セイヨウニンジンボクの育て方
セイヨウニンジンボクの育て方を知ろう
植えつけるのは日当たりが良い場所が適しています。どうしても日当たりが良い場所が見つからなければ、半日陰でも育てることは可能です。ただし寒さはマイナス5度以下になるのはあまり良くないので、それ以下になる寒冷地では地植えはしないほうがいいです。
植え付けは2月から3月頃に行い、土は水はけが良く、乾燥しにくいものであればそれほど選びません。水やりは地植えをしている場合は根付いてしまえば特に水やりをする必要はありません。ただ夏の高温期は朝か夕方に水やりをしたほうがいいでしょう。
鉢植えは土の表面が乾いてから与えるようにします。ただし過湿は避けるのがポイントです。肥料は2月か3月頃に寒肥として粒状肥料を適量与えるようにします。短期間でかなり大きく育ちますから植える場所の横幅はできれば3mほどあるほうが良いでしょう。
一度根付いてしまうと植え替えをするのが大変なので、植える場所は慎重に考えたほうがいいです。地植えで植え付けする時は根鉢の表面を3分の1程くずしてから根鉢の大きさの2倍から3倍の深さ、そして直径の穴を掘ります。植え戻す土量の3分の1程の腐葉土と油かすや緩効性の化成肥料などを元肥として準備してから混合し、セイヨウニンジンボクを植えつけます。
セイヨウニンジンボクを栽培する上でコツとは
セイヨウニンジンボクは病気にも害虫にも強く、ほとんどかかることがありません。自然樹形のままでも美しくまとまりますので、剪定もあまり必要とはしません。しかしたまに枝が伸び過ぎてしまうことがありますのでそれは切り落として剪定をするとすれば落葉期である2月か3月です。
大きくなり過ぎてしまった時は切り戻しをしてしまうのも良いでしょう。伸びてきた枝の中で太いもの2、3本を残してあとは付け根からカットしてしまいます。するとそこからワキ芽が出てきて新しい枝が伸び始めます。
切り戻しをあまり望んでいない場合も植え付けから5年ほどたって時には1度切り戻しをしたほうがいいです。切り戻しの期間は5年に1度だと考えておけば問題ないでしょう。鉢植えに植えて育てる場合は成長がそれほど早くはなりません。
ですから生長の具合によって鉢の大きさを変えるようにして植え替えし、最終的な大きさは10号鉢くらいにするのが良いでしょう。剪定する場合も短い枝だけを残して樹形を整えるようにするのがいいです。
種付けして増やすことはできる?
セイヨウニンジンボクは開花後にできる果実から種を採取して種をまくか、挿し木をして増やすことができます。種を採取する時には開花後にできた実を採取しておき、1か月ほど乾燥させておきます。その後、しごくようにして種を採取します。
かなりの数が採取できますので、必要な分以外は実ができる前に花茎をカットするなどして処分しておくほうが良いです。こぼれ種などができて勝手に増えてしまうことが考えられるからです。実は医療効果もありますが、
専門的な知識がない状態で使うのはあまり良くありませんから医師にたずねてみるなどして確認してみるといいです。また挿し木はその年に伸びた枝の場合は9月、前年に伸びた枝を使う場合は3月に2節か3節ほどでカットしておきます。
そして節の下1cmほどの場所で斜めに切って、葉も2分の1から3分の1ほどの大きさにカットしておきます。1時間ほど水揚げをしたら切り口の部分に植物成長調整剤などをぬって小粒の赤玉土や挿し木用の用土に挿しておきます。
それを日陰に置いて乾かないように管理すること2、3か月で発根します。花色は薄い紫色が多いですが、白色や青色もあります。セイヨウニンジンボクの実はチェストベリーと呼ばれています。
チェストツリーという別名もあるセイヨウニンジンボクはサプリメントとしてもよく使われています。ドイツでは生理がこないなどの月経周期異常や黄体機能不全、乳房痛や下腹部の痛み、頭痛、イライラなどのPMS、ニキビの治療薬として認可されています。
チェストツリーという名前では錠剤、カプセル、チンキ剤、ハーブティーにも利用されています。チェストツリーが女性ホルモンに似た作用があるというのは、この植物に含まれている脂肪酸、フラボノイド、アルカロイドといった成分があります。
これらの成分にはホルモンを整え、サポートする効果があります。ただし即効性はなく、続けることが大事です。多くの検証を重ねた結果、セイヨウニンジンボクの効果を体感するには最低でも2か月ほどの期間服用し続ける必要があることがわかっています。
イソフラボンも女性ホルモンに効果的だといわれていますが、これはエストロゲンの分泌を調整するのが役目です。これで効果が出なかった場合は黄体ホルモンに何か原因があることが考えられますので、イソフラボンで効果が出なかった方にはセイヨウニンジンボクがオススメです。
セイヨウニンジンボクの歴史
ビテックスという名前がつけられたのはSalixつまり柳のようにしなやかであることからつけられ、アグヌス・カストゥスはギリシャ語で貞潔を意味します。古代ギリシャ人は性的欲求を静める効果がある植物としてセイヨウニンジンボクのことを考えており、実際に修行僧の間で服用されていたこともありました。
また薬効には定評があり、紀元前450年頃にはヒポクラテスが脾臓の炎症や肥大の治療に使い、西暦50年頃にはディオスコルディスが子宮の炎症に効果的だということを述べていました。そして1200年頃になるとペルシャで精神病や狂気、癲癇などを治すハーブとして利用されていたという記録もあります。
現在もエジプトではセイヨウニンジンボクの果実をヒステリーに対する特効薬として販売されています。20世紀になってからは科学的研究によって女性ホルモン様作用があることが実証されています。さらに乳汁分泌促進作用も期待できることがわかっています。日本に渡来したのは明治時代中期の頃だったといわれています。
セイヨウニンジンボクの特徴
樹高は2mから8mほどで、葉には光沢があって細長いです。葉は5枚から7枚ほどがまとまって手のひらサイズの1枚の葉になっているのが特徴です。開花は7月から9月頃で、少し紫がかっている青色の小花を咲かせます。鉢花としても利用されていますが、その理由には木がまだ小さいうちから花をたくさんつけることがあります。
以前がクマツヅラ科でしたが、現在ではシソ科になっています。開花後には果実がなりますが、コショウに似た香りがするため香辛料として利用されていたこともありました。枝や葉にも独特の香りがし、ハーブとして考えられる場合もあります。
中国が原産のものにニンジンボクがあり、それと近縁でヨーロッパ原産のため、セイヨウニンジンボクと呼ばれています。葉が朝鮮人参のものに似ていることからニンジンとつけられ、さらに木なのでボクと加えられました。
ちなみに朝鮮人参はウコギ科で多年草であり、セイヨウニンジンボクとはまた違う種です。属名であるビテックスはラテン語で結ぶという意味があるビエオからきています。耐寒性も耐暑性も強いのがとても良い点です。日当たりと水はけが良く、寒風があたらない場所であれば特に手間をかけなくとも育ちます。
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