根茎性ベゴニアの育て方

育てる環境について
直射日光を必要とせず、1年を通じて屋外の明るい日陰や室内でも良く育ちます。空中湿度を好みますので、テラリウム栽培も適しています。蛍光灯の光だけでも充分育つ品種もありますので、育て方が難しいものではありません。暑さには比較的強いものが多く見られますが、
根茎性ベゴニアは、インド・ベトナム原産であるBegonia rexから他種交配で作られている品種が主です。それだけ寒さに弱い性質を受け継いでいますので、品種改良の過程でそれなりに寒さへの耐性が持たされているものの、冬越しの温度は3度から5度程度です。
鉢植えであれば、霜が降りる前に室内に入れて管理することが望ましいでしょう。庭植えの場合、西日本の温暖な地域では地上部が枯れたとしても比較的冬を越しますが、簡易的なビニールハウスやマルチなどで寒さから保護してあげると更に安心です。
地中まで凍ってしまうような地方であれば、年を越すのには無理があります。品種によって育つ大きさも全く違い、高さも5センチから100センチ程度まで様々です。大型のものでも鉢植えで楽しむことができますが、高さがある程度高くなるようなものは型崩れやゆがみ、
途中での折れなどが出てしまうことも少なくありません。支柱などで支えてあげることも必要な場合があります。また空中湿度を好むといっても、用土が過湿していることは大変嫌います。根ぐされなどを起こしやすくなりますので、
通気性があって水はけがよい、適度な保水性が望める土壌が適しています。市販されている草花用の培養土でも良く育ちますが、赤玉土6割腐葉土4割に配合した土もよく用いられます。
種付けや水やり、肥料について
種付けではなく、根茎ざしや葉ざしによって増やします。大きさを鉢植えにつかう容器のサイズである程度調整することができますので、大きな株に育てたい時には、根茎の状態と相談しつつ、鉢増しするとよいでしょう。時期は春から初夏または秋が適しています。
小さくまとめたい時は、根茎の先5cmほどを切り、植えつけます。根が地中深く伸びることはありませので、浅鉢で充分です。冬が越せるような環境であれば庭植えもできますが、その場合の水やりは乾きで元気がないように見えた時に掛けてあげる程度で大丈夫です。
ただし直射日光はあまり好みませんので、あまり日が当たるような場所であれば影を作っていやるなどの配慮のほかに、水の状態をマメに見てあげることも必要です。鉢植えでは、鉢の土がよく乾いたら鉢底から流れ出る程度を目安にたっぷりと水やりを行います。
空中湿度を好むものですが、用土の過剰に湿っているのは嫌います。乾いたらたっぷり水やりといった、緩急をつけることがポイントです。栄養を良く欲しますので、用土には緩効性化成肥料を元肥としてを混ぜます。春と秋の成長期に、追肥を行います。
液体肥料や、緩効性化成肥料をつかって置き肥しますが、状態を見て選択しましょう。咲き終わった花は花茎のつけ根のところで切り取り、枯れた葉もマメに取り除きます。それによって葉がきれいに育つことにもつながりますが、もともと水分を多く含む植物ですので、病気の予防にもつながります。
増やし方や害虫について
根茎ざしや葉ざしによって増やしますが、適している時期は春から初夏もしくは秋の比較的穏やかな季節です。葉ざしに使う場合には、数mmの葉柄をつけた状態で葉を切り、柔らかいさし木用用土にさします。その後は土を乾かさないように水やりには留意しながら管理を行います。
害虫であるネコブセンチュウが付くことが良く見られ、根に寄生しすると根にこぶができ、それが株の生育を阻害してしまいます。土壌で伝播することから、一度ネコブセンチュウを発生させてしまった土や鉢は使用してはなりません。古い土も避けた方が賢明でしょう。
病気は特にうどんこ病や灰色かび病を発生させます。うどんこ病は葉に細かな粉状の白い病斑が現れることで確認できます。風によって運ばれた胞子が、葉や枝、花首、蕾などについて発症します。生育不良になり花が咲かないなどが見られますが、
さらに病気が進行すると葉面全体や茎にまで至り、最後には落葉してしまいます。うどんこ病を防ぐには、蒸れないように注意することが大切です。真夏の高温時期を除いた春から秋が発生しやすい季節です。もし発病を発見したら、すぐに対処しましょう。また灰色かび病は、葉縁が水しみ込ませたような変色で確認できます。
最後には溶けたような状態で腐り、灰色のカビに覆われます。湿度の高い季節や冬などによく発症します。マメに枯れ葉や花がらを取り除くことで防ぎます。また空気感染はしませんが、アブラムシなどの害虫が媒介しますので、害虫駆除も予防につながります。
根茎性ベゴニアの歴史
ベゴニアはシュウカイドウ科シュウカイドウ属の植物です。ベゴニアには他種を交配して作られた様々な品種がありますが、それらを茎の形態で3つに分類することができ、根茎性ベゴニアはその一つです。熱帯・亜熱帯地域が原産です。大航海時代はヨーロッパ人によって
インドやアジア大陸、アメリカ大陸などに対し植民地支配のために積極的に進出した時代でした。異国に貴重な植物を求めるプラントハントも盛んに行われていました。その当時、バハマ諸島などと共に西インド諸島(カリブ諸島)を構成しているアンティル諸島はフランス領となっており、
ミシェル・ベゴンが1682年から1685年までこの地の総督を務めました。そのミシェル・ベゴンによってフランス王ルイ14世に植物学者シャルル・プリュミエは、この地のプラントハンターとして推薦されました。シャルル・プリュミエは図入りの記録を多く残し書籍も出版しましたが、
その中でベゴニア属6種を紹介しました。プリュミエは植物の命名も多数行い、中には人に因んだ名も見られます。ベゴニアの名は総督ミシェル・ベゴン(Michel Begon)を由来にしています。これらを原種として交配を行い、今では多くの種や品種が作られました。そのため、
いま出回っているベゴニアの性質は多種多様です。花を鑑賞するために作られたものから、観葉植物まで様々です。中国原産のベゴニア属に「シュウカイドウ」がありますが、これは江戸時代初期に日本に中国から長崎に持ち込まれてから園芸用として定着し、今では自生しています。そのためベゴニアと呼ばれることはありません。
根茎性ベゴニアの特徴
熱帯から亜熱帯地方を生息地としていた原種を交配して、多くの種や品種が作り出されました。そのため性質は多種多様ですが、ベゴニアの特徴として、「葉の形がアシメトリで若干ゆがみを持つ」「花には雌雄の別があり、花びらは雄花4枚、雌花5枚持っている」などが挙げられます。
鑑賞用ベゴニアは主に多年草で、日本で栽培されているベゴニアは根茎性ベゴニア、球根性ベゴニア、木立性ベゴニアの3つに分類することができます。根茎性ベゴニアはインドからベトナムにかけて原産とするベゴニアレックスを他種を交配して作られました。
ベゴニアレックスが根茎性であったことからその特性を受け継いでいますが、ベゴニアレックス派性の中には木立性のものも見られます。根茎性ベゴニアの特徴として、多肉質で太った匍匐茎を地下を横に這わせて増えることが見られます。葉の形状や色合いに種類も多く、
2cm程度の小さな葉や30cm以上の大きな葉、マットな色彩の葉や光沢の強い色彩の葉、紫色の葉、ベルベット様の質感がある葉などをそれぞれ楽しむことができます。一昔前まではベゴニアといえば赤色の小さな花が咲く木立ち性のベゴニア・センパフローレンスのことでしたが、
今では花色も様々な品種が作られ、それらが日本の店頭に並ぶようになっています。根茎性ベゴニアには葉を愛でるものが多く見られ、ムンチキン、タンバリン、ベゴニアボウエレー二グラマルガなどの園芸品種よく知られています。中国福建省の洞窟で見つけられたベゴニア・ウェルシコロルなど出所の変わった品種もあります。
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