カラタチバナの育て方
カラタチバナの育て方
カラタチバナは庭植えの他、鉢植えで栽培することが可能な植物です。赤い実以外にも、白っぽいクリーム色の果実をつける白実カラタチバナ、薄い黄色の果実をつける黄実カラタチバナがあります。それぞれ育て方に大きな違いはありませんが、丈夫に育てるためにはいくつかおさえておきたいポイントがあります。
カラタチバナは樹高が高くならず、コンパクトに育てることが可能なところが魅力の一つでもあります。自生地では日光があまりあたらない樹木のかげになった地面に映えていることが多いため、直射日光が当たらず冬に北風をまともに受けない場所で栽培しましょう。
鉢植えで栽培する場合は、風通しがよく直射日光があたらない場所で管理します。寒冷地で斑入りの品種を育てる場合は冬場は軒下や室内に移動させて管理した方が無難です。用土は赤玉土小粒、鹿沼土、腐葉土を配合して、水はけがよく水もちのよい用土を使用して栽培しましょう。
植えつけに適した季節は10月から11月頃か、2月下旬頃から3月にかけてです。適度な日当たりと水はけと水もちのよい用土を用意したら、根鉢の大きさの2倍の幅と深さのある穴を掘り、深植えにならないように注意して植えつけます。用土を使って、地表と高さをそろえて植えつけましょう。
根鉢のまわりにたっぷりと水を注いでから、箸や棒などでつついて土と根をなじませます。水やりは、庭植えの場合は不要ですが、真夏などの極端に乾燥する場合は朝か夕方に水やりをします。鉢植えで栽培している場合は、春と秋の生育期には土の表面が乾いたら鉢底から水があふれ出るくらいたっぷりと与えます。
冬場は水やりの頻度を控えめにします。鉢植えで極端に乾燥した状態が続くと枯れてしまいますが、水の与えすぎも根のとってよくないためメリハリをつけて水やりをするといいでしょう。肥料はとくに与えなくても問題なく育ちますが、株を大きく充実させたい場合には5月頃と9月下旬頃に緩効性化成肥料や油かすを与えます。
栽培中に注意したいこと
鉢植えでカラタチバナを栽培しているときに注意したいことに根詰まりがあります。植え替えを行わないで育てていると、根詰まりを起こして健康的な生育に支障をきたします。カラタチバナは成長がやや遅い特徴があるため、頻繁な植え替えは必要ありませんが、
それでも3年に一回程度は様子を見て植え替えを行いましょう。鉢からとりだし、根鉢を点検して弱って茶色くなった根や伸びすぎている根は切って整理してからひとまわり大きな鉢に植えかえます。植え替えに適した季節は植えつけのときと同様に、
10月から11月頃、あるいは2月下旬頃から3月にかけて行いましょう。カラタチバナは枝分かれが少なく、萌芽力が弱い上に成長速度が遅いため剪定は不要です。とくにかかりやすい病気はありませんが、空気が乾燥している季節に葉の裏にハダニが発生することがありますが、
鉢植えで栽培している場合は霧吹きをかけて葉水を与えることで予防できます。ハダニは吸汁性害虫で、主な発生時期は3月から10月にかけてです。ほとんどの草花や庭木で発生する害虫で、庭木の場合は枯れるまでいかなくても葉色を悪くしたり、
生育に影響を及ぼし美観を損ねることにつながります。水に弱い特性をもっているため、定期的に散水することで充分に防ぐことが可能です。もしハダニが発生してしまった場合には殺虫剤を使用して早めに駆除しましょう。
カラタチバナの増やし方
カラタチバナの生産現場では主に接ぎ木を行って増やしますが、家庭では台木を確保することが難しいため種付けをして増やします。接ぎ木とは、土台になる台木を用意して切断面で接着する手法のことで、台木は近縁の種類の方が定着しやすいという特徴があります。
台木の方から新たな芽が出て、接着した増やした方の植物がいつのまにかなくなってしまうという失敗がおきやすいため、注意が必要です。台木となる植物を準備する必要があることを考えても、挿し木に比べて家庭では取り組みずらい増やし方であるといえます。
カラタチバナの実が充分に熟したら、11月頃に果実を採取して果肉を水で洗って中の種を取り出しましょう。果肉は完全に取り除き、種だけの状態にします。種を乾かしてしまうと発芽率が激減してしまうため、注意が必要です。
種を採取してすぐに、平鉢などに入れ充分に湿らせた種まき用の用土や赤玉土細粒などにまきます。戸外の明るい日陰で乾かさないように管理すれば翌年の春から夏頃に発芽します。発芽したカラタチバナは充分な大きさになったら鉢上げします。
そのまま盆栽用に仕立てたり、いくつかの鉢で栽培すればお正月の飾りとして利用できる価値があるところが魅力的です。適度な日光は健康的な姿に育てるために必要ですが、もともと自生している場所が山林などの地面であることを考えると少々日当たりが悪くても成長できると考えられます。
日本の一般的な家屋で育てることに向いているといえる植物です。園芸種では親と違った性質を持つ株ができることがあります。カラタチバナを増やすときの楽しみの一つとしてみてはいかがでしょう。
カラタチバナの歴史
カラタチバナの原産地は日本、台湾、中国です。日本では本州、四国、九州、沖縄などを主な生息地としています。日本では江戸時代から栽培され、センリョウ、マンリョウなどと同様にお正月の縁起物として扱われてきました。
センリョウはセンリョウ科の常緑低木、マンリョウはヤブコウジ科の常緑低木です。カラタチバナは、お金にまつわる縁起物の木です。別名を百両(ヒャクリョウ)といい、センリョウやマンリョウとは果実の大きさや付き方に違いがあります。
金額が大きいほど、たくさんの赤い実をつけることが知られています。赤い実だけでなく白い実や黄色い実がなる品種もあります。江戸時代の寛政年間には葉にまだら模様が入った品種の栽培が流行し百両単位で取引されたといわれていますが、この流行は一時的なもので江戸時代後期になって再び再燃したものの、現代では大きな流行は見られません。
金銭にまつわる名を持つ植物をそろえることで「常にお金に困らないように」と、いう願いを込めた人々もいました。その他にもヤブコウジは十両、アリドオシは一両といった別名を持ち、センリョウやマンリョウと共にお金にまつわる木として知られています。
カラタチバナの特徴
カラタチバナは常緑性小低木に分類されます。カラタチバナはマンリョウによく似た姿をしていますが、樹高はマンリョウよりも低く葉や果実はマンリョウよりもやや大きいことが特徴です。葉は細長く、濃い緑色をしています。草丈は0.2メートルから0.5メートルほどで、
7月頃に1センチメートルに満たない小さな白い花を咲かせます。秋から冬にかけて果実をつけます。枝分かれが少ないという特徴があり、鉢植えで育てるとすっきりとしたシンプルな樹形をしています。成長がやや遅いため、盆栽仕立てにして観賞用植物として楽しむことができます。
自生しているもの以外は鉢植えで栽培されることも多い植物です。斑が入った葉を持つ変わり種の品種はやや寒さに弱い傾向があるため、鉢植えで栽培されることが多いです。カラタチバナは日本人にとって身近な縁起物の植物です。
お正月が近づくと、迎春用の寄せ植えの中に赤い実をつけたカラタチバナを見かけることがあるかもしれません。もともと日本の山野を原産地としている植物のため、育てることはそれほど難しくありません。アリドオシやセンリョウといった他のお金にまつわる植物とともに育ててみてはいかがでしょう。
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