ハシカンボクの育て方
育てる環境について
もしもハシカンボクを育てるとなるとまずは育てる環境を考慮する必要があります。まず地植えするのか鉢植えにするのか悩むところかもしれません。亜熱帯の植物であるため暑さには強い一方、寒さにはあまり強くありません。関東以南であれば霜さえ注意しておけば、地植えでも十分に越冬できます。
もしも、冬に霜が降りる地域は、気候に合わせてシートを被せられるように準備を整えておくといいです。でも、関東以北となると外で育てても寒さのせいで越冬できる可能性は低くなります。そのため、関東以南では地植え・鉢植えどちらも大丈夫で、関東以北となると鉢植えで育て環境に合わせて移動させると良いです。
鉢植えならば関東以北でも冬に室内に入れておけば、十分に越冬は可能となるわけです。そして、冒頭で述べたように低地や山地などの沢沿いといった日陰が多く湿気のある場所を自生地としています。だから、地植え・鉢植え関係なくなるべく半日陰の場所で育てるのが良いとされています。
先ほど暑さには強いと述べましたが、日差しにはそれほど強くないため、なるべく直射日光は避けるようにしてください。また湿気を好む性質があるため、風当たりの良い場所よりも悪い場所のほうが適しています。日当たり・風当たりを考慮すると、一般的な家庭であったならば、路地裏や塀のすぐ横などが良いかもしれません。その環境選びさえ的確にやっていれば、ハシカンボクは比較的育て方が簡単な植物です。
種付けや水やり、肥料について
水やりと肥料に関しては、とにかく水と肥沃な土が好む植物と言えます。まず水やりは、生長期にあたる春から秋にかけてしっかりとあげる必要があります。平年どおりの降雨量であれば、まず間違いなく水が足りません。とにかく乾燥を嫌う植物であるため、雨がなければ水を与えるように心がけることが大切です。水を与えすぎると根腐れしてしまう植物が多いです。
その点に関してハシカンボクは非常に丈夫であるため、ほとんど気にする必要がありません。しかし、冬になると休眠期に入り、生育が衰えてしまいます。そのためあまり水を与えないでも大丈夫です。土が乾燥したと感じたときにあげるようにすれば十分に足ります。その一方、肥料も水やりと似ているところがあります。
生長期には他の植物に比べて肥料を多めに与えることとなります。基本的に月に2回から3回は液肥を与えると良いとされています。肥料を与えすぎると花が咲きにくくなる植物がありますが、その点あまり注意する必要はありません。そして、冬の休眠期に入るとほとんど肥料は与える必要はありません。
水にしろ肥料にしろ与えすぎても影響が少ないため、管理しやすいです。じつは水や肥料を与えすぎないで育てる植物のほうが加減が難しく管理しにくいです。その点でハシカンボクはガーデニング初心者でも栽培しやすい植物となります。また植えるときには肥沃な土壌が良いため、腐葉土かもしくは市販されている園芸用の用土を利用するといいです。
増やし方や害虫について
多くの場合では、ハシカンボクを植えるときはホームセンターで購入した苗木であることが多いです。そして、個人で増殖させようとするには挿し木が一般的となります。種から育てることもできますが、蒴果(さくか)であるため種を集めるのに苦労します。生命力の強い植物であるため素人であっても挿し木で十分に増やしていくことが可能です。
その挿し木をする時期は春頃が良いとされています。伸びすぎた枝を剪定するのも春頃が良いとされているため、挿し木をするときは剪定と合わせて行うと効率が良いかもしれません。そして、より花を楽しみたいと思うのならば、咲き終わった花は花茎ごと切り戻したほうが良いです。
ハシカンボクの調子が良ければ、切り戻してから2度目の開花を見られる可能性もあります。そのたった一手間によって、より長い期間で美しい花を堪能することができます。そして、湿気を好む植物の多くは害虫や病気に強いです。というのも湿気のあるところは病原菌や害虫などが発生しやすい環境でもあるからです。
そのため、植物もそれらに対抗するための防御機構を備えています。それはハシカンボクも例外ではありません。細菌や昆虫に対する抵抗力が強いため、殺虫剤や防虫剤などを使用する必要がありません。安心して育てられる植物です。小さなお子様のいる家庭で農薬などを極力使わないでガーデニングを楽しみたいと考えているなら、この植物は適任と言えるかもしれません。
ハシカンボクの歴史
ハシカンボクは日本が原産とされる植物です。漢字で書くと波志干木となりますが、その名前の由来はわかっていません。また別名を野海棠(ノカイドウ)とも呼ばれることもありますが、この名前の由来もわかっていません。そして、学名はBrediahirsutaとなります。Brediaとはノボタン科のことであり、hirsutaとはハシカンボク属を指しています。
ただし、その由来はBrediaはオランダ植物学者の名前「Breda」からだと言われており、その一方でhirsutaは「粗い毛のある」という意味です。つまり、この植物には粗い毛があります。また日本原産で固有種ありますが、日本全国を生息地としているわけでもないです。日本は北から南までいくつもの気候があり、ハシカンボクの主な自生地は鹿児島県の南部から沖縄県の亜熱帯地域に限られています。
特に低地や山地などの沢沿いによく自生しており、湿気などを好む傾向があります。沖縄や鹿児島で登山などをしているとき見かける人も少なくありません。極一部の地域にしか自生していないため、日本固有種でありながら、それほどポピュラーな植物ではありません。
しかし、最近ではガーデニングなどで関東などでも育てているところが増えており、昔と比べると知名度は高まってきたのかもしれません。これから認知度が高まってくる可能性もあるため、流行の先駆けとしてこの植物を育ててみるのもいいかもしれません。
ハシカンボクの特徴
ハシカンボクの特徴としては、まず常緑小低木が挙げられます。一応樹木に分類されていますが、高さは30~100cm、横幅は40~60cmと小柄で、ゆっくりと育ていくのが特徴と言えます。そのため、地植えすることもできますが、鉢植えやプランターでも育てやすい植物となっています。そして、葉は学名でもわかるようにノボタン科であるため、ノボタンのように形状をしています。
つまり、葉は濃い緑をしており、形状は卵形で丸みがある一方で先端が尖っており、葉の周りはギザギザの切込みがあります。周囲に広がることは少なく、コンパクトに育ってくれるため、敷地の狭いところでも育てやすい植物と言えます。最大の特徴でもある花は、ノボタンの花と違ってと比べると花の一つ一つは1cm程度しかなく決して大きくはありませんが、数多く咲いてくれます。
白色から赤色まであり、中間のピンク色のものもあります。4枚の花びらがあり、雄しべがむき出しに反り返っています。花びらの数や木の高さなどの違いがありますが、ピンク色の花だとパッと見ただけだとサクラのような雰囲気をしていることから、
日本で好まれる花として期待されています。ただし、開花する時期はサクラの3月から4月とは違って、ハシカンボクは9月から11月くらいまでです。環境によってはもっと開花時期が長くなります。そのため、秋の庭を彩る花としてハシカンボクを利用されている家庭も決して少なくありません。
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