜9月上旬の2回に成虫が発生します。増やし方は、つぎ木の場合は2月中旬に休眠枝つぎを行い、8月下旬から9月上旬に芽つぎを行ないます。
冬の剪定適期は12月から2月で、長い発育枝を間引いたり、20〜30cmに切り詰めます。夏の剪定適期は、7月下旬から8月で、木を大きくしたくない場合は、長く伸びそうな新梢を切り詰めたりすることで、小さくコンパクトにすることができます。
短果枝によく実がつくため、新梢は先端4分の1程度を切り返して短果枝にします。2〜3年実をつけた短果枝はそれ以降の結実が悪くなるため、基部から切り取り更新することが大切です。サクランボは太い枝を切ると、切り口から枯れることがあります。
幼木のうちに樹形をつくるようにします。仕立て方は変則主幹形、開心自然形、垣根仕立てなどが適しています。鉢植えの場合は、模様仕立てが良いです。苗木を7〜8号鉢に斜めに植え付けて、鉢と同じ高さの内芽の上で切り返します。樹高は鉢の高さの3倍くらいに抑えて、
収穫は10〜15果を目安にして行ないます。沢山実をつけるには人工授粉が必須です。また、実が多くつき過ぎると1つの実が大きくなれないため、数を制限することも必要です。果実を間引いてもよいですが、剪定の際に短果枝上の多い花芽を間引くことが効果的です。
サクランボの歴史
栽培の歴史はヨーロッパでは紀元前から栽培されており、中国に記述が残っていて3000年前には栽培されていました。日本には江戸時代初期に中国から入ってきたのですが、気候が合わずになかなか普及しませんでした。現在栽培れているサクランボのもとになった甘果桜桃が日本に伝わってきたのは、
1872〜1875年頃で、アメリカやフランスから導入されました。まず、苗木にとって最適な環境であった北海道や東北に配布され、日本独特の品種改良が進められたのです。気候や風土が適していた山形には明治28年頃には品種が増えて、生産量も増えました。
原産国の推定は、1世紀の古代ローマ時代の博物学者による博物誌の中に、古代ローマの執政官が、戦争で黒海南岸のケラソスに駐屯した際にサクランボの木を見つけてローマに持ち帰りました。サクランボの属性はサクラ亜属で、学名のCerasusは、ケラソスのラテン語で、
ケラソスという名前はサクランボにちなんで付けられた可能性もあります。サクランボは黒海沿岸からヨーロッパ諸国に伝わり、イギリス、フランス、ドイツで普及しました。16世紀頃から本格的に栽培されるようになり、17世紀にはアメリカ大陸に伝えられました。
中国では、華北や華中を中心に、支那桜桃、唐実桜があります。漢の時代の礼記に記述が残されています。日本には江戸時代に清から伝えられて西日本でわずかに栽培されました。セイヨウミザクラが日本に伝えられたのは明治初期で、ドイツ人により北海道に植えられました。その後北海等や東北地方に広がりました。
サクランボの特徴
サクランボは園芸の分類では果実で、約1m〜3mの低木です。受粉は必要で、耐寒性や耐暑性は強く、落葉性です。木を桜桃、実や商品化されたものをサクランボと呼びます。華を観賞する品種の桜は実は大きくなりません。果樹のミザクラには東洋系とヨーロッパ系があり、
日本で栽培される苗は大半がヨーロッパ系で、品種は約1000種以上あります。サクランボの果実は、丸い赤い実で、中に種子が1つあります。品種によってはブドウのように赤黒い色や紫がかったものもあります。日本で食べるためのサクランボは、甘果桜桃の実です。
調理用には酸味が強い酸果桜桃の実が使用されます。甘果桜桃は他家受粉が必要で、受粉には最低限S遺伝子型が異なる必要があります。ただし、僅かに自家結実が可能な品種があり、酸果桜桃は全ての品種が自家和合性があります。サクランボの品種には、受粉樹として栽培される高砂、
酸味が強く糖度が低いためジャムなどに適しているジャボレー、国内で最も多く生産されているナポレオンと黄玉を交配してできた佐藤錦、ヨーロッパ各国で栽培される品種で完熟した果実は非常に美味しいナポレオン、果実は大きく糖度が高く豊産性が非常に優秀な品種の紅秀峰などがあります。
生産が多い国は、トルコ、アメリカ合衆国、イラン、日本などです。日本の生産地といえば山形県で、山形県に次ぐのが青森県、山梨県などです。北海道でも生産されています。サクランボは加工品としても販売されています。佐藤やシロップ漬けにして水分を飛ばしたドレンチェリーとして、ケーキなど洋菓子などに使用されます。また、缶詰でも販売されています。
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