ぶどうの育て方
果樹の育て方
①ぶどうの栽培は、垣根や支柱につるをからませる育て方もありますが、望ましいのは、庭に棚を組んでつるをからませる育て方です。
②植えつけ2週間前には、土作りを終えておきましょう。日当たりと水はけの良い場所を選び、庭に棚を組んでください。棚の支柱近くに、直径60cm、深さ50cmの穴を掘ります。掘り出した土5、腐葉土3、赤玉土中粒2の割合で、適量の苦土石灰も混ぜ、1株あたり200gの粒状肥料を加えておきます。
③ぶどうの苗木は、巨峰やデラウエアなどの「欧米雑種」を選びましょう。欧米雑種は雨に強く、気温7度以上の地域であれば栽培できます。また、苗木には、接ぎ木と挿し木があります。多少高価ではありますが、アブラムシが少なく育てやすい「接ぎ木」がおすすめです。極寒期を避けて、2月までに植えつけを済ませましょう。
④苗木の根を広げるようにして、穴に植えつけます。混合した土を入れる際に、接ぎ木された部分に土が被らないよう注意してください。苗木に支柱を立てて、土から5芽を残して枝を切り詰めてから、たっぷりと水を与えます。
⑤苗木が根付いてからは、水やりを控えめにしてください。土が十分に乾いているのを確認してから、水を与えるようにしましょう。
育て方のポイント
①ぶどう栽培に欠かせないのが、剪定の作業です。剪定を怠ると、樹勢が強くなりすぎて、果実に栄養が届かなくなってしまいます。苗木が成長したら、元気のない枝や古い枝を中心に、不要な枝を切り詰めてください。
②残した元気な枝も、品種に合わせて先端を切り詰めます。巨峰やピオーネは、長い枝に7~8芽残して剪定します。マスカットベリーAやデラウエアは、長い枝に2~3芽残して剪定します。芽と芽の間で切って、1平方メートルあたり2~3本の枝を残してください。剪定を終えたら、日当たりと風通しを考えて、バランス良く棚に誘引しましょう。
③ぶどうは自然受粉しますので、種付けを行わなくても果実は実ります。心配なようでしたら、やわらかい筆や綿棒に花粉をつけて種付けしてください。丸く膨らんだ粒のまわりに、小さくて目立ちにくい、黄色い毛のような花が咲きますので、種付けしたい場合には、見落とさないように気をつけましょう。
④種付けと同時に、芽かきと花房の整形を行います。ひとつの節に2芽以上伸びていたら、かき取って1芽にしてください。また、果実全体に栄養が行き渡るように、枝に近い方の実は切り落として花房を整えます。
⑤果実が育ち始めたら、ぶどう栽培には欠かせない摘粒を行います。摘粒を行わないと、目が詰まりすぎて果実が育ちません。成長の悪い粒や、色の悪い粒から摘み取って、巨峰やピオーネは1房30~35粒、マスカットベリーAは60~70粒、デラウエアは90~100粒程度を目安に、バランス良く摘粒してください。
⑥房全体がきれいに色づいたら、いよいよ収穫です。ぶどうの果実は、枝に近い部分から熟しますので、枝から遠い先端の粒で味見してください。房ごとに熟し具合が異なりますので、ひと房ずつ確認しながらハサミで収穫しましょう。
病害虫の対策
①ブドウべと病・・・葉の表面に黄色の斑点ができ、葉の裏に白いかびが生える感染症です。未成熟な果実にも感染し、黒く変色して成長が止まります。専用の薬剤を予防散布しましょう。
②黒とう病・・・葉や果実などに、褐色の小さな斑点ができる病気です。発芽前に専用の薬剤を散布すると、防ぐことができます。
③灰色かび病・・・開花前の花穂に感染しやすい病気です。花穂が茶褐色になって腐ったり、果実に灰色のかびが生えたりします。風通しが悪くならないよう気をつけて、専用の薬剤を予防散布しましょう。
④晩腐病・・・梅雨に胞子が飛散して、果実を腐らせる感染症です。平均気温が20度を超えると発症しやすいので、専用の薬剤を予防散布しましょう。梅雨前までに、果実の袋掛けを行うのも有効です。
⑤フィロキセラ・・・ブドウネアブラムシとも呼ばれる、ぶどうの根や葉に寄生する害虫です。幼成虫が樹液を吸ってコブを作り、成長不良になって枯れてしまいます。専用の薬剤を散布してください。
⑥ブドウトラカミキリ・・・幼虫が枝の中に寄生します。黒く変色した枝があったら、枝ごと切り落として焼却するか、皮を剥いで幼虫を除去してください。薬剤の予防散布が有効です。
⑦ブドウスカシバ・・・ブドウトラカミキリ同様、幼虫が枝の中に寄生します。黒く変色した枝があったら、枝ごと切り落として焼却するか、皮を剥いで幼虫を除去してください。薬剤の予防散布が有効です。
⑧チャノキイロアザミウマ・・・幼虫、成虫ともに、葉や果実を食します。開花前までに、専用の薬剤を散布して予防しましょう。
⑨コナカイガラムシ・・・幼虫が葉の裏に寄生して、果実の汁を吸ったり、排泄物で果実を汚したりする害虫です。見つけたら専用の薬剤を散布してください。
ぶどうの歴史
ぶどうの歴史には、その品種の多さゆえに諸説あり、最も古いものは紀元前8000年頃のヨルダン遺跡から、初期農耕文化における果実類として検出されています。文字として最も古い記録は、紀元前3500年頃のメソポタミア文明の壁画に、くさび文字として残されています。また、紀元前3100年頃のエジプト墳墓からは、ぶどうを並べて埋めた痕跡が発見されています。
ぶどうの品種は、ヨーロッパ種・アメリカ種・欧米雑種に区分され、世界中で10,000種を超える品種が栽培されています。そのうち、日本で栽培されているのは50~60種程度です。日本では、弥生時代の遺跡から葡萄類の種が発見されており、その頃から野生の山葡萄が自生していたと推測される説、奈良時代に中国から渡来したとされる説、平安時代末期に山林で見つかった説など、数多くの説が伝えられています。
明治時代には、中近東原産のヨーロッパ種と北アメリカ原産のアメリカ種が輸入されましたが、日本の気候に合わないものが多く、栽培は困難を極めました。試行錯誤の上、アメリカ種のヴィティス・ラブルスカの栽培に成功したのち、ようやく各地に広まって品種改良が進められました。
日本の気候では、品質の良いヨーロッパ種は皮が傷みやすく栽培が困難です。また、病気に強いアメリカ種は品質がやや劣ります。現在では、双方の長所をかけ合わせて品種改良された、欧米雑種の栽培が盛んになっています。
ぶどうの特徴
ぶどうの属性は、ブドウ科ブドウ属、つる性落葉低木に分類されています。元々の生息地は、コーカサス地方やカスピ海沿岸の日当たりと風通しの良い湿地でしたが、品種改良が進んだために、現在では世界各地で栽培されるようになりました。
欧米では、収穫されたぶどうの大部分がワインに加工されますが、日本では、ワインに加工されるものはごく一部で、ほとんどがフルーツとしてそのまま食されています。また、ジュースやドライフルーツなどにも多く加工されています。
果実の色は、品種によって赤・黒・緑に大別されます。果実に共通する特徴としては、水分の蒸発を防ぐためのブルームと呼ばれる白い粉が付着します。果実のひと粒ひと粒に、まんべんなくブルームが付着しているものが、鮮度の高いぶどうです。
果実の主成分であるブドウ糖は、体内に入るとすぐにエネルギー源にかわりますので、疲労回復や病中病後の栄養補給に適しています。また、果皮にはアントシアニンというポリフェノールの一種が豊富に含まれています。アントシアニンは、抗酸化作用が高く、動脈硬化の原因となる活性酸素を取り除く効果があることで知られています。
下記の記事も詳しく書いてありますので、参考にして下さい♪
タイトル:ブドウの育て方
タイトル:ブルーベリーの育て方
タイトル:オリーブの育て方
タイトル:カキの育て方
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