ハナショウブの育て方
ハナショウブの育てる環境について
ハナショウブは元々自生していただけあって非常に強く、それほど育て方は難しくありません。害虫などもつきにくいので、管理も比較的容易です。植える場所は出来るだけ日当たりの良い明るい場所がいいでしょう。
よく水辺に咲いているので勘違いしがちですが、ハナショウブは水生植物ではありませんので、株が常に水に触れるような育て方はよくありません。同じ場所にずっと育成することが難しいので、数年おきには必ず植え替えをしてあげるようにしましょう。
どこに植えるかにもよりますが、自宅の庭先に植えて楽しみたい場合は江戸系の品種をお勧めします。前述の通り、江戸系は庭に植えて楽しむように改良されたものですので、群生させたいときにもこちらがお勧めです。
鉢植えなどにしてコンパクトに楽しみたい場合には肥後系や伊勢系が優雅な花を咲かせるので、一本だけ飾りたい時などには見応えがあります。土はそれほどこだわる必要はありません。ホームセンターや園芸店に販売してある草花用の用土を使えば簡単です。
庭に植える際もよく耕してあげれば特に問題なく使用できます。ただし、弱酸性を好む傾向がありますので、石灰などのアルカリ性のものを土に加えることは控えた方が良いでしょう。乾燥対策に腐葉土やピートモスを足してあげるのも効果的です。
鉢植えで楽しむ場合は鉢の底に受け皿を敷いてあげるとよいでしょう。庭先に複数の品種を植える際には、品種によって高さが変わってきますので、株の大きさを考えながら植えつけることがポイントです。
ハナショウブの種付けや水やり、肥料について
種をまいたら、3年ほどで開花します。ポットなどに植え付けると管理がしやすく、水やりも簡単です。肥料が入っていない新しい用土を利用するようにしましょう。ポットに植えた苗であれば春〜初夏、秋ごろに植え替え、株分け苗であれば開花直後に植え替えするのがお勧めです。
品種ごとの特徴にあわせて、バランスを考えながら植え付けてあげます。植え付けをした直後は株と用土をなじませるためにたっぷりと水を与えます。苗が根付くまで乾燥は厳禁です。また植え替えした後は根付くまでは肥料は与えないようにします。
しっかりと根付いた後に追肥するようにしましょう。油粕や化学肥料などで大丈夫です。基本的に肥料は花が終わった秋ごろに与えます。そうすることによって、翌年また美しく丈夫な花を楽しむことが出来ます。
葉が黄色っぽいものは栄養分が足りないので多めに肥料を与えるようにしましょう。蕾〜開花頃は特に乾燥に注意します。水分が足りないとせっかくの花弁が弱ってしまいますので、たっぷりと水を与えるようにしましょう。
花や茎は折れやすいので、移動させたりする際には慎重に行うようにします。2番花まで咲きますので、1番花が弱ってきたら摘み取っておくとよいでしょう。開花直後が一番株分けに最適な時期になります。
もしも株分けでハナショウブを育てていきたいとお考えの方は出来るだけ早い時期に行うことが重要です。そうすることによって、夏の暑い時期でも乗りきれる丈夫な株に仕上がります。
ハナショウブの増やし方や害虫について
ハナショウブはきちんとした手順と管理によって比較的容易に増やすことが出来ます。タイミングが大事になってきますので、どのような形で増やすかによって時期を見極めることが重要です。鉢植えの場合はできるだけ毎年株分けをするようにしましょう。
その都度、新しい用土を使用するのがお勧めです。地植えの場合でも少なくとも2〜3年に一度は株分けをするようにしましょう。株分けの元になる株を丁寧に掘り出し、株の中心から刃物を使って株分けをします。1つにつき2〜3株に切り分けた後、
長い葉は3分の1程度に切り詰めておきます。どの株にもきちんと根がついているように分けるのがポイントです。また、その際に花茎も落としておきましょう。花茎からは新しい花が咲きません。分けた株は浅めに植えつけます。
庭先などに地植えをしている際、連作障害を防ぐためにも、前回植わっていた場所から少しずらした位置に植えてあげることが重要です。植えつけた後はたっぷりと水を与えて乾燥に気をつけながら管理するようにします。
もしもドンドン増やしたい場合には花が咲いたら早めに花茎だけ株から切って花瓶などで鑑賞し、残りの株で株分けをするのがお勧めです。ハナショウブは害虫がつきにくい植物ではありますが、時折、ヨトウムシやアヤメキバガが発生することがあります。
芽の芯に入って茎を食い荒らしてしまいますので、発生しやすい5月〜6月頃には注意しましょう。見つけたらすぐに捕殺するようにしましょう。8月頃にはコガネムシの幼虫も発生することがあります。これらはオルトランなどを撒いておくことによって予防ができます。
ハナショウブの歴史
ハナショウブとは6月の梅雨の時期に花を咲かせる花弁の美しいアヤメ科の多年草です。
原産は日本や中国などのアジア圏になります。水辺にスラリと咲くその姿は非常に美しく、見るものの目を楽しませてくれます。
その歴史は古く、一節によると万葉集にも載っている「花かつみ」という花がハナショウブの原種ではないかと言われています。ハナショウブの鑑賞はおよそ800年ほど前から始まっていたそうです。元々自生して田畑の周りに咲いていたものですが、
その美しさから次第に田畑から家の庭先に植えられ、自宅で鑑賞されるようになってきました。ハナショウブが栽培されるようになったのは江戸時代になってからだと言われています。尾張藩主の徳川光友がこの花を植えて愛でていました。
その後、松平菖翁によって全国から様々な珍しいハナショウブが集められ、屋敷の庭に植えられました。色んなハナショウブを交配させたことによって、更に品種改良が進み、ますます多くの種類が生まれたと言われています。
現在、実に豊富な種類の花を咲かせるハナショウブが楽しめるは、このような先人たちの努力のお陰だと言えるでしょう。交配された名花は更に全国に送られ、生息地を増やし、それぞれの地によって品種改良が進められました。
改良された地域によって、江戸系、伊勢系、肥後系の3つに区分されます。ハナショウブは非常に美しく、観賞用としても人気があったため、様々な絵画や浮世絵などに残されています。歌川広重による「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」など、有名なものにもハナショウブは描かれています。
ハナショウブの特徴
ハナショウブの特徴は何と言っても種類の多さではないでしょうか。現在約5000種類にものぼると言われています。花弁の数や、色、形も実に様々です。鮮やかな色を持つものもあれば、斑入りのもの、筋入りのものもあり、見る者の目を飽きさせません。
大きく分けると江戸系、伊勢系、肥後系に分けられます。江戸系は品種数が最も多く、茎が丈夫で花びらの間に隙間があるのが特徴です。群生させて楽しむために栽培されたので、病気や日光にも強い系統です。
また、繁殖させやすいため、人気があります。伊勢系は江戸後期から伊勢地方にて栽培、改良された品種です。花弁が垂れ気味で、ふんわりとした柔らかな印象を持った系統です。鉢植え用として改良されているため、
葉と花のまとまりが美しいという特徴があります。肥後系は江戸後期に肥後に送られて品種改良されたもので、基本的に鉢植えに向いた品種です。茎は短めですが、花弁の数も多く、ボリュームのある花を咲かせます。
それら以外にも長井古種(長井系)といわれる一群もあります。これらはそもそもハナショウブの原種だと言われています。江戸時代に鑑賞として楽しまれるようになる以前からある品種で、現在34種が確認されています。
茎がスラリとしていて、花は比較的コンパクトでスッキリとした印象があります。さらに、主にアメリカに輸出された外国系の品種もあります。日本とはまた異なる気候のもとで品種改良されており、日本種にはない鮮やかな色のものなどがあります。
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