フヨウの育て方
フヨウの育てる環境について
半耐寒性で、関東以西ならば庭植えで育てることが可能です。寒い土地では晩秋に地上部が枯れてしまう確率が高いですが、マルチング(ビニールや藁で覆う)で根を保護してあげれば、枯れて死んでしまうことはありません。春には枝を伸ばし、芽を分化させて育ちます。
花を綺麗に咲かせるためには、日当たりの良い場所に植えるのがポイントです。水はけが良く、適度に湿気がある土壌を選ぶようにします。夏の花ですが、乾燥を極端に嫌う性質があるので、保水力のある土が適しています。腐植質が豊富な保水力のある土壌に植えるようにします。
半耐寒性なので、冬に寒風が当たる場所は避けるようにします。特に関東以北で育てる場合には、間接的にでも風が吹き込まないような場所に植えるようにします。寒い土地で育てる場合には、防寒作業を行ってあげると育つ可能性が高くなります。
冬場に茎の上部が枯れてしまうようならば、表土から15〜20cmの高さまで切り戻して、マルチングを行うようにします。冬でも枯れない暖かい土地であれば毎年細い枝を切り詰めて全体の樹形を小さめに整えてあげると良いです。枝が伸びすぎると通気性が悪くなるので、
混み合っている枝は切り取り、日当たりと風通しを良くしてあげましょう。基本的には暖かい土地が生息地の花木なので、寒い土地では育て方に防寒の工夫が必要です。日当たりの良い場所、適度に湿気がある土壌、寒さがしのげる場所、に注意して育ててあげましょう。
フヨウの種付けや水やり、肥料について
植え付けは春の暖かくなってからの時期が適しています。3〜4月が適期です。植え付ける場所に堆肥をあらかじめ混ぜておき、有機土にしておくと育ちやすくなります。深く植えないようにうやや上高に植え付けます。苗木で育てる場合には、バランスが崩れないように支柱で支えてあげます。
乾燥に弱いので、湿り気があるけれども、水はけが良い土壌に植えるようにします。水が地表に溜まってしまわないくらいが最適です。庭植えであれば、根付いた後は水やりは必要ありません。鉢植えの場合は水が切れないように春〜秋にかけてはたっぷり目に水をあげるようにします。
土が乾いたときに与えれば良いです。フヨウは肥料をたっぷり吸う植物なので、肥料が少ないと肥料切れを起こす事もあります。肥料が切れると葉っぱの色が悪くなり、生育状態が悪くなります。堆肥を与える最適なタイミングは、冬に葉っぱを落とした時です。
この時期になったら株の根元に堆肥を施します。春先の活動を促す目的で使う寒肥を撒いてあげましょう。肥料が足りないようであれば、様子を見ながら追肥します。追肥は梅雨の時期と秋に行い、油かすかもしくは化成肥料を与えます。
花付きを良くするために、7〜9月頃に緩行性の化成肥料を与えると良いです。フヨウはたくさん栄養を吸うので、緩行性が適しています。基本量よりもやや少なめにして、1/3量を与えます。暖かい土地ならば12〜1月頃に寒肥を与えれば良いです。
フヨウの増やし方や害虫について
挿し木や種まきで増やす事が可能です。挿し木で増やす場合には、今年伸びた分の枝を冬の落葉後の11月頃に処理します。だいたい20cmくらいの長さに切り取ればOKです。切り取った枝を、湿らせておいた砂に埋めて保存して、4月の暖かくなってきた頃に枝の切り口を新しく切り直して挿し木にします。
密封挿しで処理するなら、真夏でも増やすことが出来ます。やり方は、用土を入れた深めの鉢を用意して、そこに枝を挿します。その上からビニール袋などをかぶせて密封状態にして、水分の余分な蒸発を防ぎます。こうすることで鉢の中の温度が高くなり、根が出やすくなります。
この場合は冬場と違い、枝の保存が不要なので枝を切ってさせばOKです。種で増やす場合には、秋に収穫したものを翌年5月頃になってから蒔きます。フヨウの種は周囲が硬いので、種の表面を少し擦るか、爪切りなどで傷をつけてあげると発芽率が高くなります。
かかりやすい病害虫には、ハマキムシやアブラムシがあります。病気には比較的強いですが、春〜秋にかけてハマキムシとアブラムシのどちらとも発生する可能性があります。ハマキムシがつくと葉っぱを食べられてしまい、さらに葉っぱを綴り合わせて内部に住み着いてしまいます。
アブラムシは茎について栄養を吸汁します。また、稀に幹に侵入するカミキリムシがつくことがあります。どの病害虫に対しても、見つけたらすぐに薬剤散布で駆除するようにしましょう。
フヨウの歴史
原産地は中国で、日本には室町時代に鑑賞の記録が残っています。そのことから、古くから栽培されていたのではないかと考えられています。現在では中国、台湾、沖縄、九州、四国に自生しています。フヨウの樹皮は昔は下駄の鼻緒、和紙の補強材、縄など生活に身近なものに加工されていました。
種の名前出るmutabilis(ムタビリス)は「変わりやすい」という意味を持っており、これはフヨウが時間の経過と共に花の色が変化する種があったことから名付けられたとされています。芙蓉はハスの美称でもあり、区別するためにフヨウのことを「木芙蓉」、ハスのことを「水芙蓉」と言い換えることもあります。
日本のフヨウがハスの花に似ていることから名付けられたという説もあります。ちなみに、富士山の別称は芙蓉峰、もしくは単に芙蓉と呼びます。フヨウの変種には、明け方の咲き始めが白で、時間の経過と共にピンクがかって、夕方しぼむ頃に濃いピンク色に変化する八重咲きのスイフヨウ(酔芙蓉)もあります。
酔芙蓉の由来は、花が徐々に赤くなるところから、色の変化を酔っ払う様に置き換えたものです。中国の後蜀(ごしょく)のコウショチュウという人物は、居城の成都に160kmもの長さに渡ってフヨウを植えさせ、数千人の美女たちとその美しさを愛でて楽しんだとも言われています。原産地の中国では観賞用として用いられ、さらに絵画や陶磁器、服、建物などに描かれることも多いです。
フヨウの特徴
大輪の花を咲かせるのが特徴で、夏を代表する花木です。日本の南部では野生化した種も見られますが、もともとは中国から伝わった花と考えられています。近種のムクゲと間違えやすいですが、フヨウは雌しべの先が上向きで曲がっており、ムクゲはまっすぐになっています。
園芸種は少なく、花の色にはピンク、白、などがあります。また、八重咲きや草本のアメリカフヨウと交配された品種もあります。花が咲くのは8〜10月で、草丈は2〜3mにもなります。寒さにはあまり強くはないですが、暑さには強いです。花は短命で、朝開いて夕方にはしぼんでしまいます。
ただし、8月の最盛期には次から次へと新しい花を咲かせてくれます。落葉性で開花期が長く、初心者でも栽培しやすい花です。葉は互生して、表面に白い短毛を有します。浅く3〜7つに裂ける花をつけて、ハイビスカス属と同じ様な形になります。
花弁は5枚で、回旋して椀状に広がるという面白い形をしています。果実はさく果をつけ、毛に覆われたたくさんの種子をつけます。寒い土地では冬は地上部が枯れてしまいますが、根が死なないように保護すれば春には新しい芽を増やしてくれます。
変種や類似種にはスイフヨウ、アメリカフヨウ、ハス、などがあります。基本的に暖かい土地が栽培に適しており、さらに夏の乾燥に弱いという性質があります。風通しの良い場所を選んでさえあげれば、日本の高温多湿の土地でも育てることが可能です。
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