ナンテンの育て方
ナンテンの育てる環境について
ナンテンは日当たりの良い場所でも、日陰でも良く育ちます。美しく白い花を咲かせたい場合や、しっかりと赤い実をつけさせたい場合には、半日陰のように明るい場所が良いでしょう。日当たりが良すぎると、土が乾燥しやすく、葉が枯れてしまうことがありますので注意が必要です。
特に真夏の西日が直接当たる場所は、注意が必要ですが、それ以外であれば比較的容易に栽培できます。耐寒性も備わっていますので、霜が発生したり積雪があったとしても、枯れることがありません。耐暑性は決して強いとは言えませんが、真夏の直射日光が当たらない場所であれば、
問題なく栽培することが可能です。ナンテンが縁起の良い木とされて、厄除けや魔除けとして鬼門に植えられるなど、多くの家庭でも親しまれていますが、これは育てやすくて大きく広がりにくいという特徴も大きく影響しています。鬼門と呼称されている方位は北東であり、
一般的に日当たりが悪かったり、水はけに難があったりするなど、決して良い環境とは言い切れない場合が多いです。しかしナンテンを植えることによって、地中の水分が根から吸収されて、地中の水分量が適切に調整されやすくなり、過剰な湿度が発生するのを抑制する効果が生まれます。
ナンテンそのものにも抗菌作用があるため、病害虫の被害にもあいにくく、日当たりの悪い場所であっても病気になりにくく、植えた場所の衛生維持にも効果的です。茎が増えると、うっそうとしてきますから、風通しを改善させるためにも適切に剪定しましょう。
ナンテンの種付けや水やり、肥料について
ナンテンは自然の雨水だけでも充分に育つのが特徴であり、初心者でも栽培しやすいポイントになっています。西日が当たる場所は乾燥しやすいので、土の表面が乾燥してきたら水やりを行いましょう。水やりは頻繁に行わなくても良いのですが、土そのものを排水性と保水性の両方を高くすることで、
自然の雨水だけでも充分に水分を確保できるようになります。肥料に関しては、実に大きく影響してきますので、どのように実らせたいかを自分なりに考慮して対応すると良いでしょう。代表的な肥料としては、油粕、鶏糞、化成肥料が挙げられます。
油粕と鶏糞は冬の間に施肥しておきましょう。日本では2月ころが最適です。化成肥料は初夏の花が終わってからの秋に与えると効果的です。いずれも肥料は株元に施肥します。ただし肥料を与えすぎると、冬の赤い実の状態が悪くなってしまうことがあります。
これは窒素分過多による影響で、実つきを悪くしまう原因になります。九月の長雨の時期に、過剰な湿度と日照不足がナンテンに影響して、冬の実つきが悪くなることもありますが、風通しを良くすることで改善できます。赤い実を採取して保管しておけば、春蒔きにして発芽させて育てることが可能です。
赤い実のまま地面に蒔いておくと、自然に発芽してきます。実は鳥の好物になっていますので、庭で鳥がついぱんで、そのまま種子が庭土の表面に落ちて、春に発芽して増えていくこともあります。鳥はナンテンの実を好みますが、虫が付きにくいのが嬉しいポイントです。
ナンテンの増やし方や害虫について
ナンテンを簡単に増やしたいときは、冬の間に剪定して、そのまま直接、土に挿し木すると良いでしょう。園芸用の挿し木のための用土を特別に準備しなくても、そのまま庭土を利用できるのが特徴です。発根しやすいのですが、水に挿して発根させようとすると、
水分過多で枯れてしまうことがあります。土への挿し木のほうが成功します。抗菌性が備わっていますので病気になりにくく、害虫が寄り付きにくいのも特徴です。ハーブのような害虫に対する忌避効果の高い香りを発するわけではないのですが、薬用成分の効果が発揮されます。
カイガラムシが発生すると、すす病の原因になります。カイガラムシの排泄物が原因で、すす病になります。葉が黒くなっていたり、何か綿状のものがベッタリと付着しているのを見かけたら、枝ごと除去しておくのがベストです。益虫である蜘蛛が巣を作ることがあります。
蜘蛛そのものは害虫を捕食してくれますので益虫なのですが、蜘蛛の巣の糸に害虫が付着し、捕食された後の残骸が巣に付着したままの状態になってしまうことがあります。蜘蛛の巣が発生することで、虫が寄ってきてしまうという要素も出てきますので、
古くなった蜘蛛の巣は、枝や割り箸などで除去しておくほうが良いでしょう。ナンテンは地面から茎が増えて、複数の幹へと成長しますから、長くなって先端にだけ葉がある状態のものから剪定し、剪定したものを短く切って挿し木にするというのも良い増やし方です。
短い丈のナンテンは、どんどん伸びていきますので、長くなってしまった茎から切って短くするのがベストです。短くしてから鉢やプランターに挿し木をすれば、こじんまりとした姿で栽培することも容易です。
ナンテンの歴史
ナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木です。原産は日本、中国、東南アジアです。中国から日本へ古くに渡来し、西日本を中心に広まったとも言われています。西日本地方の九州と四国には生息地が多く存在しており、特に山口県では、川上のユズおよびナンテン自生地として、
天然記念物に指定されています。漢名の南天燭を省略して呼称したものが、和名の南天の由来です。ナンテンという言葉が、難を転ずるという意味にも解釈できることから、縁起の良い庭木として古くより親しまれてきました。厄除けの木としても親しまれ、
鬼門と呼称されている北東に植えられることも多いです。ナンテンの果実は漢方にも利用されています。ナンテンの果実は南天実と呼称されています。咳を鎮める効果が得られてということから咳止めとして活用されてきました。中世のヨーロッパにも紹介され、広まりました。
日本では江戸時代に品種改良が盛んに行われ、当時すでに百種類以上の品種が栽培されていました。ナンテンの葉は南天葉と呼称される生薬としても活用され、解熱効果が得られることで知られています。食品の防腐効果にも効果的で、食用としてではなく、弁当に入れて食中毒予防として活用されてきました。
園芸用としても親しまれ、育て方が容易であることから、現在でも大変人気があります。日本には自生している生息地が豊富なことからも、育ちやすい環境であることも分かります。野生種のように太く生育したナンテンは建築資材としても活用されており、古くは金閣寺や柴又帝釈天などの床柱にも使用されています。
ナンテンの特徴
ナンテンは茎が直立して育つとともに、先端上部にのみ葉が集中的に育つ特徴があります。茎が長く太く育つと、丈夫な樹木になっていきますが、先端上部の葉が生い茂り、輪のように大きく広がっていきます。葉の広がる形状は、羽状複葉とも呼称されています。
これは葉が互生していて、数回にわたって分岐し、針形に細く尖りながら育っていくからです。初夏には白い花が咲き、秋から冬にかけて赤い実がつきます。実は白いこともあります。地面から低い位置で葉を伸ばし、花を咲かせ、赤い実をつけますので庭木としても栽培しやすいのが特徴です。
年数の経過と共に茎が太くなり、樹木の幹のようになります。すると葉が上のほうにだけ存在することになり、花も実も上のほうにつくため、下のほうが空間になってしまいます。このため、ある程度の高さまで成長したら剪定して、丈を切り詰めておくと良いでしょう。
しっかりと根が繁殖していますので、根元から剪定しても、再び新芽が生まれて伸び始めます。基本的に上へと伸びて育つのが特徴ですから、横方向には広がらず、限られた敷地での栽培に最適です。庭木の多くが枝が伸びると横にも広がっていき大きく成長していきますが、
ナンテンは横に広がらず、上へ上へと伸びていくだけであり、切り詰めや切り戻しが容易です。葉は常緑性です。生垣にも利用できますし、鉢やプランターで栽培することも可能です。古くから盆栽としても親しまれてきました。
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