タンチョウソウの育て方
タンチョウソウの育てる環境について
タンチョウソウを栽培する時には高温になってしまう真夏以外は日当たりの良い場所に置いてあげるようにします。新芽が出てくる時期に日陰に置いてあると茎だけが異常に伸びてしまってバランスが悪くなってしまいますし。花付きもあまり良いとはいえません。
真夏の7月から9月くらいまでは日当たりが良い場所では葉がやけどしてしまうことがあるので朝日が出る頃には日にあたり、それ以外は明るい日陰になっているような場所が適しています。庭植えにする場合は土を盛ってあるような場所もしくはロックガーデンになっている岩陰に植えてあげると元気に育っていきます。
小粒の軽石を2、小粒で硬質な鹿沼土と小粒の赤玉土をそれぞれ4の割合で混ぜ合わせたものがベストです。用土は先に水でよく洗ってみじんを完全に抜いておき、赤玉土はふるいでしっかりふるっておくのがポイントです。盆栽にしたい場合は小鉢を使うことがほとんどですし、
小粒の赤玉土のみで植えてしまっても大丈夫です。植え付けや植え替えの時期は12月頃から2月頃にかけてが良いです。植え替えが毎年休眠中に行なうのが基本です。根鉢を3分の2削ってから植え替えするのがポイントです。
盆栽で育てる場合も植え替えをしてあげる必要はありますが、こちらは2、3年に1度程度で大丈夫です。植え替えする時には芽が伸びてきてもまだ余裕があるだけのスペースを確保しておくということが大切なことになりますので覚えておきましょう。
種付けや水やり、肥料について
水やりは庭植えの場合は基本的には与えなくてよいのですが、もし夕方に様子を見て少し元気がなさそうであればたっぷりと水を与えるようにするのが良いです。庭植えをしていると雨などが降って自然と水分を得ることができるからです。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。
夏の間は葉水をしてあげるようにします。しかし休眠期は水やりの量は控えめにしておくほうが良いです。それは休眠期はその名の通り生育しない時期なので、多めの水を与えてしまうと根腐れを起こす可能性があるからです。肥料は2月の終わり頃から5月頃まで、
8月の終わり頃から10月いっぱいくらいまで施します。2月頃からのはチッ素が少しだけ多めの液体肥料を1500倍に薄めて月に2、3回施すようにします。秋頃までの肥料はリン酸が多く、チッ素を含まない液体肥料を1500倍に薄めて月に2、3回施します。
これ以外には休眠中に肥料を与える必要はありません。また盆栽の場合は肥料を特に与えなくても大丈夫です。もしくは夏の終わりから10月頃にかけての追肥だけでOKです。種付けは開花後に花茎をカットせずにそのままにしておくことで可能です。
放っておくとたくさんの種ができてしまいますから、必要ない分は開花後に花茎を付け根部分からカットしておくのが良いでしょう。冬になると室内に入れる必要はありませんが、根が凍ってしまうのは良くありませんので、根が凍らない程度の場所に移動させてあげましょう。
増やし方や害虫について
病気はほとんど心配ありませんが、害虫として葉や茎の汁を吸うアブラムシや葉などを食害してしまうヨトウムシが心配なところです。アブラムシはあっという間に増えてしまいますので見つけ次第すぐに退治してしまいましょう。薬剤で退治することもできますが、
それまでのしのぎとして指先でスッとなぞるようにするだけでアブラムシはとれますので下に落とさないようにして取り除いてしまうといいです。ヨトウムシは葉の裏側に卵を産みつけ、孵化するとたくさんの幼虫がその葉を食害します。
そしてある程度まで大きくなると幼虫達はバラバラに行動し、日中は土の中などに隠れていて夜になってから出てきて食事をするというサイクルで成長していきます。退治するのであれば、このまだ孵化して間もない頃がベストです。この頃であれば一網打尽にすることができるからです。
バラバラになってしまうと見つけるのも一苦労しますので退治は早めにしましょう。増やし方は種まきでも可能ですが、育て方が短縮できるのは株分けなのでこの方法で増やしながら種まきも挑戦するというのが良いのではないでしょうか。株分けは休眠期に行います。
大きくなり過ぎているような株を3分割程度に分けてから植えるのですが、この時に根茎がとてもかたいので、よく切れるハサミを利用して株分けをするのが良いです。あまりに小さい株を株分けしてしまうと成長するまでにも時間がかかりますし、株自体が弱ってしまうこともあるので大きくなったものを株分けすることを基本として考えておきましょう。
タンチョウソウの歴史
タンチョウソウは別名で岩八手といいます。中国東部から朝鮮半島が原産地です。生息地は低山から山地で、川岸の岩の上や川沿いの岩壁などです。タンチョウソウという名がつけられたのは蕾の先端が丹頂ツルのように赤く染まることや雄しべの先端が丹頂ツルのように赤いこと、
ヤツデのように手を広げた葉の形と長い花茎の先に白い花を咲かせる姿が丹頂ツルに似ているからだといわれています。学名はAceriphyllum rossiiといいますが、rossiiというのは植物の採集家であるロッシ氏からとられています。
そしてAceriphyllumはギリシャ語であるカエデという意味があるAcerと葉という意味があるphyllumがあわせられた造語です。これは葉の形がカエデに似ているからだといわれています。またMukdenia rossiiというふうにもなっており、このMukdeniaというのは原産地の一つである中国の奉天が由来となっています。
葉と花の両方を観賞できることからロックガーデンに植えられることも少なくありません。盆栽として販売されていることもあります。しかし庭植えにして群生させているとこれがまた風情があり、とても美しいのです。日本に渡来したのは観賞用植物としてで、
明治時代の初期頃だったといわれています。朝鮮半島北西部に自生しているものにヒトツバタンチョウソウという品種がありますが、こちらはタンチョウソウに似てはいるものの、葉に切れ込みがありませんし、しゃもじのような形をしているのが特徴で少し違います。
タンチョウソウの特徴
タンチョウソウはユキノシタ科イワヤツデ属の多年草です。耐暑性も耐寒性もありますので、初心者でも比較的育てやすいです。地面にはっている根茎から春になると7つに裂けたような葉を数枚広げ、花は葉が完全に開ききる前に咲くことが多いです。
花茎はまっすぐに伸びますが上のほうで枝分かれをして花をつけるのが特徴です。開花時期は2月から3月頃で、直径5ミリほどの小さい花をたくさんつけます。花色は白く、樹高はわずか10cmから20cm程度なので世話もしやすいです。
タンチョウソウは蕾の頂点部分が赤くなりますので。葉の色とのバランスが良く、美しいです。園芸品種がいくつもあり、葉が赤く染まる赤葉や黄金色をしていたり白掃き斑模様になっている斑入りタイプなどもあります。ですから花だけではなく、葉自体にも観賞価値があります。
しかし秋には葉自体も枯れてしまい、休眠期に入りますので間違ってもう枯れてしまって花が咲かないと捨ててしまわないように気をつけましょう。市販で販売されているものはどちらかといえばイワヤツデの名になっていることが多いです。山野草扱いにされています。
タンチョウソウ石化というタイプのものは葉が厚く小型でやや縮みがあります。盆栽用にされることが多いのは小葉タイプで、このタイプの葉はタンチョウソウの標準サイズの葉より半分ほど小さいのです。斑タイプはよく枯れやすいといわれていますが、タンチョウソウの場合は斑タイプでも比較的育てやすいです。
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