スターアップルの育て方
育てる環境について
近年では地球の温暖化の影響もあり、熱帯の植物でも日本で比較的簡単に栽培することができます。スターアップルの栽培を、日本国内の自宅のベランダなどでしている人もいます。幼木は気温が0℃で枯れますが、成木はマイナス2℃まで耐えます。しかし冬季は日当たりの良い室内で管理します。葉の表面は光沢のある濃い緑色をしています。
ウラ面は黄金色で、短い茶色の毛でおおわれています。葉の長さは5~15cmほどの大きさになります。樹木は大変美しい樹木で、外観も良く、観葉植物としても適しています。その葉が黄金に輝く様子は、「ゴールデンリーフツリー」とも呼ばれ、東南アジアなどでは果樹としてだけではなく、街中の並木などにもよく植えてあります。
背丈が15メートルを超えるくらいまで成長することもあるので、地植えの時には周辺によく考慮しましょう。日本国内での栽培については、地植えよりも鉢植えのほうが、気温に応じて場所を移動できるので適しています。また、成長にあわせて大きめの鉢に植え替えながら育てます。
土壌はジメジメしない、水はけの良い酸性土を選びましょう。小さくて、少し紫がかった白色の花が咲き、甘い香りがします。果実は、直径が5~10cmくらいで、ソフトボールくらいの楕円形の大きさです。丸いナスビのような感じにも見えます。完熟すると、300~500gくらいの重さに成長します。完熟しない果実は糖度も低いので、良く完熟してから収穫します。
種付けや水やり、肥料について
苗や種は少量でも、個人で通販で取り寄せることが出来ます。一般のホームセンターでは、なかなか取り扱っていませんが、店によっては頼めば取り寄せてくれるところもあるでしょう。また、偶然にどこかのお店で食べたフルーツの種を、自宅で蒔いて育てること(食べ蒔き)でもできます。
捨てればただのゴミですので、気になる種は保存しておくことです。種子の保存は、状態にもよりますが数ヶ月間は可能です。育て方には様々な方法があります。種から育てた場合は、早ければ5~10年で実ができます。接木苗の場合では結実が少し早くなり、2~4年でできます。
また自家結実性があるので、交配の作業を人為的にしなくても、一本でも実ができます。開花するまで10年以上かかることもあります。成長は早くはありませんが、根の部分は良く生えます。気づかないうちに、大鉢にぎっしりと根が生えていたということもあります。根がとてもしっかりしているので、乾燥にも強いです。繁殖には実生の他、接木や取木があります。
大木にはたくさんの実がなりますが、高い位置に実を結ぶので、果実の収穫が大変です。木によじ登って取ることもありますが高所で危険を伴いますので、スターアップル専用の収穫用の棒もあります。長期間、順番に熟していくので、食べられる期間も長いです。夏は成長期ですので、水をたっぷり与えます。水切れには注意してください。冬は、乾燥してから与えるくらいで良いです。
増やし方や害虫について
短期間で増やして収穫したのであれば、複数の場所で栽培してみるのもひとつの方法です。友人や知人で興味のある人に、種や苗を分けて育ててもらうことも、共通の趣味の人なら楽しんでできるでしょう。情報交換するのも、栽培法の向上につながるでしょう。最近ではインターネットも普及しているので、異なる気候の地域の人と育てるのも効果的です。
葉で作ったハーブティーは、糖尿病の予防や改善、さらにリウマチの治療にも効果があると言われています。また樹皮の部分は、咳止めや強壮剤にもなるそうです。また果肉は生食の他、冷凍や缶詰としても利用されています。ジュースや果実酒などの飲料や、ジャムパイなどのお菓子にも応用できそうです。
農薬はあまり使用しない方が良いのですが、やむを得ないときには少量ずつしようして様子をみましょう。もしも病害虫が発生したら、春先に登録のある薬剤を散布します。またスターアップルは、カルシウム、ベータカロチンやビタミンEなどのミネラルも多数含んでおり、豊富な栄養源です。
ベトナムはフルーツの豊富さで有名ですが、その中でもこのスターアップルは、正月料理の先祖へのお供え物としても使われています。最後になりましたが、くだものにも花言葉と同じように、『くだもの言葉』があります。このスターアップルのくだもの言葉は『大器晩成・暖かい心』です。果実を実らせるまでの長い時間と労力、そして豊かな味覚にピッタリの言葉です。
スターアップルの歴史
スターアップルは熱帯果樹で、原産地は西インド諸島および中南米です。アカテツ科のカイニット属の常緑高木です。カイニット属とは、熱帯アメリカを中心に、アフリカや東南アジアに分布する植物です。生息地は熱帯の低地が中心ですが、世界中の熱帯地域で広く栽培されています。成長した樹木の高さは、15~20メートルにもなります。
和名では「水晶柿」(スイショウガキ)と呼ばれています。高温性の植物のために、日本では果実も苗もあまり見かけません。トロピカルフルーツの分類で扱われている、珍しい果物です。日本でも沖縄や鹿児島などの、一部の暖かい気候の地域では栽培されていますが、それほど流通していません。
果肉を半分に横から切ってみると星形にそろった模様が見られ、この様子が英名の名前の由来です。「ホシリンゴ」や「ミルクアップル」、「ミルクフルーツ」などの別名もあります。日本では高価な価格で販売されていますが、ベトナムやカンボジアの民家では、身近な果物として庭先や露地で自生しています。
森の茂みの中にまじって、生えているところもあります。道ばたでも良く売られていますが乾期にしか食べられません。甘くて美味しい果実が収穫されるために、「世界三大美果のひとつ」と表現されることもあります。デレック・ウォルコットというノーベル文学賞の詩人は、詩集『カイトニックの王国』で、スターアップル(別名カイニット)をカリブの象徴であると表現しました。
スターアップルの特徴
スターアップルには、2つの異なる色があり、果皮が紫色の品種と緑色の品種があります。緑色のスターアップルは、青リンゴのような外観をしています。紫色の方は、大きなブドウのようです。どちらも光沢のある、美しい形と色合いです。果皮は固く、蝋(ロウ)が表面を覆っていて、渋味も強いので食べることはできません。
また果皮はすぐに変色してしまうので、取り扱いには注意します。果皮を傷つけると、中からミルクのような乳白色のベタベタとした液体が流れ出ます。果肉は生食します。果肉の色は、果皮と同じ色です。ジューシーでくせの無い甘さで、色は半透明です。主にデザートとして食べられます。紫色のほうが、甘みが強いです。
緑色はさっぱりした味わいです。緑色の方が好まれることが多いそうです。冷やしてスプーンですくって食べると美味しいです。糖度は15~20度ほどあります。味は、完熟した柿やライチに似ていて、柔らかで上品なミルキーな甘さです。イチジクにも良く似ています。食感は柔らかくつるんとしていて、プルプルとしたゼリー状で水分が多いです。
ベトナムではなじみの深い食べ物です。食べ方が独特で、手で果肉をもんで柔らかくし、口で液状になった果肉と汁を吸って食べます。この様子からベトナムでは、別名「おっぱいフルーツ」「乳リンゴ」とも言われています。この食べ方で失敗すると、手や口の周りがかなりベトベトになりますが、美味しくて楽しいです。
-
サカキの育て方
サカキは日本・朝鮮・台湾・中国に自生する、比較的温暖な地を好みます。葉の形で先が鋭くとがっているものは神の宿るよりしろに...
-
ゼブリナの育て方
ゼブリナは、ツユクサ科トラデスカンチア属で学名はTradescantia zebrinaです。別名はシマムラサキツユクサ...
-
アカリファ(Acalypha spp.)の育て方
アカリファは別名をキャッツテール、ファイアテール、サマーラブ、シェニールといいます。原産地や生息地はインドで、細かく言い...
-
カンパニュラの仲間の育て方
カンパニュラはラテン語で「釣鐘」を意味しています。和名もツリガネソウだったり、英名がベルフラワーだったりすることから、ど...
-
シコンノボタンの育て方
シコンノボタンは野牡丹の一種です。野牡丹の生息地は、熱帯や亜熱帯で、比較的暖かい地域が原産です。日本にも自生しているもの...
-
イヌマキの育て方
イヌマキはマキ科マキ属の常緑針葉高木で原産は関東から四国、九州、沖縄、台湾の比較的暖かいところの沿岸部を生息地にしていま...
-
シノグロッサムの育て方
シノグロッサムはワスレナグサの仲間でムラサキ科に属する植物です。秋まき一年草で中国南部原産ですが、ワスレナグサ自体はヨー...
-
ヤマシャクヤクの育て方
ヤマシャクヤクは、ボタン科、ボタン属になります。ボタン、シャクヤク、ユリといいますとどれも女性に例えられる事がある花です...
-
苺の種まきや苺の育て方や苺の栽培について
冬になると、苺がスーパーなどで店頭に並ぶため、苺の種まきは夏に行っていると思う人も居るかも知れませんが、ハウス栽培でなけ...
-
サルビア・レウカンサの育て方
サルビア・レウカンサの原産地はメキシコや中央アメリカです。別名を「メキシカンブッシュセージ」「アメジストセージ」といい、...
スターアップルは熱帯果樹で、原産地は西インド諸島および中南米です。アカテツ科のカイニット属の常緑高木です。カイニット属とは、熱帯アメリカを中心に、アフリカや東南アジアに分布する植物です。生息地は熱帯の低地が中心ですが、世界中の熱帯地域で広く栽培されています。