ダンピエラの育て方
育てる環境について
その独特な色合いの花弁や、自己主張し過ぎない常緑低木の特徴を持つことから、オーストラリア産の植物はここ数年のうちに日本でも大きく取り上げられるようになりました。ある程度育たないと花をつけないクセのある生育システムもまた、凝り性の日本人の感性を刺激する一要素として一役買っているのだとか。
日本ではまだそれほど知名度を持たないダンピエラも、ダンシングブルーという品目は比較的多く市場に出回っています。綺麗な青色と羊の蹄のような愛らしい形の花弁が特徴的なこの植物は、しかし日本固有の湿気に弱いだけではなく、過度の日光にも耐性を強くは持たないので、基本は日陰や室内での栽培に努めましょう。
これは、乾燥地帯の植物の育て方全般に言えることですが、なるべくその原産国の風土に合わせた環境を整えてあげることが重要になってきます。そのため、地植え向きとは到底言えないタイプの植物であるため、大抵の場合が植木鉢での管理になります。植木鉢ということで用土作りとそのバランスも、やはり乾燥地帯特有の水捌けの良い土質に近づける工夫が必要です。
花期が3月から6月、雨が徐々に多くなっていく季節と被ることもあってか、湿気には特に気をつけたいところ。長雨の日には事前に軒下や室内へ避難させることが必要です。また、あまりに強い太陽光にも耐性を持っていないため、パラソルで覆うように陽の光から守ってあげましょう。こういった一手間に見合うだけの花弁をつけてくれる植物であることは間違いありません。
種付けや水やり、肥料について
ダンピエラは本来乾燥地域に自生する植物であるため、その水やりも日本固有の植物と比べると大分少なめでいいでしょう。もちろんサボテンほど放っておくわけでもありませんが、植木鉢の中の土がしっかり乾いたことを確認してから水やりをしてあげましょう。ピートモス2~3、軽石2~3、腐葉土1の割合がこの植物にとっての理想の用土形成であるとされています。
これもやはり乾燥地帯特有の水捌けの良い土質を意識したバランスとなっていることが分かります。あとは、薄い液肥(1000倍)を月に一回ほど定期的に与え、その成長を見守ることです。前述しましたが、このクサトベラ科の仲間は直射日光に対して強い耐性を備えているわけではありません。西日が常に当たるような環境下で生育した場合、総丈の高さにまで生育する途中で一部が枯れたりヘタってしまうことも。
爽やかな青色の花弁ばかりが目立つダンシングブルーなどの品目ではありますが、しっかりとその下の茎部分にも目を光らせることが重要です。もしも、ヘタったと感じた場合は総丈に届く前の段階でも剪定を少々加えてみるのも一つの手であるのでしょう。
花をつけ終わった7月、8月にも切り戻しをしっかりと行うことで、次の花期に備えるための準備を整えさせてあげられます。多肉植物などのブームに伴い、必要な肥料などは近しい性質を持つ植物のものを手に入れれば事足ります。肝心なことは、こまめに本来の生息環境を整え続けてあげることです。
増やし方や害虫について
ダンピエラを購入・栽培した人が一番失敗するパターンは、花期を過ぎた夏場での切り戻しなどの対策が不十分であり、そのためせっかくの種の引き継ぎができずに終わること。せっかく花をつけても、その後の対応のせいで増やすことができずに枯らしてしまいます。花期は2・3月から5月・6月であり、ちょうど日本特有の高温多湿、ジメジメとした天候が断続的に現れる時期に入ってきます。
この時期の植木鉢の中は、通気性を持てず空気が留まってしまっている状態。植木鉢の底から根腐れに近い状態が起こってしまう訳です。ですので、5月に入るくらいから植木鉢の下にスノコを引いてあげ、空気の逃げ道を確保してあげましょう。こうすることで、梅雨時期においても水はけのよいオーストラリアの土質に近い環境をキープしてあげることができます。
ダンピエラだけでなく、クサトベラ科全般に言えることなのですが、これら乾燥に強い植物は害虫の被害というのをあまり聞きません。これは大変喜ばしいことです。しかし、その一方で花期を過ぎた後の切り戻しを怠ることで、灰色カビ病などの症状がみられることも。
これは、直射日光によって枯れた葉先や茎をそのままにしておくことでも生じる病気です。最大に育っても60センチを越えることはまずない扱いやすい植物ですので、こまめな剪定、通気性の確保をしっかりと続けてさえすれば、比較的安心して生育することが可能な種の植物と言えましょう。
ダンピエラの歴史
我々が日常生活を送る上であまり耳にすることがない花の名前、ダンピエラ。鮮やかさの中にもどこか日本的な慎ましさを併せ持つ青色を携えた小さな花弁が特徴的なこの花は、原産地を西オーストラリアとしています。世界分布の区分における熱帯から亜熱帯地域に多く発見されてきたクサトベラ科、そのうちの一種類として認識されています。学術名DampieraTeres。
イギリス出身の自然学者、ウィリアム・ダンピエール氏の名前がそのまま花の名前としてあてがわれています。クサトベラ科の仲間としてはレシェノルティア(ハツコイソウ)やグッデニア、スカエボラ(ブルーファンフラワー)などが比較的有名でしょうか。これらの植物はちょっとした規模の園芸ショップで簡単に入手できる類の物です。
スカエボラ科は湿気の無い乾燥した空気、水捌けの力が強い独特の土質を持つ大地に根を下ろして自生する常緑低木などがほとんど。このダンピエラという植物も、西オーストラリアを生息地とする典型的なクサトベラ科の一種であるため、事前知識なしで日本の四季折々の環境の中で育もうとしてもなかなか上手くはいきません。
湿気とは無縁の土地の植物に多く見られる特徴です。しかし、近年の多肉植物の人気や、オーストラリア産の植物全般の需要の高騰などによって、徐々にですがこの愛らしい花弁を持つ常緑低木もその知名度を高めつつあります。あと数年もすれば、このイギリス自然学者由来の植物名が日常生活に溢れる未来だって訪れるかもしれません。
ダンピエラの特徴
この植物の一番の特徴といえば、やはりその愛らしい花弁につきましょう。目に優しい鮮やかさの中にも淡い白を微かに併せ持つ独特の青色で染め上げられた小さな花弁は、実に日本人好みの色彩を感じさせます。ダンピエラを一目見て、ひょっとしてラベンダーの仲間か何かなのでは、と考えを巡らせるひとも少なくはないことでしょう
見る者の目を惹きつける強烈な青紫色をもつイングリッシュラベンダーの群青する様を関連付けての発想なのかもしませんが、この西オーストラリアを生息地とする低木はラベンダー系の色調よりもより青色の割合が高く、色だけで言うならレシェノルティアのそれを比例してもいいかもしれません。
また、比較的真っ直ぐに地面から伸び育っていくラベンダー系の植物と違い、ダンピエラの仲間は低く茎を伸ばしその頂点に花を付けます。茎は全体に小さく細やかな毛がびっしりと生えており、これは乾燥した地域の土地において少しでも効率的に空気中の水分を確保するための進化の証であると考えられています。
茎自体は緑色ではありますが、全体を覆う毛のおかげで、白い独特の色合いをもった茎と頂点の青色の花弁のコントラストが非常に魅力的な植物であり、ベランダや出窓などに置くだけで家の雰囲気を柔らかく知的に整えてくれる効果を見込めることでしょう。花期は3月から6月であり、日本では徐々に湿気が増えていく時期ですので、月の移り変わりに合わせた手入れの変化を必要とします。
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