ホップの育て方

ホップの育て方

ホップはアサ科のつる性多年草で、和名ではセイヨウカラハナソウと呼ばれています。ビールの原料として有名で、その苦味や香り、泡に特徴があります。初めはビールの香味付けのため薬草のひとつに過ぎませんでしたが、雑菌の繁殖を抑えてビールの保存性を高める働きがあることが知られるようになり、今ではビール造りにおいて主要な地位を占めるようになってきました。

育てる環境について

ホップには沢山の種類があり、多くの国が栽培をしているので、それぞれ環境は異なってきます。有名な種類では、フラワリーアロマがありエール系によく使用されるアマリロはアメリカで生産されています。またマイルドで微かなフローラルな香りが特徴のBCゴールディングスと呼ばれる種類は、カナダで生産しています。

刺激的なスパイシーフレーバーを持つビターな味わいが人気のビュリオンと呼ばれる種類のものは、イギリスが生産国となっています。ババリアンスタイルラガーやピルスナーに使用される極めて優良なクラシックジャーマンアロマが人気のハラタウ・ミッテルフューと呼ばれる種類のものは、ドイツのハラタウ地方で伝統的に栽培されてきました。

良質の苦味を有しホップの中で最も優れたノーブルタイプのアロマを持つとされるザーツは、チェコで作られています。ウッディー、ハーバルなアロマがあるビターが特徴のプライド・オブ・リングウッドは、南半球のオーストラリアで作られています。ホップを育てる環境については、元々の生息地と言われているところが、

西アジアおよびヨーロッパの山地、カフカス付近(黒海とカスピ海に挟まれた地域)とされていることから、気候的にもこれに近いものであることが望ましいです。宿根草ですので、冬は根と芽で越し、北海道でも越すことが可能です。逆に言うと暑さには弱いと言えるでしょう。一般的には東北より北が生産の適地とされています。

種付けや水やり、肥料について

育て方として種付けから行う場合は、ネット販売などでホップの種を購入することができます。土は一般的な培養土でも十分ですが、プランターなどで栽培する場合であれば、赤玉土7:腐葉土3の比率で培養土を作って、野菜用などの底が深くなっているタイプのプランターがお勧めです。

地植えの場合、基本的には、日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶと良いでしょう。風通しの良い場所が好きといっても、強風が当たる場所での栽培は避けましょう。強風の影響によって、生長点が傷んでしまい、その後の生長にかなり影響してしまいます。また強い日差しは苦手ですので、そこにも十分注意を払う必要があります。

夏の西日は特に強すぎて、枯れてしまう原因にもなってしまいますので、西日の当たらない場所で育てるようにしましょう。植える前に50cm以上は掘り起こして、底に完熟堆肥を元肥として入れよく踏み込んでから土を入れるようにします。水やりについては、春から夏は土が乾いて居たら水をしっかりと与えるようにします。

普通の植物と同じと考えて大丈夫です。庭植えの場合でも定期的に土をチェックして水やりを行うようにしましょう。肥料を与えるタイミングは基本的には2月と6月で緩効性化成肥料を使います。元来は非常に成長著しい作物であるため、最盛期には1日20cm以上も伸びる事があります。この時期には毎日欠かさず水を与えるようにし、また追肥も行うようにすると良いでしょう。

増やし方や害虫について

ホップはさし芽、株分けでも増やすことができます。さし芽を行う場合は、は4月~5月が最適です。本年度に伸びた若い蔓を15cm前後に切り取って、土に挿すだけで育っていいきます。水を十分に与えて乾かさないように管理していると大体1ヶ月ほどで根が出てきます。さし芽をしてから花が咲くまでには約3年ほどかかります。株分けについては、その適期は芽が伸びてくるようになる3月~4月頃となります。

蔓性の植物ですので、何かに絡み付いてどんどんと伸びていきます。近くにフェンスかネットを用意しておくと良いでしょう。土さえ十分にあれば、蔓は軽く10m以上まで伸びていきます。特に春以降は、成長が非常に著しいため、早めにネット等の絡ませるものを用意しておきましょう。

プランターで育てる場合には、10号鉢に対して苗を1個程度と考えておいた方がよいでしょう。プランターは横長なので、3個くらい入れたくなってしまいますが、地下ではどんどんと根と芽が生えていくのと、また夏場にプランターの側面に陽が当たると、もともと暑さに弱いホップにとっては辛いという点もあって、1個が限度と考えておいた方が良いでしょう。

実際のところ、あまりプランター向きの作物ではないと言えます。またその香りと栄養価の高さゆえか、病害虫が発生しやすい点にも注意が必要です。単なる観賞用ではなく、収穫するというのであれば、強い農薬を使うことはできないので、早めの対処で被害を減らすようにする必要があります。

ホップの歴史

ホップはアサ科のつる性多年草で、和名ではセイヨウカラハナソウと呼ばれています。ビールの原料として有名で、その苦味や香り、泡に特徴があります。初めはビールの香味付けのため薬草のひとつに過ぎませんでしたが、雑菌の繁殖を抑えてビールの保存性を高める働きがあることが知られるようになり、今ではビール造りにおいて主要な地位を占めるようになってきました。

元々の原産地がどこであるのかは正確にはわかっていません。一般的には、西アジアの高原地帯ではないかと考えられており、それがスラブ人によってヨーロッパ、ゲルマンにも伝わったのではないかと言われています。古くは紀元前の時代から西アジアを中心に野生の種類が自生していたとされ、紀元前6世紀頃においては、

メソポタミア地方の新バビロニア王国でビールに野生のものを使用していたとも言われています。有名な古代七不思議の一つであるバビロンの吊庭園にもこのホップが植えられていたという話もあるようです。ビールの本場ドイツにおける最古の栽培は736年、バイエルンのハラタウ地域にて最初の農園が作られたという記録が残されています。

ここは現代においてもホップの主要産地となっており、毎年秋になると「ホップの女王」が選ばれるお祭りが開催されています。ハッキリとした記録としてこのホップを初めてビールに初めて添加したのは、12世紀にライン河畔にあったルプレヒトベルグ女子修道院院長と言われています。

ホップの特徴

ホップの外観的な特徴として、雌雄異株の蔓性植物であり、蔓の高さはおおよそ7メートルから12メートルにまで成長していきます。一度植えると10~30年引き抜かれずに使用することができる多年生植物です。雄株と雌株が別れていて、栽培されているホップのほとんどは雌株です。受精すると種子をつけてしまい、苦味や香りも劣化を引き起こしてしまうので、雄株は全て排除し未受精の雌株だけが栽培されています。

松かさに似た花のようなものをつけるのですが、これを毬花といい、ビールの苦みなどの原料になります。また人々の健康に役立つ有効成分を多く持つことから、古くから広い地域で治療にも使われてきました。中世の欧州でまとめられたハーブ事典には鎮静、育毛効果を利用された記録が残されています。

またインドの伝承医学アーユルヴェーダ、中医学においては不眠の薬として知られていました。ホップは神経に対して穏やかに作用する傾向があり、これを上手に活用することで緊張や不安感をやわらげる効果が期待できることが知られています。

ビールを飲んで陽気になるのは、アルコールだけでなくホップによる働きも大きいということでしょう。その他にも、不眠、リラックス効果、ストレスの軽減効果、消化促進や健胃、腹痛、また神経性の便秘や下痢、高血圧といったものに対しても効果があるとされいます。また民間療法として皮膚の擦り傷や切り傷、膀胱炎などにも使われてきました。

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