サンギナリア・カナデンシスの育て方
育てる環境について
サンギナリア・カナデンシスの芽が出始め、開花する時期は、大体3月上旬から4月末、春先の気温が安定した陽射しが柔らかく暖かい時期です。その間は日光が充分に当たる日向を選んで栽培することを心掛けると良いでしょう。春植物の為、寒さには強いのですが、
暑気への耐性が低い為、開花を終えた後は、午前中は日向に鉢を置いて陽射しを浴びせ、午後は明るい日陰になる半日陰の場所、鉢の移動をしない場合は、1日中明るい日陰にる場所に置いて、直射日光を避けて栽培します。常に日光が当たり続ける環境下での栽培は、
早期に葉を枯らす原因になってしまいますので、鉢を置く場所、移動する時間帯等には気を配ってください。秋口には休眠に入り、地上部の葉が枯れてきますが、6月~9月上旬の陽射しと暑さが強くなる時期に、約50~60%の遮光を施した環境に置くという育て方をすることで、葉が比較的長持ちします。
また、寒さには非常に強い花ですが、あくまでも春先の植物なので、積雪が多く寒風が厳しい地域での栽培には注意が必要となります。野外での栽培をする際には、場所選びや時間を考えた方が良いでしょう。
室内で栽培する場合は、室温調整や窓の開け閉め、鉢を置く位置等に気を配って栽培してください。国内北部、南部の寒さ、暑さが厳しい地域で栽培をされる方は、サンギナリア・カナデンシスの原産地である北米東部の環境、気温等を参考にして温度調整等や位置選びを行うと良いかもしれません。
種付けや水やり、肥料について
鉢植えに種付けした後、水やりは表面の土が乾いたことを確認してから行ってください。その際には充分な量の水を補給します。夏は乾燥しやすいので、別にもう一つ鉢を用意し、その中にサンギナリア・カナデンシスを植えた鉢を入れ、所謂二重鉢にして、極端な乾燥を防ぎましょう。
肥料についてですが、まず植え替えをする際に元肥(植え替えや種付けの事前に与える肥料)として暖効性化肥料を五号鉢の場合、一摘み与えてください。暖効性肥料は、与えた瞬間から肥料の効果があらわれ、一度に溶けない為、ある程度の期間中、その効果が持続する肥料の総称です。
リン酸、カリウム、チッ素の三要素の効果が平均的にあらわれる肥料もありますが、サンギナリア・カナデンシスに与えるものは、リン酸とカリウムが多く含まれたものを選ぶようにしてください。3月~8月にかけては月に2~3回程度、液体肥料を1500~2000倍に薄めて与えるようにします。
肥料は必ず水やりをする前に施しましょう。また、病気になりにくい植物ですが、状態を観察した上で与える様にしてください。病気に掛かっている場合は、逆効果になることがあります。液体肥料は時期により、異なる成分のものを与えてください。
3月から4月はチッ素が主要成分のものを、5月以降はカリウムとリン酸が主成分のものを用います。3月から5月下旬辺りまでは先述の稀釈で構いませんが、6月以降から真夏に掛けては、3000倍程度に薄めて使用すると良いでしょう。
増やし方や害虫について
増やしたい場合(株分け)は、植替えの際に一番太い地下茎を切り分けます。その際にはあまり小さくなり過ぎないように、1株に5から6芽程度つけた状態で分けるようにしましょう。また、植え替えに関してですが、毎年、または一年おきに行うのが望ましく、
8月上旬から10月半ばまでに済ませるのがベストです。その時期は根が動き始める前の段階で、動き始めると支障が出ることがあります。その際の一番の注意点としてあげられるのは、地下茎を傷つけないようにすることです。枝分かれした細かい茎も傷つけない方が勿論良いのですが、
一番太いゴボウ状の全体の芯となっている部分は絶対に傷をつけないように注意してください。他に気になることといえば、害虫や病気についてですが、サンギナリア・カナデンシスは非常に強い花で、病気には滅多なことではなりません。害虫もつきにくく、非常に育てやすい植物といえるでしょう。
ただ、根を傷つけてしまうと病気になる可能性はありますので、植替えの際には必ず優しく扱ってください。他の予防策としては、水はけをよくして過剰な湿気を避けること、日当たりや風通しなど、サンギナリア・カナデンシスに適した環境を確保することなどがあげられます。
虫の害にも強い植物ですが、アブラムシがつく可能性はあります。蕾や新芽につく虫なので、開花する前の3月上旬から4月辺りには注意が必要です。虫除けにはハーブが効果的なので、対策としては市販のハーブ入りスプレーなどで霧吹きをするのが良いでしょう。
サンギナリア・カナデンシスの歴史
サンギナリア・カナデンシスとはケシ科サンギナリア属の多年草の植物です。カナデンシスという名の由来はカナダで発見されたことから来るもので、カナダの平地や低山など、高度の低い地形が主な生息地で、小河川の土手など、水場に近い森林や低木林の斜面などに生えます。
和名は「八重咲きカナダケシ」と言い、地下茎を傷つけると血の色に似た樹液を出す為、「血の茎」、「ブラッドルート」、「血根草」という別名でも呼ばれます。また、サンギナリア・カナデンシスはホメオパシーの効果があると考えられています。
ホメオパシー療法(同種療法)とは、特定の症状を起こす物を用いることは、その症状を除去する事にもなるという臨床医寮観で、200年前にドイツの医師である、サミュエル・ハーマン氏によって確立され、ヨーロッパの王室でも古くから愛用されていました。
現在はホメオパシー療法に基づいたサプリメントなどにも盛んに使用されています。サプリメントは、ホルモンバランスを整えるもの、風邪やインフルエンザの初期症状に効果的なもの、呼吸器の調子を整えたり、筋肉や神経の痛みに効くものなど、様々な効能を持つものが販売されています。
この様なサプリは日本国内でも販売されていますが、主に普及しているのはアメリカで、輸入品も多々あります。根茎の部分が喘息、リウマチ、皮膚がんにも効くと言われており、医療関係以外では、名前の由来である根茎部分の赤い樹液が食品の着香や衣類の着色などにも用いられています。
サンギナリア・カナデンシスの特徴
一つの芽から一枚の葉が生え、丸を5~7裂したユニークな形をしています。やや厚みがあり、柔らかくしっとりとした水気を含んだ触感で濃緑色をしており、葉の裏は白粉を帯びています。丸い頭を薄緑の葉で覆った柏餅の様な形でつぼみを出し、陽射しが暖かくなった3~4月頃に開花し、純白の花を咲かせます。
花の大きさは直径5センチ前後、一本の花茎に一輪の花が咲き、夜間や冷え込む日には花弁は閉じます。「血根草」と呼ばれる様に地下茎は太く赤みがかっていて、枝分かれをしながら増えていきます。そこから更に葉が展開し、最終的な草丈は花丈も含み、15~20センチ前後です。
早春に目を出し花を咲かせ、葉を増やして株を充実させた後に初夏に地上部が枯れ始め、秋には休眠し、冬に落葉するという春植物の性質を持っており、寒さには非常に強い反面、暑さにはやや弱い傾向があります。休眠期はやや長めです。
日照りにもあまり強くない為、育てる際には、半日陰の場所を選ぶのが無難です。日陰での栽培でも花付きは良いです。日本の寒冷地では宿根草(耐寒性多年草)として扱うことが出来ますが、殆どの地域では高山植物扱いをして栽培する事をお薦めします。
和名が「八重咲きカナダケシ」である様に、八重咲きの花ですが、一重咲きの品種も存在します。栽培に関しては難易度という観点から見れば、害虫や病気が少なく丈夫な鉢花なので、ガーデニング初心者に相応しいと言えるでしょう。
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