ヒノキの仲間の育て方

ヒノキの仲間の育て方

ヒノキは原産として日本と台湾にのみ分布する樹木です。アメリカにおいては似ているものとしてアメリカヒノキがあり日本にも輸入され使用された時期がありましたが、これはヒノキ属とは別の種類となります。

ヒノキの仲間の育てる環境について

現在、日本におけるヒノキには原始の生息地はほとんど無く、多くの天然林は人の手によって行われたものです。日本においてヒノキが天然に分布している地域はかなり広く、北は福島から南は屋久島にまで及んでいます。標高的には200mから1,700mの範囲に収まっており、

特に1,000m前後の温暖帯の環境に良質のヒノキ林が形成されています。植林に関しては、その歴史も古く、11世紀頃にはすでに高野山にてヒノキが栽培された記録が残されています。実際に造林が広く行われ始めたのは藩政時代に入ってからのことであり、各藩、特に木曽地方や高知などで行われました。

ヒノキは成長が遅い樹種ですが、立地としては、スギなどの適地である谷の沢沿いとアカマツなどの適地である尾根筋の中間の地帯が適するとされています。ヒノキは植栽から行いますが、まず、育てる環境をつくります。それは「地拵え(じごしらえ)」と呼ばれるもので、

雑草などを取り除いたり伐採した木を片づけたりして整地を行います。この作業は植栽をする前の重要な工程の1つとなっており、次に「地あけ」と呼ばれる苗木を植える場所を作る作業を行います。その後に植栽が行われますが、ここではあまり暑く無い時期が良いとされており、

概ね、春や秋が多く、手作業にて一本づつ植えて行くことになります。ある程度、密集する環境を作るようにしますが、それは密集した方が早くまっすぐに伸びる理由からです。生育状態に合わせて下草刈りや枝打ち、間伐を行いますが、下草刈りにおいては、

苗木が大きくなるまでは毎年行うことが必要となります。枝打ちは密生することにより林の中が暗くなったりして育成への妨げになるのと同時に、害虫などの原因を取り除くために行います。そしてその後に間伐による保育作業を行い育つ環境を保持していくことになります。

種付けや水やり、肥料について

通常ヒノキは植林によって造林が行われますが、植林に至るまでの苗の育成はヒノキの種付けから始まります。注意しなければならないのは、種苗法に基づいての生産となるために、そこには講習を受けることが必要となります。ヒノキの苗の生産は畑での土作りから行われますが、

4月からは種まきが行われます。土作りは種まきの2週間前には完了しておく必要があり、そこでは肥料も用いられます。概ね、林業試験場などからの入手の種が用いられますが、約15㎝くらいまでに育てることになります。種まきの時には風などで飛ばされないように、

細かい土などをかけるようにし、その上から養生用のわらを敷き芽が出るのを待ちます。発芽までは約1ヵ月を要しますが、発芽後においてはわらなどの養生を取り除き、次に黒いビニールによる日覆いで直射日光から苗を守る処置をします。雑草に関してはかなり細かく取り除くことが必要となり、

この時期に除菌剤を施したり、また追肥を行います。9月から10月にかけての成長が大きく、1月中旬から2月中旬には苗の堀取りが行えるようになります。根の形状や全体の大きさにより選別を行いますが床替えと呼ばれる植替えの前には50本程度を1つとして畑に仮植えが行われます。

3月の中旬ころから移植を行うことになり、移植後には乾燥を防ぐために保水材を根の部分に付けながらの作業となります。出荷の前の作業には、他にも風に倒されないように根元に鎮圧を行うなどの作業が必要となり、出荷へと進んでいきます。

因みに苗には出荷基準があり、2年物の場合には5㎝、3年物の場合には6㎝と、その太さも決まっています。家庭においての育て方としては苗からがほとんどで、種からの生育を行うことは少ないですが、肥料に関しては一般の店舗でも簡単に入手できるものが使用されており、それは、元肥としての有機質肥料、鉢植えなどでは化学肥料が多く用いられています。

増やし方や害虫について

ヒノキの増やし方としてはその目的によっても違ってきます。例えば植林などを目的とした場合には大量の苗の購入により、地拵えから始まり、苗の管理となる下草刈り、また枝払いや間伐など大変な作業を行う必要があります。苗を作る事業を行っている場合には、

林業試験場や種苗専門店から種を買って育てる必要があり、こちらにおいても大規模な内容で、出荷するまでは大変な作業が必要となります。通常、一般家庭において増やす場合には苗を購入して増やしていくか、また、挿し木による増やし方が一般的といえます。

苗においては種苗店などの専門店で購入すればよく、挿し木に関しては通常の樹木においてものと大きな違いはありません。方法としては切り口の面積を出来るだけおきくしてくさびの形にすることが最初となります。穂先は水につけておき水を吸わせる必要があり、

例えば、切る場合においては水中にて行うことにより吸いやすい状態を作ることができます。用土に関しては赤玉土と鹿沼土を50%づつ配合したものを用い、葉の表面を上にして斜めに差します。水を十分にやり、絶やさないことが必要になりますが、特に直射日光には気を付ける必要があります。

発根材の使用も有効で、より効果的な使用方法の1つといえます。ヒノキの害虫に関しては大きく分けて、幹・枝を中心として害をあたえるもの、また、葉・新芽に関して害を与えるもの、根に関して害を与えるものとに分けることができます。その中でも一般的に知られているのがカミキリムシ系の被害です。

木部への侵入で食害をもたらすものがほとんどで、時に大規模な造林地などで甚大な被害を及ぼすことが知られています。防除方法としては被害木の伐倒焼却、または薬剤散布が使用されていますが、一般家庭など、小規模の場合には薬剤を幹に塗布したり、また、皮のそぎ落としによる産卵の防止などを上げることができます。

ヒノキの仲間の歴史

ヒノキは原産として日本と台湾にのみ分布する樹木です。アメリカにおいては似ているものとしてアメリカヒノキがあり日本にも輸入され使用された時期がありましたが、これはヒノキ属とは別の種類となります。ヒノキには古い歴史があり、それは、古代から伝わる文献にも登場しています。

文献においては53種類の樹種が登場していますが、その中でもヒノキは「日本書記」にも記載がなされており、そこでは「ヒノキは宮殿に、マキは棺に」という内容の文書があります。日本において古来、ヒノキは建築物において多用されてきた経緯があります。

それは現存する法隆寺などの社寺仏閣においても知ることができます。ヒノキの仲間は多く、古代においてコウヤマキなどが棺などで用いられており、また、「古事記」によるとクスノキを用いた舟が造られていたと記録されています。飛鳥時代からは木彫において多用されており、

奈良時代からはヒノキの心木が用いられ、その後、平安、鎌倉とヒノキが用いられるようになっていきました。仏教の伝来とともに寺院の建築が始まると、同時に都の造営も進められ、ヒノキは盛んに用いられるようになります。その中でも、法隆寺は多くの人にも知られた存在です。

鎌倉時代からは政治の中心が関東へと移りますが、その後の江戸時代まで城閣などに代表される大規模な建築物はヒノキが使われています。現在においては歴史建造物の改修時に用いられる大断面や長尺の部材が入手しにくく、そのような部材の多くは台湾からの入手に頼るようになっています。

ヒノキの仲間の特徴

ヒノキの仲間の特徴は、まず、耐久性に優れている点があります。その中でもヒノキは、古代の建築物に限らず現在においても住宅の構造材や造作材として使われており、その耐久性にのみならず見た目の美しさから高価な材料の1つともなっています。

耐久性の大きな理由としては吸湿性にあります。多くの木材を使用する場合には一番の問題として「狂い」に関することを上げることができますが、それは、木材が水分の吸湿を行うことにより伸縮をすることから起こります。

ヒノキにはこの伸縮が非常に小さい特徴があり、それは狂いが生じにくいということを意味します。木材は古くなると収縮が無くなると思われがちですが、もともとセルロースによって成り立っている構造のために長い期間が経っても水分の給排出は無くなりません。

そこではその率が木材の性質を表わしています。ヒノキはもともと伸縮率の低い材種ですが、新材でも6%、千年以上経っている法隆寺でも4%と、非常に安定した性質を持っています。次の理由としては材種の強度を上げることができます。

木材の場合には経年劣化とともに、その強度は徐々に低下をしていきますが、ヒノキには強度の低下率が低い性質があります。試験結果によると圧縮や曲げ、また硬度において200年くらいまでは最大で30%近く増大し、その後、徐々に低下に移り、1000年程度で新材と同じ強度になるというデータが出ています。

現在においては、ヒノキは健康に関しても注目を浴びており、それはアルファピネンやボルネオールによる人間への精神的な効果やヒノキシオールに見られる抗菌効果などがあり、日常生活の上でも特徴のある材料として用いられています。

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