ハクサンボクの育て方
育てる環境について
海岸近くの林、山野などを生息地としていて、中部地方から近畿、中国地方、四国、九州、伊豆諸島、沖縄諸島で確認されています。また、台湾での生息の報告もあるため、愛知県周辺、山口県などと生息地について限定されている説がありますが、微量ながらも、中部地方から台湾にかけたかなりの広範囲で生息しています。
このことから、海岸沿いの温暖な地域が育てる環境として適していると言えます。また、北限が愛知県周辺であるとすると、寒さには弱い植物であり、実際に寒冷地での栽培を試みたところ失敗する例が上が報告されています。一方で、関東周辺で、霜や凍結を防いだ状態での育成の成功事例もあります。寒さには弱いことを認識した上で、温暖な環境を確保できるのであれば、人工的な環境下でも栽培ができます。
ただし、環境の問題には園芸のプロであっても相当の神経と技術を使うため、一般的な苗は大阪から鹿児島までの西日本で売れています。関東での成功例も、国立科学博物館に所属する筑波実験植物園と国の実験レベルでの話だと理解しておくとよいでしょう。苗は西日本の園芸店、ホームセンターで販売されており、インターネットでも購入ができます。
環境に関する指示は、西日本の暖かい地域というもので、細かな指示はないため、西日本では庭木として一般家庭の庭でも育ちます。日当たりの良い場所を確保することが大切ですが、多少半日陰でも問題はありません。風通しがよい状態にしますが、乾燥は避けます。
種付けや水やり、肥料について
肥沃な土を好みますので、有機物を含んだ腐葉土やバーク堆肥などを用いて土壌を良くします。また、そこまで神経質に土を選ばなくて良さそうです。市販されている一般的な樹木用の土を購入して使用するだけでも問題はありません。水はけがよい状態が適しているため、鉢植えの際には、水はけの良い鉢を選びます。
乾燥には比較的強いと言われていますが、乾燥すると花や葉から、独特の匂いが増してしまうため、適度に乾燥に注意をすることで、快適な鑑賞ができます。水やりのサイクルは、庭に植え付ける場合、自然の雨だけで十分ですが、雨が降らない日が続くようであれば、水を与えます。
鉢植えの場合も、一般的な水やりと同様に、表面が乾いたら、水を与える程度で構いません。栽培が難しい品種ではないので、一般的な時期に肥料を与えます。例えば、開花後落ち着いた時期に緩効性肥料を与えます。5月頃が目安です。冬は寒肥を与えます。西日本の温暖な地域であれば、寒肥を与える時期についても冬の間で、タイミングは、他の樹木とあわせると作業が集中できよいでしょう。
どうしても時期を考慮するのであれば、1月下旬から2月にかけて与えるのがよいです。また、果実が落ちるのを待ってからの作業でも問題ありません。通常、11月から12月にかけて果実が落ちるので、目視をする目安としても安心です。肥料も土と同様あまり細かい神経を使わなくても良いので、市販されている肥料を購入してきて与えてください。育て方はさほど難しくはありません。
増やし方や害虫について
増やし方は、赤い果実が熟し、11月頃を中心に採取します。採取した種子から、苗木の生育が可能であるものを慎重に選びます。選び終わった種子は、専用のトレイなどで発芽させます。発芽後は、徐々に大きな器に移していき、苗木へと育てていきます。苗木への育成が可能な種の見分け方は、一般的なガーデンニングのスキルのみではわからないので、自分自身の経験で試してみるのもオススメです。
習うより慣れろは、植物を育てる上で重要な要素で、マニュアル本やインターネットの情報だけでは対処できないような臨機応変さが求められることも多く、何事も経験という認識で始めるのが種子からの増やし方のコツです。比較的簡単に増やす方法は、さし木です。ハクサンボク常緑種なので、落葉種であるガマズミと異なり、さし木の成功率は高めです。
さし木を行う際には、さし木を行うとしに伸びた枝を選ぶことが肝心です。新しい枝の方が、根が出る可能性は高いです。枝先から、15cm程度切り取り、先端の葉を2対程度残し、30分から1時間程度水を与えます。市販のさし木用の土に挿しますが、心配であれば、さし木用の商物成長剤などを切り口の表面に塗ってあげても良いかもしれません。
さし木の時期は、6月頃が目安です。それぞれのさし木の葉が重なり合わないように感覚を開けて挿し、タップリと水を与え、風が当たらない日陰に置いておくと、秋ごろには発根します。一般的な他の樹木の発根方法と差はありません。病害虫はアブラムシを中心にハマキムシ、カイガラムシなどが発生することがあります。
ハクサンボクの歴史
別名にイセビ、ヤマテラシ、イヌデマリなどがあるハクサンボクは、古くから日本に生息していたとされていますが、この別名の多さからも、ハクサンボクを特定できるような文章は確認されていません。一方で、ハクサンボクが登場する逸話、昔話は複数あります。秋田の伝説の伝説では、白山木の権現が登場し、北の又権現という竜神と戦う話があります。このお話は、白ひげの洪水として地元で語り継がれています。
この白山木の権現が白山権現であるかは定かではなく、別のものと考えられます。白山権現のある石川県白山市と岐阜県大野郡白川村がまたがる白神山地は、白山木の語源の地と言われており、白山に生息していると誤った認識の元、命名されたという説があります。また別名であるイセビ(訛ってイセブとも呼ぶ)は、
同じガマズミ類の植物にも用いられているため、イセビは、カマズミ類全般の総称としての別名であったと考えれます。愛知県近辺の太平洋岸や山口県、沖縄県、九州地方、伊豆諸島などが生息地とも言われていて、白山の冠を持つだけではなく、イセビのように、伊勢神宮(愛知県付近の太平洋沿岸部)などの意図が込められていたとすると、
当時から容易に和歌などに詠むこともできず、文章としての記録がないのかもしれません。ハクサンボクの歴史をたどると、不思議なミステリーを読み解くような感覚に陥り、山裾に満開に咲くときの丸で星空が山に降臨してきた日のような魅惑とも合致し、花の美しさをより一層盛り立てます。
ハクサンボクの特徴
ハクサンボクの特徴としては、レンプクソウ科ガマズミ属と言われていますが、レンプクソウ科の上位であるマツムシソウ目の下位のスイカズラ科に分類されていたこともあり、マツカゼソウ目の中では現在でも学名はもちろんのこと、その分類について議論がなされています。最新の分類では、レンプクソウ科ガマズミ属ですが、
未だにインターネットを始め多くの情報元には、元々のスイカズラ科ガマズミ属と記載しているところもあります。春4月から5月頃開花し、花弁と雄しべが5つあり、小枝の周りにいくつもの白い小さな花が集まります。樹高は、1.5mから6mほどあり、葉は幅が広いたまご型で、周辺に浅いギザギザがあり、表面には光沢があり、対生しています。
楕円形の核果がつき、秋ごろにかけて赤く熟します。核果とは、中心部に固い核がある果実で、ウメやサクランボ、ギンナンなどがあります。ここに挙げた核果を持つ他の果実と同様に食用としても用いられており、実を食べることもできます。この赤い実が山を照らす様子から、山照(ヤマテラシ)という別名がついたとも言われています。
ハクサンボクとガマズミは非常に似ていますが、ハクサンボクは常緑で、ガマズミは落葉です。その他の特徴としては、花や葉から独特の匂いがしますが、決して良い香りというには程遠いです。森林伐採や植生遷移の進行により,絶滅の危険性が極めて高いとも言われていますが、地方自治体でレッドリストに登録して入るものの環境省での登録は確認されていません。原産は日本です。
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