イワギボウシの育て方
イワギボウシの育てる環境について
イワギボウシは日本に自生する植物ですので、育て方は容易な部類です。日向から日陰まで栽培環境は広く、半日陰では水をやや多めにやるのがポイントになります。育てるための適切な環境は、真夏の直射日光を弱めることができれば、1日中日の当たるところでかまいません。
イワギボウシは半日陰~日向に適した植物ですので、強い日差しの下では葉焼けする恐れがあります。夏の時期で強い日光の当たる場所におく場合は黒い寒冷紗で遮光して管理します。気温が上昇するたびに水やりの頻度は増やすのが良いです。
真冬は凍ってもかまいませんが、根が浮き上がって乾燥することがないよう注意する必要があります。冬は、冬の寒さにあわせないと芽吹きが悪くなりきれいな新芽が出にくくなります。また、冬の寒い時期は水やりの頻度は控えめにします。よく風の通る、明るい日陰が最適です。
朝日が3時間ほど当たる場所ならばなおよいと思います。鉢植えの場合や斑入りの品種などは、30%ほど遮光するのが良いです。培養土はどのような用土でも栽培できますが、赤玉土、軽石砂、桐生砂、富士砂、などの火山性の砂を何種類か混合して使用するとよいです。
土は水はけの良い土を好みます。鉢植えの場合、芽が出て5月の間じゅう日なたに置くと、葉が締まり綺麗に育ちます。植木鉢は株の大きさに合わせて選び、材質は、プラ鉢でかまいません。素焼き鉢では乾きすぎるので、使わない方が無難かと思います。
種付けや水やり、肥料について
土には桐生砂、軽石、硬質鹿沼土のそれぞれの小粒を等しく混ぜ合わせたもので植えます。少し乾きすぎるようであれば、軽石の配分を減らすか、山ゴケかヤシ殻チップの細かいものを用土に混ぜます。庭植えの場合は植える場所に樹皮堆肥や腐葉土などを、すき込んでおくと後の生育がよくなります。
ギボウシは、日本原産の植物なので、特別な手入れをしなくても庭植えの場合は大きくなります。植えつけや植え替えは2月から3月に行うようにします。鉢植えの場合は毎年か1年おきに植え替えるのが良いと思います。庭植えの場合は3~4年に1回掘り上げて、株を整理し、植え直します。
比較的乾燥には強いですが、水が好きな植物ですので、普通の植物よりやや多めにやります。鉢の表面が乾いたら水をあげます。 表土が乾いたら十分に与えます。休眠期の11~3月は控えめにするのが良いです。 庭植えにした場合は、よほどの晴天が続かないかぎり不要です。
肥料は植え替えの時期にリン酸の多い緩効性肥料を、土に混ぜて与えます。3月から5月には油かすの親指ほどの大きさの固形油かすを与え、6月から10月はリン酸が多めの液体肥料を2000倍に薄めて施します。9から10月にはお礼肥を与えます。
あまり肥料を必要とする植物ではないので地植えの場合はお礼肥以外行う必要はないと思います。開花後の手入れとして開花した後はほぼ1日でしぼんでしまいますので、花が散った後は花茎の根元から切ります。
増やし方や害虫について
イワギボウシのふやし方は早春か秋に株分けでふやします。植え替えの際に、芽がついた根茎を一つの単位として切り分けます。タネまきでは秋に採取したタネを2月から3月にまきます。用土は親株のものと同じで問題ありません。
タネは1か月ほど、湿らせた清潔な川砂やバーミキュライトに混ぜて、冷蔵庫の野菜室に保管してからまくと発芽がそろいます。かかりやすい病害虫としては白絹病で、白絹病は土壌の菌が原因で発生する病気です。初期では薄いまだら模様が入ります。
やがて葉があぶった海苔のように縮れて、不規則にゆがみ、ときに腐った黒い斑点をともないます。地際に白い糸のようなものが発生して、そのうち株が枯れます。治癒不能なので、感染した株は廃棄します。害虫のネコブセンチュウは根にコブをつくり、株の成長を衰えさせ、ひどい場合は根茎も侵します。
放置すると被害が大きくなるので、植え替え時に被害根を切り捨てます。成長期や開花の時期にアブラムシが若い葉や花茎、蕾につくことがあります。アブラムシはウイルス病を媒介するので、対策としてオルトラン粒剤などを株元にまき早期に防除します。
他にもナメクジの被害があり、ナメクジはやわらかな若い葉や花弁を好んで食べ、不規則なかじり跡を残します。ナメクジの通った後は、白く光る筋があるため、ナメクジの被害と判別できます。対策は株元にナメクジ用忌避剤を散布します。しかし基本的には、環境がよければ病気は殆ど出ません。
イワギボウシの歴史
名の由来として、日本の昔の木造の付ける欄干や橋寺社などの手すりには飾りがあり、この欄干の先端にある飾りのことを擬宝珠と呼んでいます。この、擬宝珠に、ギボウシの蕾が似ていることから、擬宝珠から名前が変わっていき、ギボウシの名になりました。
宝珠とは頭部の尖った火焔形の玉をいいます。仏教の用語で宝珠とはどんな願いも叶える 不思議な珠のことです。つまり欄干の端に安全の意味が込められている名前です。イワギボウシは岩地に生えるギボウシを意味します。イワギボウシ以外にもギボウシの種類は他にもあり、
コバギボウシ、オオバギボウシ、ミズギボウシ、タチギボウシなどがあります。そのいずれも食用です。古くから、ウルイの別名で食用として親しまれていて、ウルイとは方言です。春先の若葉が丸くなり立つように生えますが、葉の色がうり類の皮に似ており、
その瓜菜の名前が変わって出来た名前なのではないかといわれています。また、ウルイの方が一般名のようになっていて、全国各地に広まって使われています。若葉や花柄や花、葉っぱを採取して、熱湯に茹でてさらして、揚げ物、あえもの、おひたしなどや、茹でたものを干し、食用として保存されていました。
学名はHosta longipesといい、属名はオーストリアの医師で植物学者でもあるN・T・ホスタの名前に由来します。種小名は「longus(長い)+pes(足)」から由来し、「長柄の」という意味を持ちます。
イワギボウシの特徴
ユリ科ギボウシ属の分類ですが、分類体系によってはリュウゼツラン科とされます。 イワギボウシの生息地は山地の湿った岩場などで、ときに樹木の幹や枝に育つ多年草です。根元にまとまってつく葉は、広い楕円の形をしていて長い柄があり、葉脈は根元からまとまって出ています 。
長い葉柄には紫黒色の細かな斑点があります。長い花茎を垂らした先端に花を咲かせます。原産地は日本の東北地方南部から四国や九州です。日本の各地域に特徴的な変種があり、イズイワギボウシが伊豆諸島、伊豆半島に、サイコクイワギボウシが九州と四国西部に、
ヒメイワギボウが近畿地方南部と四国東部に、オヒガンギボウシが西日本に広く分布しています。イワギボウシと同じような環境に栽培するものとしては、九州と四国南西部に細長い葉と白い花を咲かせるヒュウガギボウシ、四国と近畿地方南部に葉脈がざらついているスダレギボウシ、
葉の裏が白いウラジロヒュウガギボウシ、四国東部と近畿地方南部には根元から花茎が垂れ下がっているウナズキギボウシなどがあります。ほかにも葉柄が赤みがあり葉の裏が白いセトウチギボウシ、全体的に小さいウバタケギボウシ、大きな葉を1、2枚だけつけ葉の裏が真っ白なウラジロギボウシ、
四国の高山に見られるシコクギボウシがあります。開花期は8月~10月です。10月頃に果実が熟します。果実は熟すと褐色になります。特性や用途 としては落葉性でありカラーリーフ、耐寒性が強く盆栽向きと言えます。
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