ツバキの育て方
ツバキの種付け、植え替えについて
ツバキの植え付けをおこなうのに適しているシーズンは、3月中旬頃から4月中旬頃だとされています。水はけがよく直射日光があたらない半日陰のような場所が育てやすいです。寒さや暑さにとても弱いというわけではありませんので、日本の気候にあった植物で栽培しやすいとされています。
ポット苗で購入をされた場合には購入したポットの1号から2号程度アップした大きさの鉢へ植え替えることがおすすめです。ただし、あまりにも大き過ぎる鉢へ植え替えしてしまうと弱ってしまう可能性がありますので育て方に注意が必要です。
植え替えをおこなった直後は環境に慣れていないため、慣らすために1週間ほど日陰に移動しておくとよいでしょう。庭へ植え替えをおこなう場合は、根鉢よりも2倍ほどの穴を掘って土壌を改良しポットから苗を取り出して植え替えしていきます。
根鉢が崩れてしまわないように気を付けながら掘った穴の中央へ置くようにしてください。土を掘り起こした穴には、完熟堆肥や腐葉土などを使って土壌改良しておくとよいです。庭へ受け変えた際に苗がぐらついたり倒れてしまわないようにかぶせた土をしっかりと抑えておくようにしましょう。
植え替えをおこなったばかりの状態は苗が風などで倒れてしまう可能性がありますので、支柱を添える工夫やビニールバンドなどを利用したりなどして固定しておくこともおすすめされています。
水やりと肥料について
鉢への植え替えをおこなった場合でも庭への植え替えをおこなった場合でも、2年くらいはたっぷりと水やりをしてあげることが大切です。土の表面が乾いてきたなと感じたら溢れるくらいに水をあげ、夏の暑いシーズンや雨があまり降らない日が続くような場合には土が乾いてしまわないように特に注意をする必要があります。
水やりをおこなうタイミングとしては、日中など日差しの強い時間帯よりも早朝や夕方のような涼しい時間帯がおすすめです。開花のシーズンに入ると株は花弁を広げようとするために多くの水を必要としますので、たっぷりとあげるようにしてあげてください。
鉢植えの場合には花が終わった春頃と6月頃の年に2回ほど化成肥料などをあげますが、それぞれ別の箇所にあげることがポイントです。庭植えの場合は2月頃に有機質肥料を株元周辺に埋めておくようにしましょう。
害虫対策について
ツバキを育てる場合はチャドクガと呼ばれている毛虫が5月6月頃と8月9月頃に発生することがあります。チャドクガの幼虫は葉を食害してしまいますので葉裏に付いている場合は卵塊のうちに取り除いておくようにしてください。
卵からかえってしまった場合は食害がひどくなりますので殺虫剤などを散布して駆除しましょう。この毛虫は皮膚などに触れると痒みが生じますので手袋などを使用して皮膚を露出しないように注意が必要です。毛虫の毛は1本でも身体に付いてしまうと発疹が広がってしまうことがあります。
生きていない抜け殻や死骸だったとしても、直接手で触れてしまわないようにしてください。その他にもカイガラムシと呼ばれている種類は樹液を吸ったり、すす病の原因となってしまいますので発見したら取り除きましょう。すす病というのは、
葉が黒いカビで被われてしまったような状態になることです。見た目にも美しくなく成長に欠かせない光合成を妨げしまいますのでチェックしていきましょう。新芽などに発生しやすいアブラムシなども専用の殺虫剤スプレーなどを利用して対処してください。
花腐菌核病と呼ばれている病気は、花弁の部分に茶褐色の斑紋があらわれるのですが、雨天が続くような場合にはその被害が広がってしまうことがありますので、水やりをする場合にも花弁部分に直接かけないようにするよう意識してみるとよいでしょう。
ふやし方や剪定について
さし木をする場合には、6月下旬頃から8月頃に春から伸びた新枝をさしますが、切った後はおよそ1時間程度水揚げしておきます。市場で販売されているような成長調整剤などを利用して切り口にまぶしておくこともおすすめです。
さし木をおこなったら直射日光があたってしまわないように注意してください。密閉さしとも呼ばれていますが、空気を通すことができる穴をあけたビニールを使って覆うことで湿度を保ちます。剪定は3月頃から4月頃におこないます。
ツバキの開花は、1月2月頃が早春咲きで3月4月頃が春咲き、5月ころは遅咲きと言われています。開花していない状態や開花中の株がある場合には、花が咲き終わってからおこなっても大丈夫です。ただし夏に花芽をつくり始めるヤブツバキなどは、
蕾を切り落としてしまうことになってしまいますので早い時期におこなうことがおすすめされています。樹形を維持するのが目的の剪定は、株全体の枝を短く切り戻す作業です。花芽が膨らみ始める9月頃になると残しておきたい花芽をチェックして、不要な枝を切り戻すこともあります。
ツバキの歴史
ツバキ属は科の1属で、生息地は日本や中華人民共和国、東南アジアからヒマラヤにかけてです。日本原産の花で日本国内においては江戸時代頃から多くの品種が作り出され庭木として利用されていました。ヤブツバキと呼ばれている原種は、
南沙諸島から青森県の夏泊半島にまで分布し西日本には広く分布し東日本では温暖な地域に生息しています。ユキツバキはヤブツバキと比較すると枝がしなやかです。ワビスケと呼ばれている品種は中国産種が由来だと考えられています。
他のツバキの花と比べるとはなの色が紫がかっているという特徴を持っています。18世紀頃にイギリスに渡った品種が改良されて新品種が生み出されました。アメリカ合衆国でも戦後に広まり花が大きめで華やかななものが大人気となりました。
ツバキはサザンカと大変似ているのですが、見分け方として花弁の落ち方や花糸、花の開き方などが挙げられます。ツバキは花弁が丸ごと落ち花糸が下半分くらいくっついた状態になっていますが、サザンカの場合は花びらが個々に散っていき、
花糸はくっつかないという特徴があります。花の開き方ですがサザンカの場合はほとんど完全に平開くため見分けるポイントの一つとなります。その他の見分け方としてサザンカの子房には毛が生えていること、葉柄にも毛が生えているという特徴があります。
ツバキの特徴
ヤブツバキとも呼ばれている常緑高木は、高さが5メートルから15メートルほどにまで成長します。葉は楕円形をしているのですが、長さは5センチメートルから12センチメートルほどで表面は光沢感があります。花脈ははっきりと見ることはできません。
花糸が白くて下部は筒状、花弁は厚みがあります。果実は小さめの黒褐色で種皮は硬くて薄いです。ユキツバキは主に太平洋側に分布しているヤブツバキが東北地方や北陸地方の日本海側の多雪地帯に適応したものだと考えられています。
ユキツバキの幹は1メートルから2メートルほどまで成長します。花弁はヤブツバキほど厚みがなく、薄くて先端に切り込みがあるという特徴を持っています。葉脈は鮮明で葉の形は楕円形で先端が尖っている特徴があります。果実の外皮は薄く、種子は大きめです。
樹皮はなめらかで灰白色をして枝はよく分かれます。日本で栽培されることが多いツバキの花は、赤っぽいものや赤紫色をしているものが一般的となっています。日本を代表する美しい花としてとても人気がありますので、育ててみたいという方も多いです。
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