びわの育て方
育てる環境について
ビワは中国系移民によってハワイに持ち込まれた他、日本からイスラエルやブラジルに広まりました。現在の生息地は広範囲に渡り、トルコ、レバノン、ギリシャ、イタリア南部、スペイン、仏南部、アフリカの北部等でも栽培されています。基本的に寒さに強く、日本においては東北でも育てることは出来ます。
元々は温暖な地域の植物で、関東の場合は海岸側の暖かいところが育てるのに向いています。長崎県、千葉県、鹿児島県などの温暖な地域での栽培が多く、寒冷地でも冬期の最低気温-5~-10℃程度であれば生育・結実させることが可能です。晩秋から冬にかけて開花し、初夏になる頃には果実が成熟します。
果実は生食やジャムなどに、葉は乾燥させてることでビワ茶などに利用することができます。自家結実性があり1本でも受粉します。葉は互生しており、葉柄は短く、その形は20センチ前後の長楕円形をしており、厚みがあり堅くなっています。葉の表面は葉脈ごとに波打っており、縁は波状の鋸歯となっています。
枝と葉は春・夏・秋に伸長します。花芽は春先の枝先端に着きますが、花期は11~2月で、白い地味な花をつけます。花弁は5枚で、葯部分には毛が生えています。果実は花たくが肥厚した偽果で、その全体が薄い産毛に覆われています。またビワの木材は、乾燥させると非常に硬くなる上、
粘りが強く、昔から杖の材料として利用されてます。現在でも、乾燥させて磨いた物を縁起物の『長寿杖』と称して利用されています。激しく打ち合わせても折れることがないことから、剣道・剣術用の高級な木刀として利用されています。
種付けや水やり、肥料について
ビワの育て方としては、栽培種を蒔くと簡単に発芽させることができます。葉の形や色も良いので観葉植物として楽しむことが出来ます。その場合は、生長が速いので、剪定しながら小型に育てる方法が良いでしょう。実生苗の結実には7から8年の歳月を要します。剪定は9月頃が適期です。地植えの場合、摘房・摘蕾を10月頃に行います。
開花は11月~2月頃です。摘果は3月下旬~4月上旬が適期で、この時袋かけを摘果と同時に行います。実は大きくなってくるとモモチョッキリの食害を受けるので注意です。乾燥には強いのですが、逆に多湿には弱いです。水やりについては、一度根付いてしまえば、真夏の乾燥する時期の他は、水をやる必要はありません。
ビワの施肥は生育段階に応じて行っていきます。2~3月に肥料を与えます。花が終わって実をつける前に即効性の化成肥料をあげてると良いでしょう。11~12月に寒肥を牛糞か鶏糞か油粕を土に混ぜてあげると良いでしょう。剪定は込み合った部分の枝を間引く程度の、間引きを主体にします。仕立て方は変則主幹形などが向いています。
鉢植えで育てる場合は、7~8号鉢が良いでしょう。30~40センチの高さで苗木を切り返すようにします。水は鉢土の表面が白く乾いてきたら鉢底から水が出てくる程度に与えるようにします。春秋は1日1回、夏は2回を目安に鉢土の乾き具合を観察して行うとよいでしょう。3月に鉢周りに玉肥を3~4個を置肥します。
増やし方や害虫について
増やし方は実生や接木ですが、挿し木でも可能です。摘果後に袋かけをすれば、病害虫による被害を防ぐことができます。1果ごとに袋かけを行い、茂木では1果房ごとに袋かけをします。害虫としては、キクイムシというカミキリムシの幼虫が、幹に侵入して木の内部を食害します。そのまま放っておくと脆く折れやすい枝になります。
この状態になると木に登った時に危険なので、キクイムシの食いカスを見つけ次第、逐次退治するようにします。枝が食害されてしまった箇所からは、がんしゅ病が出ることもありますので、病気予防の面からも、キクイムシ退治は非常に大事です。他にはモンクロシャチホコの幼虫が木についてしまうと、
集団で葉を食い尽くしてしまうため、これも見つけ次第退治するようにします。クワゴマダラヒトリの幼虫は葉、果実を食害します。ミノムシは葉の先端付近にいることが多いく、葉や果実を食害します。カメムシもびわの害虫です。スギやヒノキの実の汁を吸って育つ虫です。
花粉が多く飛んだ次の年には大発生してビワに被害を与えることが多いので要注意です。ドクガの幼虫も集団で葉を食害するので、長袖の作業着などを着て皮膚を守りながら、毛を飛ばされないよう、静かに葉ごと撤去するようにします。
他にもチャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、アオクサカメムシは針を果実に刺し、びわの品質を低下させます。紙の袋を果実にかけることである程度は防げますが、袋の上からでも刺してくるため、普通の袋では完全に防ぐことはできないため、小まめにチェックすることが大切です。
びわの歴史
枇杷(ビワ)は、中国南西部原産で、バラ科の常緑高木です。日本には古代から持ち込まれています。インドにも広がっており、非常に古い涅槃経と呼ばれるなどインドの古い仏典の中に登場しています。その中で枇杷は大変優れた薬効を持っており、生きとし生けるものの万病を治す植物として書かれています。
またその樹は「大薬王樹」と呼ばれ、枇杷の葉は全ての憂いを取り除く「無優扇」と名付けられていたことからも、その癒しの力の絶大さが、すでに昔から広く知られていたことが伺われます。日本でも古くは奈良時代にも枇杷に関する逸話が登場します。天平2年に光明皇后がつくられた「施薬院」は、教科書に登場する、
貧しい人々や病気の人々の救済施設ですが、そこで行われていたのが「びわの葉の療法」でした。この療法は、葉を焦げない程度に炙って、これを二枚あわせて両手で10回ほど擦り、一枚ずつ手に持って熱いうちに患部を摩擦するという、非常に素朴なやり方でした。それ以降、全国のお寺には枇杷の木が植えらるようになり、
難病に悩む衆生を治療してきました。葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、アミグダリンの鎮痛作用により神経痛に効果があるとされています。アミグダリンは胃腸で分解されると青酸を発生するため、
葉などアミグダリンが多く含まれる部位を経口摂取すると危険ですので要注意です。こうした枇杷の葉の持つ薬効の素晴らしさから、枇杷の葉を求めて病人が集まってくることから、縁起が悪いという木であるという言い伝えもあるようです。
びわの特徴
ビワは晩秋から冬にかけて開花し、初夏に果実が成熟します。自家結実性があり1本でも受粉するので、受粉樹は不要です。葉は互生しています。葉柄は短く、その形は20センチ前後の長楕円形となっています。葉は厚くて堅く、その表面が葉脈ごとに波打っています。縁には波状の鋸歯があります。枝葉は春・夏・秋に成長します。
花芽は主に春先頃に枝の先端に着きます。花期は11~2月頃。5枚の花弁を持った白い花をつけます。葯には毛が密に生えています。初夏頃になると卵形をした黄橙色の実をつけます。食用の果肉は甘く、生食できる他、缶詰加工されることもあります。ゼリー、ジャム等にも加工されます。果実は咳、嘔吐、喉の渇きなどに対して効能があります。
ビワに含まれる主な栄養素としては、βカロチンとβクリプトキサンチンが多く含まれています。βカロチンは体内でビタミンAに変換されます。強い抗酸化作用を持っており、視力回復、粘膜や皮膚の強化、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるとされています。またポリフェノールも多く含まれています。
これは悪玉のLDLコレステロールの酸化を阻害して、老化防止の作用があり、他にも血糖値や血圧値を正常化する作用があって、糖尿病や高血圧の予防に役立つと言われています。またアミグダリンは、ビタミンB17のことですが、これがガンに画期的な効果をもたらす物質と言われており、近年注目を集めています。アメリカの生化学博士は、ビタミンB17を用いたガン治療を提唱しています。
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