ベンジャミン(Ficus benjamina)の育て方
ベンジャミンの育て方
春から夏の生育期にかけては太陽をいっぱいに浴びさせてやることが丈夫な育て方のコツです。ベンジャミンは耐陰性がある植物のため、光にあてなくても育つイメージがあるかもしれませんが、日光を好む植物です。室内の明るい窓辺などを定位置にすることが好ましいですが、真夏の直射日光は避け、天気の良い日はベランダなどで日光浴させてあげましょう。
ベンジャミンは丈夫で耐寒性が強いことから初心者向けの観葉植物というイメージが強いかもしれませんが、丈夫に栽培するためにはいくつかおさえておきたいポイントがあります。水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。生育期は水切れを起こさないように行い、冬場の生長が止まる季節は水やりの回数を減らすことがポイントです。
春と冬では水やり回数が異なるということを覚えておきましょう。空中の湿度が高いことを好むため、霧吹きなどでときどき葉水を与えます。肥料の与え方は、生育期に肥料ぎれを起こさないよう注意して緩効性肥料を与えるようにします。冬場に与えると株を弱らせてしまうため、肥料は生育期のみに与えると覚えておきましょう。
用土に関してはとくに土質を選ばないため、観葉植物用に市販されている土を使用するか、赤玉土に腐葉土をまぜたものを使用します。基本的には室内で栽培するため、においが少なく虫を寄せ付けないタイプの用土を使用すると良いでしょう。植え替えに適切な時期は5月から7月で、二年に一回を目安に行います。
根詰まりを起こしたままだと充分な生育の妨げとなってしまいます。鉢から抜いた根から土を落とし、新しい用土を使ってひとまわり大きな鉢に植え替えましょう。ベンジャミンは生長が早い植物です。あまり大きくしたくない場合には、根を切り詰めてから新しい用土で元の鉢に植え替えましょう。
栽培中に注意したいこと
ベンジャミンを栽培中に注意したいことがいくつかあります。ベンジャミンは丈夫な性質を持っていることから、初心者向きの植物として扱われることが多いですが、いくら耐陰性があるからといっても極端に日光があたらない環境に置けば弱らせてしまいます。
もともとは温かい地域で露地栽培されている植物です。春から夏の温かい季節は、屋外やベランダで充分な日光浴をさせましょう。日差しを受けることで葉のつやがよくなります。生育期に充分な日光浴ができていれば、少しくらいの悪環境をものともしません。
反対に、生育期のほとんどが日陰という環境で過ごした場合には冬場の寒さや乾燥などで弱って、多くの葉を落とすことにつながります。ベンジャミンは室内で観賞することを目的とした植物ですから、葉が落ちて寂しい姿になってしまっては魅力が半減です。
夏場の直射日光には弱く、葉焼けを起こしてしまうことがあるため、日差しが強すぎるときにはレースのカーテン越しなどで充分な日光浴をさせるとよいでしょう。春先、人間が温かさを感じるような季節の天気が良い日は表に出し、充分な日光にあたらせるようにすることが重要です。
ベンジャミンは空気中の湿度が程よく高い状態を好むため、乾燥しすぎには注意です。夏場や冬場のエアコンの風はとくに空気を乾燥させやすいため、直接風があたらない場所を置き場所にする必要があります。他に栽培中の注意点として、適度に剪定しないと樹形が乱れがちになってしまう点があげられます。
ベンジャミンは刈り込みに強い植物です。自分好みの形に刈り込んで、より美しい姿を目指すと良いでしょう。他に注意したいものに、カイガラムシなどの害虫がありますが、風通しのよい環境で栽培すればそれほど心配がありません。カイガラムシが発生した場合は、フンなどで葉の表面が汚れるため注意してみればすぐに発見することができます。早めに専用の薬剤を使って駆除しましょう。
ベンジャミンの増やし方
種付けの他、さし木で増やすことが可能です。種付けをするためには種を採取する必要がありますが、ベンジャミンの木は充分に生長しないと実をつけません。もし、栽培中に黒く熟した実をつけるようになれば赤玉土にまいて発芽を待ってみてはいかがでしょう。
発芽するまでは土が乾かないように半日陰で管理する必要があります。ベンジャミンは種付けをせずに、さし木で増やすことが一般的です。種付けをするよりも、さし木の方法をとった方が簡単で成功率が高いと考えられます。剪定のときに出た枝を利用することもできます。
茎を先端から10cmから15cmくらいで切断し、下の方の葉を取り除きます。吸い口から2時間程度かけて水を充分に吸わせ、さし木用の用土に挿します。切り口から乳白色の樹液が出てくるので、よく洗い流しましょう。
樹液をつけたままだと発根しづらくなる可能性があります。さし木の作業を行う際には、温かい季節が成功しやすいです。5月から7月くらいを目安に行うとよいでしょう。
ベンジャミンの歴史
ベンジャミンの原産地はインドや東南アジアです。クワ科イチジク属に分類されている常食高木で、観葉植物として人気があります。現地では街路樹として利用されていることも多い植物で、大きいものでは20メートルほどにも成長します。
生育し始めの頃に他の木に付着して育ち、元の木を枯らしてしまうほど大きく育つことがあることから、別名を「絞殺しの木」ともいいます。着生した木から養分を奪って育つというわけではなく、覆い尽くすほど大きくなるためです。
しかし、これは熱帯に自生する場合の話であって、観葉植物として育てる場合には限られた大きさの鉢の中で成長するため、大きくなり過ぎないようコントロールすることは容易です。この特徴のある樹木としてガジュマルなどがあげられます。
ベンジャミンはその他に「シダレガジュマル」「フィカス・ベンジャミナ」「ベンジャミンゴムノキ」という別名で呼ばれることもあります。ベンジャミナと呼ばれる場合は発音上の違いというだけで、基本的には同じものをさしています。
ベンジャミンの特徴
枝がしなやかで曲げやすく、葉は刈り込みに強いことが特徴で、様々なかたちに仕立てられて流通しています。ベンジャミンの幹は白く、凹凸が少ないすっきりとした形をしています。葉の美しさだけでなく、幹の美しさも楽しむことができる植物です。
大木になると、気根を出すことがあります。枝をリング仕立てや三つ編み仕立てにしたベンジャミンは、贈答用としても人気の高い観葉植物です。つやのある小さな緑色の葉が豊かに生い茂る姿は美しく、室内のインテリアとしてもその魅力を存分に発揮します。
つやのある緑の葉っぱをつけるスタンダードなベンジャミンだけでなく、葉に白いまだら模様が入る品種もあります。まるで雪が降り積もっているような美しい外観を楽しむことのできる品種で幻想的な雰囲気が魅力的です。
ベンジャミンはもともと温かい場所を生息地としているため、耐寒性があるといっても冬の寒さは苦手です。日本では沖縄で露地栽培されていますが、マイナス五度を下回る地域では室内に取り込みます。観葉植物は室内で育てる方が向いている植物である場合が多く、冬に屋外に出しっぱなしにしておくことは避けた方が無難です。
また、急激な環境の変化には弱く、葉を落とすことがあります。ベランダからリビングへ場所を移しただけで葉を落とすこともありますが、一時的なものです。日照不足や水不足、根詰まりなどを知らせるサインとして葉を落とすことがあるため、その際はなんらかのケアが必要となります。
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