サンチュの育て方
種まきから苗までの育て方
①サンチュ栽培の適温は、15~20度が目安となります。栽培する地域の気候に合わせて、3~4月頃か8~9月頃に種まきを行います。家庭栽培の場合は、数株でも十分な収穫量になりますので、種をまきすぎないようにしましょう。
②種は3~4日で発芽しますので、種まきの2週間前には、苗を植えつけるための土作りを終えておきます。土は、酸性の土以外であれば、どんな土でも使用できます。目安としては、1㎡あたり苦土石灰200g程度の割合で庭を耕しましょう。プランターで栽培する場合は、栽培量に合わせて苦土石灰を加減してください。
③種まきの1週間前になったら、耕しておいた土に、堆肥1㎡あたり1~2kg、粒状肥料200g程度を混ぜておきます。
④育て方のポイントとして、購入した種を水に3時間~1晩程度つけておくと、発芽がきれいに揃います。育苗トレーやポリポットなどに土を入れ、10粒程度の種をまいてください。種をまいたら、0.5mm程度の土を被せ、手のひらで軽く押さえましょう。サンチュの種は光好性ですので、土を多く被せすぎると発芽しにくくなります。
⑤種をまいたら、発芽するまでは土が乾かないように水を与えてください。双葉が開いたら、生育の良いものを残して間引きましょう。
苗から収穫までの育て方
①種から栽培した苗は、本葉が4~5枚になった頃を目安に、生育の良いものを選んで、庭やプランターに植え替えます。間引いた苗の葉はとても柔らかいので、そのままサラダの食材にすると美味しく召し上がれます。
②土作りを終えた庭やプランターに、選んだ苗を植えつけます。庭の場合は幅60cm程度のウネを作って、30cm間隔で植えつけてください。プランターの場合は、15cm間隔で植えつけてください。植えつけたら水をたっぷり与えて、その後は、土の表面が乾く頃に水やりをしてください。
③およそ30日で、葉は15cm程度に育ちます。育て方のポイントとして、収穫する際には、好みの大きさに育った外葉から1枚ずつ掻き取ってください。中心の葉を5~6枚残して収穫すると、再生力が維持されるため、長く収穫を楽しむことができます。
④サンチュの葉が硬くなって収穫期を過ぎると、花を咲かせる茎が伸び始めます。種付けを行わない場合は、栽培終了となります。種付けを行って、次にまく種を収穫したい場合は、花が咲くまで適度に水を与えながら待ちましょう。しばらくすると、黄色い花をたくさん咲かせます。
⑤サンチュの花が咲いたら、種付けを行います。種付けの方法は、柔らかい筆や綿棒に花粉をつけて、花から花へとこすりつけても良いですし、花をいくつか摘んで、他の花にこすりつけても良いでしょう。
⑥種の収穫は、花が綿毛になったら行います。綿毛ごと摘み取ったら、湿気の少ない場所に置いて十分乾燥させてください。乾燥してから手で揉みつぶすと、中から種が出てきますので、綿毛やゴミを取り除いてください。収穫した種は、次の種まきまで冷暗所で保管しておきましょう。
病害虫の対策
サンチュは病害虫に強いため、日当たり・水はけ・風通しの良い場所で育てられれば、心配する必要はほとんどありません。万が一に備えて、いくつかの病害虫を紹介しますので、発生したらすぐに対処してください。
①アブラムシ・・・葉に群生して、成長を阻害する害虫です。アブラムシはモザイク病を媒介するので、野菜専用の殺虫殺菌剤を散布してください。
②モザイク病・・・主にアブラムシの媒介によって発生する、ウイルス性の感染症です。一度かかると治すことができず、葉にモザイク状の斑点ができて、生育や品質を低下させます。防除できる薬剤はありませんので、発病した株はすぐに抜き取って処分してください。
③灰色カビ病・・・日当たり・水はけ・風通しの悪い場所で栽培した場合、株元に灰色のカビが生える病気です。野菜専用の水和剤系薬剤を散布してください。
④軟腐病・・・葉の表面に褐色や黒色の斑点ができて、枯れてしまう病気です。野菜専用の水和剤系薬剤を散布してください。
⑤べと病・・・葉の表面に、淡黄色の病斑が拡大していく病気です。葉の裏側には白いカビが生えて、葉全体が枯れてしまいます。見つけたら株を抜き取って処分し、野菜専用の薬剤を散布してください。
⑥ヨトウムシ・・・葉を食害して穴だらけにしてしまう、蛾の幼虫です。見つけたら、ピンセットなどで取り除いて処分してください。
⑦ハモグリバエ・・・成虫が葉に卵を産みつけ、孵化した幼虫が葉肉を食します。葉の表面にミミズが這ったような白い模様ができることから、絵描き虫とも呼ばれています。胡麻粒大の小さな幼虫が葉の裏につきますので、見つけたらピンセットなどで取り除きましょう。大量に発生した場合は、株ごと処分してください。
⑧ナメクジ・・・株の間隔が狭すぎると、発生しやすい害虫です。見つけたら株を間引いて、風通しを良くしてください。浅い容器に米のとぎ汁やビールを入れて近くに置くと、葉についたナメクジが容器へ移動するので駆除できます。
サンチュの歴史
サンチュの歴史は、古代エジプト時代に栽培が始まったとされており、朝鮮半島では4~6世紀頃の三国時代から食されていた野菜です。中国では髄の時代に、朝鮮半島の高句麗から種を入手した記録が残されています。
日本では、奈良時代から平安時代にかけて栽培が始まり、おひたしなどにして食されていましたが、戦後にレタス栽培が普及するにつれ、サンチュ栽培は一時衰退しました。近年、焼肉などの韓国食文化が再注目を浴び始めると同時に、栽培が再び加速して、一般家庭にも普及するようになりました。
その名称は、韓国の李氏朝鮮王朝時代に生菜(センチェ:生で食べられる野菜)と呼ばれていたものが、転じてサンチュとなったとされています。日本では、乳草(ちちくさ)から転じて、知佐(ちさ)、ちしゃ、と呼ばれるようになったと伝えられています。カタカナやひらがなで「チシャ」「掻きちしゃ」「茎ちしゃ」とも呼ばれ、漢字では「萵苣」と表記します。
原産地は、中近東内陸部、地中海、中国などの説があります。現在の生息地は、15~20度の冷涼地を中心に広く分布しており、日本では、栽培時期に違いはあるものの、北海道から沖縄までの全国各地で栽培されるようになった野菜です。
サンチュの特徴
サンチュの属性は、キク科アキノノゲシ属、一年草または越年草に分類されます。適度な苦みを含んだ長楕円形の縮れた葉が特徴で、15~30cm程度に成長した頃に、外葉から順に掻き取って収穫します。病害虫にとても強く、日当たりの良い場所であれば比較的簡単に栽培できる上、外葉の成長に合わせて少しずつ掻き取れるので、1株でも長く収穫を楽しめるという特徴を持っています。
栽培には春と秋が適していますが、栽培気温が25度を超えると、生育不良やとう立ち(花を咲かせる茎が伸びて葉が硬くなること)になるため、韓国では「秋のサンチュは戸を閉めて食べる」という慣用句がある程、秋の涼しい気候で栽培されたものが最も美味しいとされています。
サンチュは緑黄色野菜に分類され、食物繊維、カロテン、カリウム、リンなどのミネラル類やビタミンE、Kを多く含みます。中でも、ベータカロテンはレタス10倍の含有量を誇ります。ベータカロテンには抗酸化作用があり、がん予防、感染症予防に有効な栄養素とされています。また、切り口から出るラクチュコピクリン(Lactucopicrin)という乳白色の液体には、精神を安定させて眠りを誘う作用があるため、韓国では、車を運転する前の摂取を控える風習があります。
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