ナナカマドの仲間の育て方

ナナカマドの仲間の育て方

ナナカマドの仲間は、バラ科の落葉高木で、学名がSorbuscommixta、漢字で「七竈」と書きます。「庭七竈」は、学名がSorbariakirilowiiとなっています。赤く染まる紅葉や果実が美しい植物で、北海道や東北地方では街路樹としてよく植えられています。また「雷電木」という呼び方をされることもあります。

育てる環境について

生息地は、北海道、本州、四国、九州(屋久島まで)の山地帯から亜高山帯で、朝鮮半島や樺太などにも分布しています。欧州にも分布しており、北欧などでは魔よけになるとして大切にされている木でもあります。山地の、日当たりの良い場所に普通に生えてます。ナナカマドは深山で秋霜が降りる頃、美しく紅葉しますが、特に丹沢においては主稜線に点々と生えていて、秋の紅葉が美しいのが有名です。

北海道では庭木や街路樹として使われることが多いのですが、東京、横浜やそれより西の地方においては希です。針葉樹の疎開地等に多くみられ、国内にも広く分布していますが、特に中部地方以北に多くみることができます。またブナ林や亜高山針葉樹林帯には広く分布していて、崖地などにも生育しているため、

一見すると強健であるように見えますが、北海道以外の都会ではあまり見かけることはないため、土地の選り好みが強い木ではないかとも言われています。やや乾燥した尾根筋などにも生育しますが、基本的には日当たりが良く、腐葉土などの腐植質がたっぷり入った湿り気のある土壌が適しています。

庭木にするのであれば樹高が1から2メートル程度に収まるナンキンナナカマドが適しているでしょう。植え付けの適期は落葉期の冬なのですが、寒冷地方においては厳寒期を避け、芽吹く直前の春頃に植えた方が株の傷みが少なくてすみます。また株が小さい間であれば移植することができますが、大きくなってからは根付きにくくなってしまうため難しいです。

種付けや水やり、肥料について

温暖な地方では栽培がやや難しいものの、育て方としては種から増やすことができます。種自体は、秋に果実が熟したら採取し果肉を取り除いてすぐに撒くようにします。もしすぐに撒くことができないという場合は、乾かさないように貯蔵しておいて春になってから撒くようにします。一つの果実に、長さ3から4ミリ、淡褐色の数個の種子が入っています。

種は乾かしてしまうと発芽力が極端に落ちてしまうため、乾燥させないように十分ご注意ください。一般的にはナナカマドは実を付けるまで10年くらいかかります。ただ品種によっては3から4年で実を付ける品種もあります。ナナカマドは寒冷地の高山の植物であるため、暖地平地の夏の暑さ・乾燥には若干弱いです。

庭植えする場合は、基本的に水やりは不要ですが、真夏の乾燥には注意してください。それ以外は放置しておいても大丈夫です。鉢植えの場合は、土が乾いていたら、たっぷりと水をやるという一般的な水やりを行います。土が濡れているうちは水をやらず、受け皿に水がたまっている場合は、水は捨ててください。

夏場において、もし鉢の土がすぐに乾いてしまうようであれば、場所を半日蔭になる場所に移動させてあげてるようにしましょう。肥料については、極端なやせ地でない限り、与える必要はありません。腐植質に富んだ湿潤な土壌を好むので、冬場、だいたい2月頃に堆肥や腐葉土を株元にすき混んであげると良いでしょう。剪定や植え付けは落葉期に行います。

増やし方や害虫について

ナナカマドは一般的には庭植えするものですが、盆栽に利用する人も多くいます。大きな鉢植えにして育てる場合もあります。盆栽にする場合、用土は赤玉土8桐生砂2にすると良いでしょう。鉢植えにして戸外で管理する場合は市販の花と野菜の土を利用するようにします。ナナカマドの剪定は落葉時期に行います。ナナカマドは自然な樹形で十分綺麗ですから、邪魔な枝をさばく程度に抑えます。

またナナカマドは接ぎ木でふやすことも多いです。ただし切り口がふさがりにくい木ですので、枝を切ったときは必ず癒合剤を塗って切り口を保護してあげることが大切です。放置していると病気が発生したり、大きな切り口の場合には、そこから虫が入ることもあります。もし癒合剤が無いような場合は、木工用ボンドでも良いので切り口に塗っておくようにしましょう。

また病害虫が発生しやすいので、密になっているところは枝を落として風通しをよくするようにしてください。ナナカマドは本来寒冷地の高山に生育する植物で、そこでは病害虫が少なく、育てやすい植物ではあるのですが、これを暖地や平地に持ってきて育てていると、病害虫が発生しやすくなってしまいます。バラ科ですから、一般的にバラ科植物は掛かるものは大抵掛かります、ということは防虫・防病は必要です。

アブラムシ・ミノムシ・テッポウムシ・ナナカマドフシダニ・ハマキムシ・ウドンコ病・カイガラムシ等です。特にアブラムシには注意してください。どこからともなくやってきて栄養を吸い始めます。そのままにしておくと、やがて葉っぱが丸まってしまいますが、日光が強くなってくるとすぐに葉っぱが丸まっていたら、アブラムシと考えて良いでしょう。とにかく先手の対応で、薬剤を散布するのが良策です。

ナナカマドの仲間の歴史

ナナカマドの仲間は、バラ科の落葉高木で、学名がSorbuscommixta、漢字で「七竈」と書きます。「庭七竈」は、学名がSorbariakirilowiiとなっています。赤く染まる紅葉や果実が美しい植物で、北海道や東北地方では街路樹としてよく植えられています。また「雷電木」という呼び方をされることもあります。「雷除け」の木ということで、家の軒先近くに植える風習がある地方もあります。

高さ7~10メートル程度になり、夏には白い花を咲かせます。葉は枝先に集まって着き、奇数羽状複葉となっています。秋には鮮やかに紅葉し、赤い実を成らせます。この実は鳥の食用となる他、果実酒にも利用されることもあります。備長炭の材料としても有名で、火力が強く火持ちも良いので作られた炭は極上品とされています。

ナナカマドという和名は、「非常に燃えにくく、7度竃に入れても燃えない」ということから付けられたという説や「7度焼くと良質の炭になる」、食器にすると丈夫で壊れにくい事から「竃が7度駄目になるくらいの期間使用できる」といったような説もあるようです。

また化石となった植物を研究する学問を古植物学といいますが、その歴史は浅く200年もたっていないものの、どのような植物が生存していたかを調べるには、花粉よりも植物体の化石が有効であると言われています。この学問の研究によって、ナナカマドの葉の化石が、栃木県塩原の洪積世から発見されてり、日本に古くから自生していたことがわかっています。

ナナカマドの仲間の特徴

特徴としては、落葉広葉樹の中高木で、高さ10から15メートル、直径20から30センチ程になります。樹幹は単幹の場合の他、双幹や株立ちの場合もあります。枝が太くて斜上するので、樹冠は横にはあまり拡がりません。またその樹皮には独特の臭気があります。初夏の5~6月頃になると、枝先に直径6から8ミリくらいの、小さな白色の5弁花を密に複数房状につけます。

両性花ででもあり、小さな花が密生して咲くことは、昆虫がとまるための便利な土台にもなっています。小さな球形の果実を付け、秋になると熟して真っ赤に色づくようになります。この果実は落葉したあとも残って木を彩り、人の目を楽しませてくれます。葉の形状は、細長くて先がとがっており、フチにはギザギザがあります。

小葉が複数集まって一枚の葉となる羽状複葉と呼ばれる形で、その中でも小葉が9から15枚の奇数羽状複葉となっています。この葉は、秋の紅葉が非常に美しいです。平地でも問題なく育ちますが、もともとは高山性の樹木であり、北海道や東北などの寒冷地では非常に紅葉が美しく病害虫の発生も比較的少ないことから、街路樹としても多く利用されています。

良質の炭(白炭)にもなることから、昔から人々に珍重されてきました。仲間には葉裏が粉を吹いたような白色になるウラジロナナカマドや中国原産のニワナナカマド、欧州原産のセイヨウナナカマドなどの近縁種があります。他にもナンキンナナカマドやホザキナナカマド等が知られています。

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