ヒヤシンスの育て方
ヒヤシンスの育て方 「水栽培について」
ヒヤシンス栽培の入口として、ポピュラーなのは水栽培です。これは、小学校の冬休みの教材として使われるようなこともあるのではないでしょうか。ガラス容器などに球根をセットして、水替えをするなどの簡単な手入れだけでよいので、初心者や子供にも難しくない方法です。
11月末、あるいは12月に、このセッティングを行います。球根の底面に水面がスレスレになるようにするのがポイントで、これを光が当たらない場所で、芽が出るまで管理します。暖房などの影響を受けず、低温が保たれる場所が適していますが、0度を下回るような寒さはよくないでしょう。毎日水を替えてあげることが大切です。
芽よりも先に根っこが伸びてきます。白く細い根が球根の下部から、何本も出てきて、その後球根の上部から芽が顔を出します。そうなったら、日の当たる場所に配置転換です。よく窓際やベランダなどが良いと言われますが、ここでも一つ注意があります。暖かすぎたり、直射日光を長く浴びたりするのは苦手な植物なので、時間によって場所をずらしてあげることも考えましょう。
芽は日々成長し、真っ直ぐに伸びていきます。そしていよいよ、つぼみが顔を見せます。こうなったら開花は近いです。花が満開の状態になる前から、特有の花の香りがしてきます。香りは花の咲き具合とともに変化をします。こうして、花が最盛期を過ぎ、しおれてくると、水栽培の楽しみも終わりに近づきます。
そのまま置いておくと、種ができることがありますが、これは球根の養分を奪うので、花を取り除き、土に植え替えてあげるのがよいでしょう。しかし、水栽培そのものが、球根にとっては大きな負担であり、土に植え替えても、来年また芽が出て花が咲くかは、賭けのようなものと心得ておきましょう。
ヒヤシンスの育て方 「庭植えについて」
ヒヤシンスを植えるに適した土壌は、水はけが良いことが最重要です。ジメジメした土地を嫌います。また、地中海沿岸や西アジアを原産としており、日本に多く見られる酸性の土壌は苦手です。庭土のpHによっては、石灰などを撒いて中和してあげることも必要と考えましょう。鉢植えの場合なら、土をブレンドしてあげることで、適した土が作れますね。
ヒヤシンスは、秋植え・春咲きの植物ですから、9月~10月中旬頃までには植え付けをしますが、地方の気候風土によっては、多少この時期がずれるかもしれません。
庭植えなら地中10cmほどの深さ、鉢植えなら球根の上部が少し顔を見せるくらいにして、植え付けます。根の張るスペースが十分に取れるようにしてあげることがポイントです。
そして、水やりに関してですが、これも雨の降り方や、植える場所がどれほど雨水を受けるか、といった状況によっても変わってきますが、基本は生育期には土が乾けば水をやる、という形です。植え付けてから葉が枯れるまでを、生育期といいますが、この時期、土の表面が乾いてきたら、しっかり水をやるのが基本です。生育期のあとは、休眠期に入りますので、この頃(6月ころ)には、水やりはストップして構いません。
肥料の与え方については、まず植え付けの際に、遅効性の肥料を土に混ぜ込んでおくことが大切です。その後、芽が出て花が咲くまでの期間に、一週間に一度くらいのペースで、液肥を与えてあげるとよいでしょう。
その他の手入れとしては、花が枯れ始めたら、花がら摘みをしてあげてください。花をそのままにしておくと、種ができてしまいます。これは球根の養分を消費してしまいますので、次の年も花を咲かせたいならば、必ず行うべきです。面倒でも、花の部分だけを取ってあげることが重要です。
ヒヤシンスの育て方 「掘り上げと種付け」
ヒヤシンスは、主に球根による栽培が一般的な植物ですから、その繁殖のことを、種付けという言い方はあまりしないかもしれません。球根を分けて増やす分球、というのがよく言われるところです。他の植物同様、花が咲き、身がなり、種が出来るものですが、こうしてできた種を使って、種付け(繁殖)をし、栽培するケースは稀なものではないでしょうか。
とはいえ、このような育て方での種付けが不可能ということでもありません。しかし、この場合、花が咲くまでには、3~4年を要するといわれます。ヒヤシンスは一度球根を植えたら、3年ほどはそのまま植えっぱなしでも、翌年にまた花を咲かせます。しかし、ずっと植えっぱなしだと、やはり生育が悪くなるので、掘り上げという作業が必要になります。
特にコンテナや鉢などに植えられているものは、2~3年に一度は掘り上げをしてあげたいものです。6月の梅雨に入る前には、この作業を済ませてしまいましょう。掘り上げた球根は、土を落とし、陰干しします。植物用の消毒液などで殺菌するやり方もあります。そして、風通しの良い冷暗所にて貯蔵します。
みかん用のネットなどに入れて吊るす形で保存するのが良いとされます。また、冬は凍らず、夏は熱がこもらず、といった環境であることも大切です。特に風通しを確保し、カビが繁殖しないよう気を使ってあげるべきです。
ヒヤシンスの歴史
ヒヤシンスは、ユリ科ヒヤシンス属に分類される球根性多年草です。ギリシャなどの地中海沿岸から、イラン、シリア、トルコ、など西アジアが原産とされます。野生品種は、これらの地方の、水はけの良い土壌が生息地となります。古くはオスマン帝国にて栽培され、園芸品種として改良が重ねられてきた植物です。
よって、現在では数多くの品種が市場を賑わせています。オスマン帝国から、ヨーロッパに持ち込まれ、一躍人気となった歴史が有名な植物としては、チューリップが挙げられますが、このヒヤシンスも同じような道筋を辿り、ヨーロッパで人気となりました。今も球根栽培で知られるオランダでは、1637年にチューリップバブルと言われる球根の価格高騰が起こり、多くのチューリップマニア達が生まれました。その陰であまり知られていませんが、ヒヤシンスマニアという存在もいたのです。
そのバリエーションに富んだ花色や、園芸に向いた小ぶりな草丈など、投機としてだけでなく、庭園の彩りとして愛でられました。特に、あのポンパドゥール夫人も、このヒヤシンスマニアだったといわれます。また、この植物は香料の原料として、重宝されてきた歴史もあります。春に咲く花は強い香りを持ち、この花から採られた香料は、とても高価なものです。
しかし、現在は合成香料に押され、天然ものの生産は減少の一途でしょう。園芸植物としての人気は現在も衰えず、やはりオランダがその生産を誇っています。日本には江戸時代中期に渡来し、その後は主に新潟などで商用に栽培され続けている他、植物園や公園などでも見られます。
ヒヤシンスの特徴
この植物の特徴としては、まず球根植物ということが挙げられます。もちろん花が咲き終われば実がなり、種を付けますが、一般的な家庭用の園芸において、種から栽培されることは少ないものです。また、この球根をガラス容器などにセットして、水栽培という形で育てることもポピュラーです。概ね秋に球根を植え、春に花が咲きます。
この植物は、その名前の由来がロマンティックであることもよく知られています。ギリシア神話における太陽神アポロンが、その死を悲しんだ美少年ヒュアキントスから来ています。アポロンが競技中に投げた円盤が当たって、ヒュアキントスは死んでしまいますが、彼の血から美しい花が咲きます。アポロンはその花に、彼の名前を付け、そこからヒヤシンスと呼ばれるようになったという話です。こうしたことから、「悲しみを超えた愛」などの花言葉もあります。
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