ノウゼンカズラの育て方

ノウゼンカズラの育て方

ノウゼンカズラの歴史は古く、中国の中・南部が原産の生息地です。日本に入ってきたのは平安時代で、この頃には薬用植物として使われていました。平安時代の書物である本草和名には、和名として乃宇世宇(のうせう)が当てられています。

ノウゼンカズラの育てる環境について

強いつる性の植物なので、基本的にはつるが這う場所と日当たりの良い場所さえあてがえば問題なく育ちます。寧ろ生命力が強すぎるくらいなので、他の樹木に絡みついて栄養を吸い取り、枯らしてしまうこともあります。反耐寒性の植物なので寒さは苦手ですが、

東北地方など寒い場所でも咲かせている家もあります。ちなみに、関東以南では庭植えで越冬が可能です。つるを這わせる場所は庭のフェンスなどが多いですが、コンクリートの壁でも大丈夫なこともあります。公園などでは棚などにつるを這わせているものもありますが、

藤棚のようにしてしまうと花がうまく咲きません。落葉性の植物なので、冬は葉を落として越冬します。春になると葉を茂らせて、夏の期間には長い間花を咲かせ続けてくれます。寒さに気をつけて、日当たりの良い場所を選ぶようにします。関東以南の暖地では庭植えでもOKです。

日当たりがよければ良いほどよく育つので、日当たり重視で場所を選びます。鉢植えで栽培する場合には、根が収まりきるような大き目の鉢を用意する必要があります。樹形も大きくなるので、小さすぎる場合には植え替えが必要です。

土の質は特別こだわらなくても大丈夫ですが、なるべく水はけの良い場所を選ぶようにします。特に粘土質の土は水はけが悪いので、避けましょう。つるが伸びてくると東や南の明るい方向に向かって伸びていくので、植える前に伸びる方向も考えてあげると育てやすいです。

種付けや水やり、肥料について

種付けは3月上旬〜4月中旬に行うようにします。 植えるための穴に掘り上げた土の1/3程度の腐葉土やたい肥を混ぜ合わせます。肥料は庭植え、鉢植えのどちらの場合も、寒肥を2月、緩効性化成肥料や油かすを4〜5月に与えると良いです。水やりは植え付けからしばらくの間はしっかり与えるようにします。

土が乾いたときにあげれば良い程度で、つるがしっかりしてきたら水やりの必要はありません。鉢植えの場合には土の表面が乾いたときに与えます。つるが這いのぼるための頑丈な支柱、樹木、棚、フェンス、などの近くに植えてあげるようにします。

つるが東や南に向かって伸びるので、伸びても大丈夫な方向を考えて植え付け作業を行います。ちなみに、鉢植えで育てる場合には、ノウゼンカズラの小型の品種でないと鉢が小さすぎてうまく育ちません。オランジュ・タカラヅカなどが小型品種として出回っているので、

鉢植えの場合にはそれを植え付けに使います。庭植えの方が向いている植物ですが、鉢植えする場合には赤玉土:腐葉土=3:1の混合土を使います。この混合土の割合だと水はけがよく、また水持ちもよくなります。つるがしっかりしてくれば、水やりもほとんど必要なく、

日光があればどんどん育っていきます。寒い時期と日当たりの悪い場所、つるが這えないような場所にさえ植えなければ、比較的栽培には成功しやすいでしょう。つるが伸びすぎた場合には幹の途中から剪定するようにします。

増やし方や害虫について

病気は特にありませんが、稀に新芽の段階でアブラムシが付くことがあります。比較的病気や害虫の被害の心配がない植物なので、育て方に苦労しないことが多いです。増やし方は挿し木で簡単に増やすことが出来ます。6月中旬〜7月の梅雨の時期に葉っぱが、

2〜3枚程度ついている気根がついている枝を切り取ります。その枝を挿すだけで簡単に発根させることが可能です。剪定に適しているのは2月中旬〜3月終わりにかけてなので、つるが伸びている場合にはこの時期につるの長さを揃えておくようにします。

樹勢が強すぎる場合には、成長を阻害させないために落葉期の2月に全て前年の枝を切り落としてしまいます。幹だけにしておくと、その後の発育がよくなるからです。つるがしっかり絡みついて固定化されていないと、冬の間に枯れてしまうので注意が必要です。

特に東北地方は生息地の臨界点なので、冬場のつるの様子には気をつけるようにします。花が終わるのは9月頃ですが、新梢はそのままにしておかない方が良いです。そのままにしておくと樹の姿勢が乱れて、樹勢が衰えてしまう可能性があるからです。

ノウゼンカズラは観賞用の植物として庭木や公園、庭園などに使われていますが、それ以外にも花や樹皮を漢方薬として使うことも出来ます。漢方薬では利尿作用を与えてくれる植物として使われます。切り取る場所さえ間違わなければ挿し木で簡単に増やせるので、初心者でも増やしやすいでしょう。

ノウゼンカズラの歴史

ノウゼンカズラの歴史は古く、中国の中・南部が原産の生息地です。日本に入ってきたのは平安時代で、この頃には薬用植物として使われていました。平安時代の書物である本草和名には、和名として乃宇世宇(のうせう)が当てられています。もともとは漢名で凌霄と呼ばれていました。

「凌」は凌ぐ、「霄」は空、を表す言葉で、つるが木に巻きつき、それが天空を凌ぐほど高くまで伸びるのでこの名が付けられたと言われています。仙女が宴席で酒に酔って、頭を傾けた拍子に簪(かんざし)を落としてしまったという逸話もあり、その簪が化けて凌霄花として咲いているという話もあります。

元は凌霄(りょうしょう)という音読みが平安時代に入って「のうせい」に変化して、さらに訛って「のうぜん」という言葉が出来上がっていったと言われています。さらに江戸時代には「ノウゼンカズラ」の花名がついたと言われています。

ちなみに、カズラというのはつるを表す言葉です。中国原産の凌霄花(ノウゼンカズラ)の他に、花がもっと小さくて花筒が長い北米原産のアメリカノウゼンカズラもあります。これを交配させた園芸種も登場しています。園芸種は元のオレンジ色のようなものだけではなく、

ピンク色などの色もあります。石川県金沢市の玉泉園には、豊臣秀吉が朝鮮出兵のときに持ち帰ったと言われている樹齢約400年のノウゼンカズラの古木があります。ノウゼンカズラは古来から庭園に植える木として使われています。

ノウゼンカズラの特徴

ノウゼンカズラは暑い時期に咲くつる性の植物で、明るいオレンジ色の花を咲かせます。蛍光色のようなオレンジ色が特徴で、南国のような華やかさを感じさせてくれます。枝や幹から気根(地上部から空気中に出る根っこ)を伸ばし、それが壁やフェンス、他の樹木に絡みついて自立します。

つるはどんどん上に伸びていきます。主な開花時期は夏で、垂れ下がった枝にはたくさんのラッパ状の花をつけます。一つの花の寿命は短いですが、新しい花が次々に出てくるので、開花時期には絶え間ない花の姿を見ることが出来ます。

めしべの先端が二又に開いていますが、触れると閉じるという性質があります。晴天の時期には花びらが徐々に散り落ちますが、曇りが続くと蕾のまま花が落ちることもあります。つるだけが発達してしまう場合も、同様に蕾ごと花が落ちることがあります。

また、湿度が高いときにも同じようなことが起こります。ノウゼンカズラは基本的に夏の花なので、日光の多いところでとてもよく育ちます。逆に日当たりが悪いと栄養が足りず、花が綺麗に咲かないこともあります。枝先に円錐花序(えんすいかじょ)を萌出させて、

直径6〜7cmほどの大き目の花を咲かせます。房が垂れて、花冠が広く漏斗状になります。花が落ちた後には蜜が垂れて、周りが湿らせます。この蜜を目当てにメジロなどの鳥類や蜂が集まってきます。この蜜に毒性があると言われたこともありますが、根拠はないようです。

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