クレマチス(四季咲き)の育て方
育てる環境について
クレマチスは、日当たりのよいところを好みます。日当りが悪いと、蔓が伸びず株が貧相になってしまい、花もたくさん付かず丈夫に育ちません。クレマチスの育てるポイントとなるのが、「日当りの良さ」です。半日陰でもなんとか花は咲きますが、徒長したり花付きが悪くなってしまいます。
花付きや丈夫さを考えるなら、半日以上日が当たる場所を選び植えるようにしてください。ただ、夏の強い直射日光には弱い性質を持っているので、影響を受けやすい鉢植えは北向きの場所に置くなどの対策が必要です。地植えの場合は、風通しなどをよくしてなるべく涼しい環境を作るようにしてください。
クレマチスはどちらかというと乾燥を嫌います。水はけがよく、なおかつ水もちのよい有機質を加えた土というのがよいです。地植えには、水はけをよくするために軽石といったものを加えておくのもおすすめです。鉢植えにする場合の土の配合は、
赤玉土5腐葉土3バーミキュライト2といった土か、面倒であれば市販の「クレマチスの土」を使ってもよいです。植え付け時期は、真夏を除き、一年中植えつけや植え替えができます。土に苗木を植えるときは、蔓を1、2節分、土中に埋めて深植えするのが基本です。
おすすめなのは、休眠中の12月から2月中旬ごろです。クレマチスは根を切られるのを嫌う植物なので、植え替えといったときには根鉢を丁寧に扱うようにします。植え替えは、鉢の底から根がでてきたら植え替え時期とします。
種付けや水やり、肥料について
クレマチスは丈夫な植物ですが、乾燥を嫌うので土の表面が乾いたらたっぷりとあげるようにしてください。とくに鉢植えの場合は、乾燥しやすいので水の管理が重要になります。夏の暑い時期には水切れを起こしやすいので注意します。
一度水切れを起こしてしまった株はひどく生育が衰えてしまうことがあり、茎や葉くたらないようにしっかりと水やりをしてください。地植えの場合は根が定着すれば、水やりは降ってくる雨水だけで十分ですが、夏の日照りなどでは水分が不足することがあります。
そういった場合には、水をたっぷり朝か夕に与えるようにしてください。またクレマチスは肥料といったものが大好きな植物なので、肥料を与える作業が大事になります。肥料は春から秋の生育期は十分に与え、定期的に肥料を施して株を充実させます。
真夏は暑さで株が弱ることがあるので与えません。秋に涼しくなってきてから肥料を再開してください。真夏を除き、緩効性肥料を1か月から2か月に1回、液体肥料を月2回から3回を目安に施します。肥料食いなので、冬の植え付け時には元肥といったものを入れておくと春の新芽の生育にもよいです。
あと、四季咲き品種の場合、花後に剪定すると、その後に伸びてきた蔓に、花芽がつきます。年に何度も花を楽しむことができる四季咲きの良さを活かすためにもこういった剪定は欠かせません。つる全体の長さの1/3から1/2ぐらいを残し、早めに剪定するのがポイントです。
増やし方や害虫について
クレマチスの増やし方は、株分け、取り木、接ぎ木、挿し木など様々な方法があります。株分けは2月の時期に行い、できるだけ根を傷めないようにします。接ぎ木も2月に行いますが、生育旺盛な台木を選ぶのがポイントです。ほかにも、「つる伏せ」という、
親株とつながったまま、節から根を出させて新しい株をつくる方法があります。昨年から今年にかけて伸びている蔓を地中に2節ほど埋めておくと、節から発根します。翌春にひっぱって抜けなければ根付いている証拠ですので、親株から切り離して育成します。
一番身近で簡単な方法といえば「さし木」です。4月から7月ごろの生育期がさし木の適期となっており、今年伸びた蔓を2節ずつに切って使用します。パーライトといった清潔な土を使い、挿しておきます。うまくいけば2、3週間で発根し、2か月もあれば鉢上げできるようになります。
クレマチスは、立枯病、白絹病、うどんこ病、葉枯病、さび病といった病気にかかることがあります。土に未熟な腐葉土などが混入して発生することがあり注意です。うどんこ病やさび病いった病気は、風通しの悪さが原因となることがあるので風通しをよくしてあげてください。
また病気にかかってしまったら、薬剤などを散布して適切に処理します。病気以外にも害虫も多く発生し、アオムシ、ナメクジ、アブラムシ、コガネムシ、ヨトウムシ、ハダニなどの被害がでることがあります。葉が食害されたり、すすけたりしてきたら害虫被害と思ってもよいです。病気や害虫の被害など、どちらも拡大しないように気づいたらすぐに対処してください。
クレマチス(四季咲き)の歴史
クレマチスは、キンポウゲ科センニンソウ属(クレマチス属)のこといい、このセンニンソウ属というのは野生種である原種が約300種類存在しています。原産は日本をはじめ中国、ヨーロッパ、ニュージーランド、アメリカなどに広く分布しています。
広い生息地のなかでも北半球に温帯に多く分布し、日本にもおよそ20種が自生しているようです。草や木として扱われるものや、落葉性と常緑性といった違いのものまで様々なサイクルを持った品種があります。蔓性多年草に分類され、修景用のつる植物として世界中で人気があり「蔓性植物の女王」と呼ばれています。
クレマチスは、蔓を伸ばす性質から名前の由来もギリシア語のクレマ(つる)に由来して付けられました。19世紀にシーボルトらによって日本のテッセンという品種と中国のラヌギノーサという品種がヨーロッパに持ち込まれ、ヨーロッパ種と掛け合わせて生まれたのが大輪のクレマチスです。
これらは現在の園芸品種の元とされており、19世紀中期に作出された四季咲き性のジャックマニーは今でもベストセラー的なものとして販売されています。日本での歴史も古く、昔から「テッセン」や「カザグルマ」などが栽培されていました。
また、ハンショウヅルやセンニンソウといったものも野生に自生していましたが、本格的な改良というのはヨーロッパ品種が大正時代に入ってきてからとなっています。日本で現在のような形になったのは第二次大戦以降とされており、その後に大和や江戸紫などの代表的な品種がたくさん作られました。
クレマチス(四季咲き)の特徴
クレマチスは、花が大きく観賞価値の高さが魅力の花です。原種であるテッサンは、6枚の乳白色の花弁をもち、雄しべが花弁化していています。花びらとされている部分というのは実は「ガク」の部分が色付いたものです。例外ないものでいえば、この花びらの枚数というのは、4枚、6枚、8枚と偶数のものが多いです。
花の色もたくさんあり、白、赤、ピンク、黄、青、茶、黒、複色など幅広い色合いを楽しむことができます。また、一重や八重咲など雰囲気の違ったものもあり、どれも蔓性という特徴を持っています。四季咲きのグループには、長期間にわたって花が次々と咲いたり、剪定すると繰り返し咲く特性があります。
四季咲きに代表されるのが、原種であるテッセンです。フロリダ系、上を向いて大きな花を咲かせるおなじみの大輪園芸品種、横や下向きに多くの花を咲かせるヴィチセラ系、チューリップ形やベル形のテキセンシス系やヴィオルナ系など咲き方や花の形といった違いのものがたくさんあります。
こういった品種の多さというのも魅力があり、選ぶ楽しさもいっぱいです。海外ではイングリッシュガーデンや修景用に利用されるなどしています。日本のガーデニングでも人気が高く、トレリスといった支柱を立てて気軽に鉢栽培を楽しむひとも多くいます。
系統によっては花が咲くサイクルが違ってくるので、一年中を通してクレマチスを楽しむことができます。一度植えれば毎年楽しむことができ、育て方も簡単です。お庭などに植えて、いろんな季節のクレマチスを楽しんでみてください。
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