ウラシマソウの育て方
ウラシマソウの育てる環境について
ウラシマソウは、年間を通して日陰を好みます。強い日差しはすぐに葉を傷めるので注意しましょう。主に海岸付近の松林や常緑樹の林床に多くみられる植物です。育て方は、芽出しのころは遮光30%前後の明るい日陰でゆったりしっかりした草姿に仕上げていきます。
花後は50~70%の遮光にして、緩く風が流れる日陰や棚下などで育てるのがよいでしょう。強い風は葉や茎を痛めてしまうので、避けましょう。比較的暖地に生える植物なので、冬は凍結しないように気をつけましょう。植え込みは、開花期か休眠期が適期です。
用土は水持ちがよく、重めのものがよいでしょう。鉢はあまり乾きやすい素焼鉢などは避け、塗り鉢など水保ちの良い物の方がおすすめです。早いものでは夏前のころから茎が倒れて休眠に入ります。その場合も棚下で涼しくゆっくり休眠させてあげる必要があります。
ウラシマソウは、自然条件下で秋に散布された種は、冬季の低温期経過後に地下に小球茎の身を形成し、地上部を形成しません。2年目以降に本葉が展開されるとてもスローペースは植物です。ウラシマソウの花言葉は、「不在の友を思う」、「注意を怠るな」、「懐古」、「回想」など浦島太郎を連想させるものばかりです。
別名「蛇草」とも呼ばれていますが、独特な赤いトウモロコシ状に並ぶ実が特徴的なウラシマソウには、毒があります。実だけでなく球茎や新芽などすべてにおいて毒を含んでいるので、間違えて食べないよう注意しましょう。
種付けや水やり、肥料について
鉢は特に選ばず、中深鉢以上の深さで、やや硬めのものが最適です。乾燥を嫌いますが、多湿状態もよくありません。素焼のものよりも塗り鉢の方が水保ちがよいのでおすすめです。水やりは、芽出しから開花、葉の固まるまでの間は毎日たっぷりと与えます。
花後は花茎の付け根に水をためないように注意し、乾きはじめたら水を与えます。夏場の極端な乾燥は球根の成長を妨げる要因になるので、葉のある間は用土に乾きを感じた水を与えます。また休眠中も乾きに注意し、常に用土が軽く湿っている状態を心がけましょう。
ウラシマソウは、年間を通して日陰で育つ植物です。寒さに弱いので冬は凍結しないようハウスなどに移動させ、暗い場所で春まで管理するのが最適です。鉢植えの場合、用土は赤玉土を主体にしたものを使用し、水やりの加減に合わせて鹿沼土などを混ぜ合わせるとよいでしょう。
また肥料は、植え込みの際にひとつまみ元肥を入れます。葉が展開してきたら鉢のふちに置き肥をし、芽出しから地上部のある間は、2週間に1回程度、液肥を規定倍率で与えると、効果的です。ウラシマソウは肥料が大好きなので、植え付け時に元肥には暖効性の有機肥料を与えます。
春には油かすなどの有機肥料をあげるのもよいでしょう。春から夏にかけて生育するので、この間にしっかりと肥培しておくことが大切なポイントです。また親球の寿命が短いので、数年おきに子球を分けて、後継株を育てておくことが重要です。
増やし方や害虫について
増やし方は、秋に休眠すると、親球の周りに小球が増えていきます。この小球は自然に分かれますが、発芽は2年後の春以降になります。実生も可能で、性転換する花のため、若い球の花は雄花で、大きくなると雌花に変化します。交配する場合には、雄花と雌花がないとなかなか果実はできません。
果実ができた場合、秋に赤く色づくのを待ち、果実が稔って茎が倒れたら果実をほぐします。1つの果実に3粒ほどの種が入っているので、その種を用土に蒔くと、2年目の春から発芽してきます。(1年目は種の状態で地中で球根に変化して過ごしています。)
開花までには4~5年かかるので、気長に辛抱強く待つ必要があります。熟す前の実は緑色で、花が終わった後に熟して赤くなりますが、間違っても口にしてはいけません。あまり見た目にも食欲をそそられる形状ではありませんが、その実を摘んだ手で何かを手づかみで食べた場合、
毒をとりこんでしまうこともあります。ウラシマソウの毒には、激しいおう吐や腹痛に襲われる症状がみられるので、幼児などが口にしないよう、特に注意が必要です。地下部に発生する害虫として、ネグサレセンチュウやコナカイガラムシ、コナアブラムシなどがあります。
また冬の間ネズミに食べられることもあるので注意が必要です。また地上部は、芽出しのころにナメクジやイモムシに食べられることがあり、ハウス栽培ではアブラムシやコナジラミ、ハダニなどにも注意が必要になります。
ウラシマソウの歴史
ウラシマソウ(浦島草)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草で、日本原産の植物です。苞の中に伸びた付属体の先端部が細く糸状に伸びていて、その姿が浦島太郎が釣り糸を垂れている姿に見えることから、この和名がついたとされています。
属名のArisaemaはギリシア語のaris(植物名の1つ)+haima(血)からきていて、血のような斑点が葉にある植物という意味合いになっています。球茎があり、多数の子球を付けて繁殖し、葉は1枚で偽茎は短く、葉身は多数の小葉を鳥足状につけます。
テンナンショウ属の植物は、性転換をすることが知られていますが、このウラシマソウも同様に性転換を行う植物です。比較的小型の個体では雄性となり、仏炎苞内部の肉穂花序に雄花群を形成し、大型の個体では雌性となり、肉穂花序には雌花群を形成する性質があります。
種子本来の若い個体や子球由来の小型の個体は雄性となって、より大型の個体が雌性へと転換する植物です。耐陰性が強く乾燥を嫌うので、明るい林からやや暗い林などに自生することが多くみられます。日照量が不足すると雄性固体ばかりになりやすく、
逆に適度な日照量条件下では、無性期、雄性期、雌性期のすべてがみられることがある、興味深い植物です。雄花から雌花への花粉の受粉はキノコバエの仲間による、虫媒によって行われています。
雄性の仏炎苞の開口部から侵入したキノコバエは花粉を身にまとい隙間から脱出することができますが、雌性の仏炎苞では脱出できる隙間がなく、受粉できても外に出ることができず死んでいしまいます。
ウラシマソウの特徴
ウラシマソウは本州、四国を中心に分布する球根植物です。生息地は海岸付近の林床や人里近い林で、多く見ることができます。地下にはサトイモに似た大きな球根があるのが特徴で、春になると芽を伸ばし、10枚前後の葉を傘のように広げ、黒褐色の苞を開きます。
苞(ほう)とは、植物用語の一つで、花や花序の基部にあって、つぼみを包んでいた葉のことを言います。本来の花は、付属体の下に付き、成長や栄養の状態によって、雄花から雌花に変化する性転換植物として知られています。花の特徴は、茎先に肉穂花序を出し、
花序は仏炎苞に覆われています。(仏炎苞はサトイモ科の肉穂花序に見られる花序を被う大型の苞のことです。仏像の背景にある炎形の飾りに似ていることからこの名がついたとされています。)仏炎苞は暗い紫色で、花序から付属体が細長いひも状に伸びあがり、途中から垂れ下がるのが特徴です。
また葉は、根際から生え、長い柄をのばして直立し、鳥足状に切れ込んでいて大きな傘のような形が特徴です。テンナンショウ属の植物は、サポニンを含む毒草で、噛むと強烈な刺激が舌に残るので、注意が必要です。
主な症状としては、口唇・口内のしびれ、腫れなどのほか、腎臓にシュウ酸カルシウムが沈着して腎機能障害を起こす場合もあります。また30分以内の短い潜伏期間の後に発症するのも特徴的で、幼児や認知障害のある人の近くには置かないなど、注意が必要な植物でもあります。
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